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プログラマブルなミクストシグナルICをSilegoが20億個出荷

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小さなプログラマブルデバイスとも言うべきアナログ・デジタル混在IC(CMIC)をビジネスとしているSilego(シレゴと発音)Technology社がこのほどIC出荷累計で20億個以上を達成した。CMICはディスクリート部品や小さなアナログ部品を1チップにまとめて、ボード面積を広げたい、というスマートフォンやウェアラブルデバイスの設計者に向く。

Silegoは、プリント回路基板上にディスクリートやちょっとしたアナログICなどを1チップにまとめるという製品を特長としており、このような製品をCMIC(Configurable Mixed signal IC)と呼んでいる。製品の位置づけとしては、XilinxやAlteraなどの大規模FPGAとは違い、Lattice Semiconductorの小規模FPGAとも違う。FPGAはデジタルロジック回路を中心としたプログラム可能なICであるが、SilegoのICは、アナログも含む。

さらに、アナログ回路をプログラムできるCypress SemiconductorのpSoC(programmable SoC)とも違う。pSoCは8ビット以上のマイコンにプログラムできる標準アナログ回路を集積したチップであるが、SilegoのCMICはマイクロプロセッサを使わずにステートマシンで回路状態を表現する。アンプやコンパレータ、基準電圧発生器、リセット、ADC/DACなど標準アナログを集積しているが、NVM(不揮発性メモリ)で回路をプログラムする。つまり、標準ロジックも標準リニア、受動部品も全てこの1チップでカバーできることが特長だ。ディスクリート製品50~60個を1チップに集積しているため、ユーザーのシステムBOMをコストダウンできる。

CMICの最新の製品はGPAK5(グリーンパック5)シリーズの製品だ(図1)。いわゆる第5世代のプログラマブルGPAK製品であり、デザインツールも5世代分の設計ツールをアップデートしてきている。この間、1300デザインが量産されているという。


図1 最近のGPAK5シリーズの「SLG46108V」

図1 最近のGPAK5シリーズの「SLG46108V」


GAPK5の最近の製品例であるSLG46108V(図1)は、1.0mm×1.2mm×0.55mmの6ピン(GPIO)のSTQFNのパッケージに以下のような機能を集積している;


  1. 4個のLUT(ルックアップテーブル)
  2. 組み合わせ機能のマクロセル7個:例えば選択可能なD-FF2個/ラッチあるいは2ビットのLUTや、選択可能なカウンタ/ディレイ1個または4ビットLUTなど
  3. 外部クロック/リセットを備えた8ビットのカウンタ/ディレイ3個
  4. RC発振器(25kHz/2MHz)
  5. パワーオンリセット

こういった小規模のプログラマブルデバイスは、主体のマイクロプロセッサやアプリケーションプロセッサ、OSなどを変えずに周辺回路をグレードアップしたり機能を追加したりするために使う。例えば、スマホのように数カ月ごとに機種をリリースする製品では、APUもOSもそのままで追加機能をこういったプログラマブルデバイスで実現する。このため、スマホなどのセットメーカーはロードマップを立てて実現しやすい。

Silegoは、GPAKに加え、パワーMOSFETであるGFETシリーズや、クロック周波数を発生するGCLKシリーズ、QualcommのQC2.0をはじめとする急速充電チップなども揃えている。また、GPAK6は開発中である。

(2016/09/02)

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