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NY州SUNYとGlobalFoundries、EUVを共同開発、5億ドル投資で拠点設置

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米国における先端半導体開発の拠点の一つ、SUNY Polytechnic InstituteとGlobalFoundriesは、EUVリソグラフィの量産化に向けて5年間で5億ドルのプログラムを推進すると共同発表した。このプログラムではIBMや東京エレクトロンなど半導体メーカー、装置・材料メーカーのネットワークを最大限に利用、開発センターを設立する。

図1 NY州アルバニーにEUV開発センターを新設 写真はCNSEの一部 出典:SUNY Poly CNSE

図1 NY州アルバニーにEUV開発センターを新設 写真はCNSEの一部 出典:SUNY Poly CNSE


これは米ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事のサポートを受け、ニューヨーク州をナノテク研究開発のリーダーとする試みの一環としてのプロジェクトでもある。新設する研究所の名前は、Advanced Patterning and Productivity Center(APPC:先端パターニング・生産センター)で、ニューヨーク州アルバニーのCNSE(ナノスケール科学技術学部)に設置する。

10nm未満の微細パターンではさすがにトリプルパターニングになると生産性は悪化する。一つの加工工程で従来なら1回のパターニングで済んだ工程を3回もしなければならないからだ。半導体のパターニング工程は一般に20〜25回程度のマスクが必要だが、トリプルパターニングだと、チップ製造全体ではこの3倍も時間がかかることになる。EUVなら1回で済む。しかし、EUVの光源となるX線源の出力が低く、露光時間がかかっていた。

最近は、従来よりも1桁多い100W出力のX線源も開発され、感度の高いレジストの開発も進み、その目途が立ってきたため、ここで一気に資金を投入し、EUVの量産化を進めようというもの。開発拠点であるSUNY Polyと量産工場のGlobalFoundriesが新たな開発チームを組むことで、7nmプロセスの開発を加速すると同時に、ニューヨーク州立大学の学生・院生などに新しいチャンスを創出する。

SUNY Polyの学長Alain Kaloyeros氏は次のように述べている。「今回の発表は、クオモ知事が推進するイノベーションによる経済発展モデルの結果である。知事の戦略的な投資は、ニューヨーク州に世界的なナノテク研究のインフラと雇用をサポートしてきたが、APPC設立によりさらにムーアの法則を延長し、全半導体産業に新たなチャンスをもたらすことになる。GlobalFoundriesとIBM、東京エレクトロンとのパートナーシップにより、ここでの専門性と技術的能力を一層向上させ、産業界のニーズを満たし、この複雑な技術の導入を加速する」。

GlobalFoundriesは、IBM Microelectronicsを以前買収したことにより、IBMの世界的な研究投資に直接アクセスできることになり、先端技術開発ができるようになる。「SUNY Polyと共同の新センターにより、7nm以降のプロセスノードの先頭を行くことができる」とGlobalFoundriesのCTO兼研究開発担当シニアバイスプレジデントのGary Patton氏は語っている。

新センターは、EUVリソグラフィ技術の商用化での問題に取り組む。カギはASML社のNXE:3300スキャナーの導入である。これが7nm以降の半導体開発の最新装置であり、NXE:3300Bも続いて導入する。同センターはマスクサプライヤーと材料メーカーにも参加してもらい、パターニング工程の基本問題解決を通してEUVリソの能力を拡大していく。加えて、生産性をさらに上げるプロジェクトもあるとしている。

「IBMは、半導体技術開発のコラボとリーダーを続けることを通じて、クラウドやコグニティブコンピューティングに使う高性能コンピュータを提供することを約束する。APPC へのSUNY Poly CNSEの投資と、新しいASML装置の導入により、EUV技術の量産化の習熟が加速されるだろう。IBM Researchが先導してきたアライアンスは、今年の早い時期に業界初の7nmテストチップをお見せする」とIBM ResearchのバイスプレジデントであるMukesh Khare氏は自信を見せる。

(2016/02/12)

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