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プロセス技術のIPライセンス企業SuVoltaが1060万ドルの調達に成功

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半導体プロセス技術に関するIPライセンスのベンチャー企業であるSuVolta社は、このほど1060万ドル(約10億6000万円)の資金調達に成功した。出資者の1社は富士通セミコンダクターであり、残りはシリコンバレーで有名なベンチャーキャピタルが名を連ねている。

図1 SuVolta社が開発したDDCトランジスタ 出典:SuVolta

図1 SuVolta社が開発したDDCトランジスタ 出典:SuVolta


SuVoltaは、MOSトランジスタのゲートしきい電圧Vthを決めるパラメータの一つである、チャンネル不純物をドープしないことで、Vthのバラつきを減らす技術を開発している(図1)。Vthの分布(ヒストグラム)が極めてシャープな形状となるため、電源電圧を下げられるという特長がある。SuVoltaはIDM半導体メーカーやファウンドリに同社の持つDDC(Deeply Depleted Channel)技術をライセンスするというビジネスモデルを確立した。

DDCトランジスタをフローティングゲート型のNORフラッシュメモリにも集積する技術を2013年12月のIEDMで発表している。狙いは、ワイヤレスセンサネットワークや、IoT(Internet of Things)のセンサコントローラとしてのフラッシュマイコンである。DDC技術は、Vthのバラつきが小さいために電源電圧を下げることができ、低消費電力マイコンに向いている。デバイス性能もバラつきが少ないため、1ノード下の微細化技術と等しいという。

今回、SuVoltaに出資したベンチャーキャピタルには、クライナー・パーキンス・コフィールド&バイエルス(KPCB)、オーガスト・キャピタル、ニューエンタープライズアソシエーツ(NEA)、ノースゲート・キャピタル、そしてDAGベンチャーズがいる。SuVoltaはこの資金を、DRAMやIoT(インターネット・オブ・シングス)、モバイルコンピューティングなどの極低消費電力向けLSIの設計と製造に向ける。同社独自の低電力IC技術の集積化も進める。

今回の資金調達には、顧客というよりもパートナーである富士通セミコンダクターも加わり、この技術の流出を阻止した格好になった。富士通セミコンダクターの取締役執行役員副社長の八木晴良氏は次のように語る。「富士通セミコンダクターは、民生とモバイル市場向けの低エネルギー製品の開発を進めていることをコミットしてきた。SuVolta社への当社の投資は、両社の優れた業務関係を反映している。いろいろなプロセスノードにおいてDDC技術の持つ価値を、自信を持って評価している」。

(2014/01/16)

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