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Maxim、世界のトレンドに合わせて戦略練り直し

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世界的な半導体産業再編の中、米国中堅のアナログ半導体メーカー、Maxim Integratedは利益が出ているうちに業界のトレンドにあった形に再構築する、という方針で新しい戦略を練り直した。10以上あった事業部門を4部門に絞り、ファブも売却した。再構築(リストラ)といっても人をカットした訳ではない。

図1 Maxim全製品事業部およびセールス&マーケティング本部統括のエグゼクティブVPのMatthew J. Murphy氏

図1 Maxim全製品事業部およびセールス&マーケティング本部統括のエグゼクティブVPのMatthew J. Murphy氏


新たに狙いを定めた4つの応用分野は、自動車、産業、データセンター、モバイルである。また彼らが進める4つの戦略には、リードしている高性能電源、成長市場で差別化すべき製品、コア製品を成長へ、優れた生産の推進、とした。Maximが他社よりリードしていると考えるパワーマネジメントは、4つの応用分野に向けて使われているが、2012年はまだ民生&コンピュータ向けが76%を占めていた。2015年にはその比率を44%まで下げた。その代わり2012年には10%にも満たなかった自動車は17%にも増え、2018年にはさらに25%以上にも増やす目標を立てている。また、民生&コンピュータの比率は2018年には37%に低下すると予測している。同社全製品事業部およびセールス&マーケティング本部統括のエグゼクティブVPのMatthew J. Murphy氏(図1)は、民生分野の中で代表的なモビリティとウェアラブル分野での売り上げはまだ重要な分野だ、という。しかし、問題は多く成熟しているため、注意深くトレンドを見ながらビジネスを進めていくと語っている。

差別化製品とコア商品に関しては、消費電力が少ないという強みを生かす。高効率・ハイパワーの電圧レギュレータは、サーモグラフィで見ても発熱していない(図2)。ただし、この図では65Vのレギュレータを比較している。


図2 消費電力の少なさを売りにする 出典:Maxim Integrated

図2 消費電力の少なさを売りにする 出典:Maxim Integrated


「新技術・独自プロセスをユーザーにコミットし、プロセス/パッケージ/マグネティックスなどの開発を続ける。だから半導体ファブを捨てない」。アナログ半導体メーカーのMaxim Integratedは、自社のコアに合ったビジネスをますます強化するためのファブを残す。この2月に、同社サンアントニオ工場をTowerJazzに売却したが、残しているファブに関して、Murphy氏は上記のようにコメントした。

Maximは、売り上げの25%の製品をオレゴン州にあるファブで生産を続けている。Maximはテキサス州サンアントニオ工場をTowerJazzへ売った理由を、「量産工場だったから」、と説明する。現在残っているオレゴン工場は、様々な製品を少量生産するのに使うとしている。この工場では、いまだにアルミゲートのMOSや、3µm/5µmとレガシーな製品でさえ製造できる。ただ、デザインルールが長い製品はパワートランジスタやパワーICを製造する。また、消費電力が非常に低いマイコンも製造している。

同社が得意なパワーマネジメントチップPMICは、応用製品ごとに対応しなければならない少量多品種製品。電子機器ごとに供給電源電圧は異なる。スマートフォンでさえ、3.6Vのリチウムイオン電池1個で、10種類程度の電源電圧や電流の電源を供給している。少量多品種でしかもパワーマネジメント製品は、Maximにぴったりといえる。

Maximは元々ファウンドリを使って量産製品を作ることに慣れていた。2008年には山形県の酒田にあるエプソンの工場をファウンドリとして使った。徐々に台湾のファウンドリへとシフトしていった。


図3 Maximオートモーティブ製品事業部VPのRandall Wollschlager氏

図3 Maximオートモーティブ製品事業部VPのRandall Wollschlager氏


自動車のチップは、累計で10億個を超えた。この1年で品質認定された製品の出荷総数は3億個だと同社オートモーティブ製品事業部VPのRandall Wollschlager氏(図3)は語る。一般に、アナログICはこれまではスマートフォンがけん引してきたが、2018年までの見通しを見るとあまり売り上げは増えそうにない。しかし、自動車分野のアナログ製品は2018年までに102億ドル、年平均5%で成長していく。このためMaximは応用分野の軸をスマホから自動車へとシフトさせた。

Maximの自動車用IC製品は2015年の15億ドルから2018年には20億ドルへ増えると期待している。年平均成長率はEVバッテリが14%、SERDESのようなシリアルリンクは25%、LED照明が8%、電源用ICが6%と予想している。特にシリアルリンクではADAS(先進ドライバー支援システム)や多数のビデオカメラなどでビデオコンテンツが増えるためGbps級の高速のインタフェースが欠かせなくなる。変わった応用では、ローノイズアンプ(LNA)を集積したアクティブアンテナや65Vのヘッドランプなどの応用例もある。

(2016/03/11)

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