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TowerJazz、パナソニックとの合弁事業を公開

イスラエルを本社とするTowerJazzグループがパナソニックとの合弁によるファウンドリ会社TowerJazz Panasonic Semiconductor Co., Ltd.(TPSCo:パナソニック・タワージャズセミコンダクター)を4月に設立、このほどそのビジネス内容を明らかにした。同社CEOのRussell Ellwanger氏(図1)がTPSCoによる製品ポートフォリオの拡大、さらなるビジネス拡大について明らかにした。

図1 Tower Semiconductor社CEOのRussell Ellwanger氏

図1 Tower Semiconductor社CEOのRussell Ellwanger氏


TowerJazzは、イスラエルにあるTower Semiconductor、米カリフォルニア州ニューポートビーチにあるJazz Semiconductor、日本のTPSCo、と世界に3拠点を設けている。イスラエルの本社工場のTowerという名前ではなく、グループ全体でTowerJazzと呼んでいる。

まず、TPSCo社そのものの役割、現状についての説明では、TowerJazz51%、パナソニック49%のこの合弁企業は、パナソニックが所有していた砺波、魚津、新井の3工場を合わせると、200mmウェーハ換算で月産8万5000枚の生産能力を持つ。1900名の従業員により、プロセスノード0.5µmから45nmまでの幅広いプロセスを提供できるようになった。この内130nmまでのプロセスは他の工場でも持っている。

TowerJazzは元々アナログやRF、パワー、MEMSセンサなどの製品を製造するサービスに強いが、TPSCoのビジョンも「アナログ半導体で世界文化の進展に貢献」としており、純粋にデジタル半導体は積極的に扱わない。TPSCoの本社は魚津工場に設置し、セールスオフィスを東京港区に置き、京都の長岡京市にもオフィスを置いた。

3工場の生産品目、プロセスノードも明らかにした。富山県の砺波工場では、8インチウェーハを使い0.35µm~0.15µmのパワー半導体や不揮発性メモリを生産する。新潟県新井工場は、CMOSやCCDのイメージセンサやアナログICを生産、0.13µm ~0.11µmのプロセスで8インチウェーハを使う。ここではCu再配線サービスも行う。最も微細なプロセスは魚津工場の65〜45nmプロセスで300mmウェーハを利用し、CMOS ICやイメージセンサ、RF ICなどを生産する。


図2 TPSCoのおかげで製品ポートフォリオが拡大 出典:TowerJazz

図2 TPSCoのおかげで製品ポートフォリオが拡大 出典:TowerJazz


TPSCoを含めてTowerJazz全体の製品ポートフォリオは、図2のように広がった。高精細のCMOS/CCDイメージセンサや、遮断周波数fTの高いSiGeバイポーラRFパワートランジスタなどが製造可能になる。加えて、高耐圧CMOSやミクストシグナル半導体、SOI、IGBTなどのデバイスも提供する。車載品質を訴求し、クルマ用半導体とイメージセンサに強いファウンドリ企業となる。

TowerJazzはPDK(プロセス開発キット)をEDAベンダーと協力して作成しているが、まだ十分ではなく、今後拡充していく。2015年はじめには新製品発表を予定しているという。

2014年におけるTowerJazzの売り上げは、前年比75%増の8.2〜8.3億ドルになりそうだ。第3四半期までの2014年累積実績が5億9300万ドルで、前年比60%増となり、第4四半期の売り上げ見込みが75%増の2億3500万ドル前後を見込んでいる。その合計が8億2000〜3000万ドルになる。主な要因は、デザインインによるマスク枚数を増やしたことによる。マイクロンとパナソニックを除くトップ10社の第3四半期までの売り上げは34%増加したという。もちろんパナソニックとマイクロンを含めるとさらに増加率は高くなる。

これまで日本の拠点だった西脇工場は2014年末に閉鎖する予定となっている。西脇工場はプロセスが古く、かつ大量生産のDRAM工場であったため、少量多品種への転換が容易ではなかった。Ellwanger氏の掲げる、「今後したい(want)」と「これからすべき(should)」、「今はこうである(is)」という三つのアクション項目がバラバラになっていた状態がまさに西脇工場で、DRAMラインからの脱却は難しかったようだ。「DRAM時代はビジネスモデルを変えられなかった」といみじくも語っている。これらの三つのアクションが適度に重なった状態を実現する理念こそ、顧客第一主義であり、成長している状態だという。

Ellwanger氏は、西脇工場を閉鎖するにあたって、従業員ができるだけ継続して働けるように、TPSCoへの移動(転勤)やMicronへの転職などを実現したと語った。

(2014/12/18)
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