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RSコンポーネンツ、eコマースを強化、紙+ウェブでサポートをさらに充実へ

英国の電子部品・機械部品のディストリビュータであるRS Components社の日本法人アールエスコンポーネンツがモバイル環境からも部品を注文できるシステムを強化している。エンジニアがよく使う電子部品ディストリビュータが3社あるが、RSはその内の1社であり、電子部品と機械部品の豊富さを売り物にしている。

日本の電子エンジニアが部品調達に利用するディストリビュータとして、RS以外にも米国のデジキー(Digi-Key)社、日本のチップワンストップなどがある。RSの特長は、これらのディストリビュータと比べ、グローバルな調達網を利用した豊富な品揃えと、ローカルなサポート体制の充実、しっかりした倉庫を利用した短い納期、という点だ。デジキーはウェブと電話・ファックスだけの注文に特化しており、セールスオフィスを本社以外に置かないという戦略がある。本社・倉庫は米国ミネソタ州の田舎町シーフリバーフォールズにあるが、ウェブと電話・ファックスだけの注文に限定している。チップワンストップは、日本に本社を置くが、やはりウェブからの注文のネット販売を行っている。

アールエスからよく部品を購入する、あるエンジニアは「アールエスはウェブの在庫情報が正確である点がいい」と言う。そのエンジニアは、他のあるディストリビュータの場合、ウェブでは在庫ありと表示されていながら実際には在庫がなく長く待たされることがよくある、と不満を述べている。

RSは30万点以上という豊富な部品を揃え、そのうち12万点を神奈川県の倉庫に常時ストックしている。川崎・横浜の地区のエンジニアの中にはクルマを使って自分で部品を取りに行く人もいるらしい。こういった柔軟な姿勢もユーザーであるエンジニアや研究者に受け入れられる要因だ。ただし、アールエスとしては推奨していないので注意を要する。

今回、アールエスはウェブサイトを全面刷新し、「個人が簡単にアクセスできるようにした」、とRS社アジア太平洋地域eコマース部門マネージャーのMarcelo Wesseler氏は言う。一方、大口ユーザーに対しても、各部門での個別注文ではなくまとめてウェブから1本化すれば、さらに低コストで海外部品を購入できるメリットもある、と日本法人の代表取締役社長の兵頭克邦氏は述べる。同氏は日本ではまだ電話やファックスでの注文も多いが、ウェブだと履歴が残るのでより望ましい、と言う。

最近追加されたサービスでは、オンラインでの見積もりや配送日を指定できることなどがある。近いうちに問い合わせ窓口とのチャットや新しい支払方法、iPadを利用するモバイル環境、なども追加する。

エンジニアが電子機器を作る場合、コンセプト作りから部品検索、調達、評価、PCB設計、生産設計、試作、生産という一連の流れの中で、部品だけではなく3D CADやPCB設計ツールなども入手できる。アールエスは、例えば3D CADではもっといろいろなモデルを増強していく。さらに他のベンダーの3D CADモデルも入手できるように種類をもっと増やしていく。PCB設計ツールはver. 2を11月にリリースする予定だ。


図1 カタログ本のウェブ版も創刊へ

図1 カタログ本のウェブ版も創刊へ


RSは非常に分厚いカタログ本(図1)を出していることでも知られているが、9月1日に発刊するカタログからは、ウェブベースのデジタルカタログも創刊する。カタログを読むための専用ソフトをダウンロードすれば、PCやiPad上で閲覧できる。加えて、RSは情報誌(日本語・英語)も年に数回出しているが、10月発行の分から日本語版もデジタル(iPad)で提供できるようにする。

ウェブでは、営業担当者がブログで情報を発信する予定である。こういったウェブ強化作戦をeSolutionと呼び、顧客の購買をサポートしていく。さらに未来のエンジニアである理系学生を対象に表彰する「RSものづくりアワード」を昨年創設した。このウェブでも「RSユニバーシティプログラム」を秋に向け新たに計画している。

(2011/09/01)
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