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半導体、絶縁体、蛍光の三つのナノ材料で有機エレクトロニクスを容易に

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英国Manchester大学をスピンオフして設立したChromition(クロミションと発音)がナノパーティクルのポリマー材料で有機エレクトロニクスビジネスを始めた。3年前に設立させたが、資金がなく活動できなかった。このほど一般市場から資金を調達、パーティクルのサンプルを試作、このほどナノテク展で日本のパートナー探しにやってきた。

図1 Chromitionの共同創立者、Mark McCairn氏

図1 Chromitionの共同創立者、Mark McCairn氏


同社が開発したナノパーティクル材料の特長は、ポリマー1個の大きさがナノサイズと小さく、室温で水に溶ける(均一に混ざる)、ことだ、と同社共同創立者の人であるMark McCairn氏(図1)は述べる。従来はミクロンサイズのポリマーで、有機溶剤に溶けるが水には溶けにくく、しかも120℃に熱しないと溶けなかったという。


図2 PBTTT半導体ポリマー 左がクロロベンゼンに溶かした試料で、室温ではほとんど溶けないという。真ん中は水にPBTTTを溶かしてみたが全く溶けていない。右が水にナノ粒子を溶かした今回の資料。出典:Chromition

図2 PBTTT半導体ポリマー 左がクロロベンゼンに溶かした試料で、室温ではほとんど溶けないという。真ん中は水にPBTTTを溶かしてみたが全く溶けていない。右が水にナノ粒子を溶かした今回の資料。出典:Chromition


実際にポリマーPBTTT(ポリ(2,5-ビス(3-ヘキサデシルチオフェン-2-イル)チエノ[3,2-b]チオフェン)を従来のミクロン粒子と今回のナノ粒子を比較してみる(図2)と、左の瓶にはPBTTTポリマーがわずか有機溶剤に溶けているが、真ん中の瓶では水溶液には全く溶けず、瓶の底に沈んでいる。右は、黒いインクとして水溶液に均一に混ざっている。Chromitionのこの半導体ポリマー「Elecsphere」インクは室温の水溶液に半導体ポリマーを混ぜることができるので、プラスチックエレクトロニクスの回路やデバイスを印刷プロセスで容易に形成できる。

同社が提供する材料製品は、このPBTT半導体ポリマーだけではない。やはり水に均一によく混ざる赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光材料Luminsphereもある。水溶液はR、G、Bの色に対応していないが、紫外光をあてると、比較的良く見える(図3)。


図3 蛍光ポリマー材料を塗り、紫外光をあてたもの 出典:Chromition

図3 蛍光ポリマー材料を塗り、紫外光をあてたもの 出典:Chromition


同社は3つ目の応用を狙いナノ粒子の絶縁材料Dielecsphereも提供する。これはフレキシブルプリント基板を狙った材料で、キャパシタを作る場合に1V以下の電圧に応答するという。厚さ200nmのフィルムに電極を印刷した例もある。

これらの材料には重金属を使用しておらず、しかも水に混ぜる割合は0.5〜3.0%でよいため、材料を無駄なく使える。この半導体ポリマー材料は極性を付けることもつけないことも可能だという。ポリマー粒子のサイズは、要求特性によって、直径30〜130nmの範囲で変えられるとしている。色に関しては、モノマーでの調整によって色を変えることができるという。

同社は、Manchester大学からスピンオフして設立された。同大学化学科の教授Mike Turner氏と一緒に設立、McCairn氏は知的財産権(IP)を担うオフィスに所属していたという。

同社は、研究開発会社で試作設備は持っているが、量産設備はないため、量産に関して日本の材料メーカーとパートナーシップを構築したいとしている。今の所、ライセンスビジネスは考えておらず、日本のメーカーと共同で量産に持っていくとする。しかも社長(CEO)候補は日本人になる可能性もある。

(2015/02/04)

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