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IMEC、「日本はIoTの進展に欠かせない国」

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「これからのIoTは日本にとって重要な分野。しかし、IoTに必要なテクノロジーは枯れた技術だけではない」。こう語るのは、ベルギーの研究開発機関IMECのCEOであるLuc Van den Hove氏(図1)。IoTシステムは、枯れた技術の端末から、演算不可欠なゲートウェイを経てクラウド、ビッグデータ解析、サービス提供という豊富な技術で構成されている。

図1 ITF 2015で講演するIMEC CEOのLuc Van den Hove氏

図1 ITF 2015で講演するIMEC CEOのLuc Van den Hove氏


IMECが11月に東京で開催したIMEC Technology Forum (ITF) 2015には500名程度が参加したという。ITF 2015はもっと日本の企業とコラボレーションしたいとの思いがある。しかもこれからのIoTの進展には、日本は欠かせない国だとする。最近のIMECの売り上げの22%は日本からだとしている(図2)。


図2 IMECの売り上げの22%は日本から 米国の31%に次ぐ 出典:IMEC

図2 IMECの売り上げの22%は日本から 米国の31%に次ぐ 出典:IMEC


ただ、日本の半導体産業は、ファブライトやファブレスなど製造離れを起こしてきた。にもかかわらず日本の企業からの参加を求めるのは「日本では医療機器やICパッケージングで世界をリードしている企業が多いからだ」とVan den Hove氏は言う。日本からIMECに参加している企業は表1にあるように極めて多い。半導体の応用やサプライチェーンでの日本企業は重要な位置を占める。

表1 IMECに参加している日本企業 公表していない企業も他にある
出典:IMECの情報を元にセミコンポータルが加工

表1 IMECに参加している日本企業 公表していない企業も他にある 出典:IMECの情報を元にセミコンポータルが加工


半導体産業は、ビジネス、研究開発ともグローバルに展開している。日本企業にもグローバルな考えが欠かせない。しかし、「これまで日本企業は内向きで考える傾向が強い」(Van den Hove氏)。IMECは日本企業のグローバル化を支援することができるという。IMECには70ヵ国から研究者などが参加している。一方でベルギーには半導体企業がいないという中立的な立場にIMECはいる。

IMECがIoTに力を入れるのは、今後の大きなテクノロジードライバになるからだ。日本でもIoTは重要な分野であると思うからこそ、IoTの最先端情報を共有したいと同氏は考えている。IMECは、IoTの進化が、Intuitive(直感的)IoTに向かうと考えているからこそ、今回のITFではIntuitive IoTをテーマに掲げた、と同氏は述べる。IoTデバイスはもっとインテリジェントになり、センサ自身ももっとインテリジェントになろうと見る。インテリジェントなIoTデバイスを使うシステムは使い勝手がよく、しかも自律的に判断できるようになる。「(だから)Intelもメンバーです」と言う。

さらにIoTシステムでは、古いセンサ技術だけではなくイメージングや、ビッグデータ解析、クラウドベース、センサノードをもっと賢くするエッジコンピューティングなど、半導体で言えば微細化の先端を行くテクノロジーも欠かせない。微細化技術では、「1年前は10W以下だったEUV光源は80W可能になり、EUV技術が急激に進歩した。10nmプロセスではEUVだけではリスクが多いため、マルチパターン技術も候補に上っている。しかし、露光回数が5回以上にもなれば、マルチパターン技術はもはや現実的ではなくなる。7nmレベルではEUVになるだろう」と同氏は語る。演算能力の高いSoCチップが開発される。

日本はIMECにとって重要な市場。半導体やIoT以外の分野でも日本と協力したい、という。自動車、ロボット、人工知能、ヘルスケア、高齢化のソリューションなどこれからも進展する分野には日本の力が求められている。自動車ではトヨタ自動車がベルギーに事業統括会社を持ち、研究開発も行っているという。

(2015/12/01)

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