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AIはIoTまでも賢くする、とGartnerが予測

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IoTとAI(人工知能)とは相性が良さそうだ。IoT(Internet of Things)システムの中で、AIはこれまでセンサからのデータを解析するためのツールと見られていたが、IoT端末そのものを賢くするためにIoTデバイスにもAIを導入するようになるだろうとGartnerのVPであるJamie Popkin氏は、Gartner Symposium/ITxpo 2016で述べた。

図1 現実の物理的なモノとバーチャルなモノをデジタルツインとGartnerは呼んでいる 出典:Gartner

図1 現実の物理的なモノとバーチャルなモノをデジタルツインとGartnerは呼んでいる 出典:Gartner


Gartnerの使っている言葉は、これまでIT、エレクトロニクスで聞いている言葉とはずいぶん違うが、言っている概念は電子産業で使われている言葉とさほど変わりはない。例えば、IoTデバイスがさまざまな場所にばらまかれることに対しては、デジタルメッシュと言い、サイバーの世界と物理的な世界が1対1で対応することをデジタルツイン(図1)と言っているが、基本は変わらない。Jamie Popkin氏による講演「2017年戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10 インテリジェント・デジタル・メッシュの幕開け」ではなじみのない言葉が羅列していたが、その実態は電子技術者が聞いている概念とかけ離れるものではなかった。

講演では、モノはますますインテリジェントになり、実世界とサイバー世界が共存し、デジタルのプラットフォームがさまざま出てきている、ということを述べている。デジタルメッシュという言い方では、2020年までに210億個の接続されたIoTセンサや端末が配備されるとしている。

ユーザインターフェースでは音声認識が主流になることを、会話型AI搭載のプラットフォームになると述べている。現在でもiPhoneの音声認識サービス「Siri」はクラウドベースの検索サービスであるが、2017年以降は会話型AIとIoTの時代になるとしている。IoTシステムのデータ解析にAIが入り、意味の少ないデータを、意味の多い情報に変えるデータ解析の結果をIoTユーザにフィードバックすることがIoTシステムの本質である。クラウド上でデータ解析し、変換した情報を見える化してユーザに戻すためのシステムはプラットフォームと一般に呼ばれている。


図2 あらゆるモノがAIによってインテリジェントになる 出典:Gartner

図2 あらゆるモノがAIによってインテリジェントになる 出典:Gartner


Gartnerは、データ解析だけではなく、IoTデバイスまでAIを導入して、インテリジェントにするようになると予測し、あらゆるものがインテリジェントになるだろうと述べている(図2)。このため、2020年までに企業の20%はニューラルネットワークのトレーニング専用スタッフを採用すると予測している。米国の金融界・株式市場などではすでに、AIの知識を持つエンジニアは引っ張りだこであり、初任給が10万ドルという話もある。もはやAIバブルの様相を示しており、GartnerがAIのトレーニングスタッフの予測はまんざらでもない。

IoTとAIとの結びつきの例として、ハンバーガーショップの例を挙げた(図3)。米国のハンバーガーショップでは、1分間に1000個のバンズの品質を色、形、ゴマのかかり具合を写真の画像認識AIで分析、オーブンと製造工程を自動調整できるようにした結果、年間数千ポンドの廃棄物を削減し、製造工程を迅速化しエネルギーを節約したという。これまでの手作業による人件費も削減できた。


図3 ハンバーガーのバンズの製造工程を自動調整し最適化 出典:Gartner

図3 ハンバーガーのバンズの製造工程を自動調整し最適化 出典:Gartner


AIは何十、何百層というディープなニューラルネットワークを使う高度なものから、わずか1層の機械学習まで使えるため、一口にAIと言ってもクラウドベースからIoTまで可能になる時代に入ってきた。ということはIoT端末のようなローエンドの応用にもAIが使われるようになることは、AIそのものを再定義する必要が出てきたかもしれない。

一方、IoTの定義も変わってきている。図3のハンバーガーの例にあるように、インターネットにつながなくてもIoTという言葉は使われる。要は、ビッグデータを解析しセンサ端末まで意味のある情報に変えてフィードバックすることをIoTシステムと呼ぶわけで、データ解析することがIoTの要である。インターネットにつながっていようがいまいが、もはや関係なくその言葉が使われるようになっている。IoTも再定義すべきなのかもしれない。

(2016/10/28)

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