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National Instruments、IoT時代を見据えた測定器のあり方を示唆

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IoT(Internet of Things)、サイバー・フィジカルシステム、ビッグアナログデータ、SDI (Software-Designed Instruments)。8月5日から開催されたNIWeek 2014の初日の基調講演では、主催者のNational Instrumentsは、メガトレンドIoTを話題に採り上げ、IoT時代に対応する測定器のあり方を示唆した。

図1 NIWeek 2014の基調講演 IoTとそれを取り巻くビジネス分析、ソーシャルメディアの現状を解説

図1 NIWeek 2014の基調講演 IoTとそれを取り巻くビジネス分析、ソーシャルメディアの現状を解説


同社は元々、オシロスコープやスペクトラムアナライザのような測定器を、1台の筐体(例えばPXIシャーシ)とパソコンを使って実現する、バーチャルインスツルメンツという概念を推進してきた。この筐体の中にオシロと全く同じ機能のモジュール、スペアナ機能のモジュールなどモジュールを指すだけで、筐体が複数の測定機能を持つことができた。パソコンは測定シーケンスなどの制御とデータ処理・解析を行っていた。

これを発展させて、設計開発ツールのLabVIEWを加え、パソコン機能さえ筐体にモジュールとして組み込み、基本仕様の筐体シリーズを製品として提供してきた。さらに、2年前のNIWeekでSoftware-Designed Instrumentsという概念を発表した(参考資料1)が、今回はさらにそれを発展させ、FPGAを内蔵することで、テスターや測定器の仕様までもユーザーがフレキシブルに変えられる方向に向けた。


図2 NIのカリスマCEO、Dr. Tこと、Dr. James Truchard氏

図2 NIのカリスマCEO、Dr. Tこと、Dr. James Truchard氏


同社社長兼CEOで共同創業者でもある、Dr. T (ドクターティー)ことDr. James Truchard氏(図2)は、これまでの10年間、タイミングと同期化 (シンクロナイゼーション) にフォーカスしてきたと述べ、タイミングを正確に測定することが重要で、タイミングと同期させることで新しい応用機器が生まれる、と測定器メーカーの役割を明確にした。その結果、GPSと同期化してスマートグリッドアナライザを製作した例や、日本の富士重工製スバルのエンジン制御に導入して安定なハイブリッドカーエンジンに成功した例、古野電気の雨粒を正確に測定して天気予報に活かしている例などを紹介した。

さらにこれからのSoftware-Designed Instrumentsとして、RFやアナログ・ミクストシグナル半導体製品向けのテスターSTS(参考資料2)を紹介した。

これからは、IoTの時代が来ることを見越し、その範囲を民生から工業分野まで広がるようになる、とDr. Tは言う。IoTはセミコンポータルが報告した(参考資料3)ように、ワイヤレスセンサネットワーク(WSN)とM2M(マシンツーマシン)、ウェアラブルやセンサをスマートフォンの周辺につなぐPAN(Personal Area Network)/BAN(Body Area Network)、Industrial Internet(欧州ではIndustrie 4.0)、Smarter planetなど全てを包括してIoTと定義している。

IoT製品は極めて多種多様に渡るため、製品のテストにはフレキシビリティが欠かせない。IoTのデータが集まることでビッグデータになる。そこには高速のマルチレートと並列演算が重要になり、高速化はますます求められる。NIは高周波測定器として今回、最高周波数26.5GHz、帯域幅765MHzのベクトルシグナルアナライザ(VSA)を発表している。帯域幅は802.11ac規格や、レーダーのテストなどに対応するとしている。高速化に加え、GUIの扱いやすさ、作業しやすさも重要だと付け加えた。今回は、LabVIEWに表示された回路図をウェブベースのiPadなどで見ることのできるLabSocketというソフトウエアも発表した。

参考資料
1. NIがワイヤレス分野に本格参入、ハンドヘルドの802.11ac測定器を開発 (2012/08/09)
2. NI、RF/ミクストシグナルIC向けフレキシブルなテスターをリリース (2014/08/07)
3. IoTとは何か(動画) (2014/06/12)

(2014/08/07)

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