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商品を可視化できるRFIDタグが続出した2015自動認識総合展

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RFID(Radio frequency identification)タグが展示会や会議の入場券、企業の社員証、パスポートなど人を認識する道具として使われるようになって久しい。しかし、商品に付けて物流や流通などに導入される例はまだ少ない。コストだけではない。使いづらさもある。自動認識総合展2015では、可視化できるよう紙にも情報を表示する試みが登場した。

図1 トッパンが展示した通信距離数メートルの電子ペーパーラベル

図1 トッパンが展示した通信距離数メートルの電子ペーパーラベル


トッパン・フォームズは、電子インクを利用した紙のように薄いディスプレイを含むRFIDペーパー(図1)を開発した。これは主な情報を紙に書き出し、詳細情報をICチップに格納するというモノ。ICチップとアンテナを埋め込んだだけだと、何の商品が入っているのか一目でわからない。このため、専用端末のリーダー/ライターで読み取らなくてはならない。今回の紙に表示するシステムだと、一目でわかる。

周波数が13.56MHzのHFだと、通信距離が短いものの、電磁誘導方式でリーダー/ライターから読み書きできるため、電池はいらない。いわゆるJRのスイカやエディなどのICカードと同じ方式である。トッパンの電子インクカードでは最大20cmまでの通信距離の製品はすでにある。一方、UHF帯(433MHz、860〜960MHz)ではバッテリが必要だが、数m先まで電波は届く。これまでトッパンではHF用の電子ペーパーを開発してきたが、今回は図1のようにUHF帯の紙の電子ペーパーを参考出品した。電池の寿命は10年程度と見積もっている。


図2 航空券程度の厚紙に情報を書き込んだリコーのRFIDカード

図2 航空券程度の厚紙に情報を書き込んだリコーのRFIDカード


リコーも紙で書き換えできるRFIDを展示した。これは、今回が初めての展示ではないが、ディスプレイを使わず、ポリマーをコーティングした紙にRFIDチップを埋め込んだモノ(図2)。この紙に塗り込めたポリマーは通常の定期券やポイントカードにも使われている材料で、140〜150℃に熱すると表示が消え、180℃まで熱すると書き込めるとしている。

RFIDチップとアンテナを埋め込んだ紙をお酒のキャップに封印し、トレーサビリティに応用する例を日本IBMが示した。日本酒は、たしなむ人が海外でも増えてきており、市場を形成するようになった。米国ではその販売が増えてきており、アジアでも需要が増えてきた。しかし、アジアでは日本酒の中身を入れ替えるという偽造団がいる。その被害を防ぐため、トレーサビリティの可視化を目的として今回、日本IBMと車多酒造が協力して、タイの小売店まで無事に届ける仕組みを作った。

RFIDチップを内蔵したラベルを日本酒のキャップに貼り封印する(図3)。そのビンを詰めた箱にまた別のラベルを張りこの箱のラベルを読み取っておく。もし途中で誰かが箱を取り換えたり、瓶の中身を取り換えたりすると、到着地で読み取ればどこで取り換えられたかを判別できる。


図3 日本酒のキャップを封印する紙に埋め込んだRFIDチップ

図3 日本酒のキャップを封印する紙に埋め込んだRFIDチップ


チップに埋め込む情報は、日本酒の生産年月や杜氏名、味わい、特長などに加え、温度のトレース情報も記憶しておく。日本酒は温度が高い場所に何時間も置くと風味が損なわれるからだ。さらに、食べ合わせ料理やそのレシピ情報、酒屋の企業情報を掲載しているfacebookへのリンクなどの情報も格納している。

温度情報は、格納する温度ロガーを箱の中にタグチップとして埋め込み、タイに着いたらそのタグ情報をパソコンに入力する。IBMは、これらの情報をクラウドで管理している。今のところ、この日本酒の偽造品は出回っていないという。

(2015/09/25)

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