セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

NECとレノボのパソコン提携は持ち株方式で互いにブランドを維持する

|

「NECもレノボも共にブランドは残す」。NECとレノボが合弁でパソコンビジネスを展開することになり、7月1日に両社の持ち株会社、「NECレノボ・ジャパン グループ」が発足した。同社エグゼクティブ会長のRoderick Lappin氏は上のように語った。

図1 NECレノボ・ジャパン グループのRoderick Lappinエグゼクティブ会長(左)とCEOの高須英世代表取締役社長(右)

図1 NECレノボ・ジャパン グループのRoderick Lappinエグゼクティブ会長(左)とCEOの高須英世代表取締役社長(右)


NECとレノボが設立した新合弁会社は、NECパーソナルコンピュータとレノボ・ジャパンを傘下に持つ。NECパーソナルコンピュータは、NECパーソナルプロダクツからパソコンを主体とするPC事業を切り離して分社化して出来た。レノボ・ジャパンは、旧レノボ・ジャパンをそのまま新組織に改編されたもの。新会社の持ち株比率は、レノボが51%、NEC側が49%である。


図2 NECもレノボも互いにブランドを維持する 出典:NECレノボ・ジャパン グループ

図2 NECもレノボも互いにブランドを維持する 出典:NECレノボ・ジャパン グループ


両社の販売と生産体制はそれぞれの拠点で行い、商品開発と調達、サービス・サポートは協力してやっていく。NECとレノボのパソコンは、それぞれ従来通りの流通ルートで販売する。また生産についても、NECパーソナルコンピュータは従来通り、旧NECパーソナルプロダクツの開発生産主力拠点の山形県米沢工場で開発・生産し、保守サポートは群馬県太田市の群馬工場で行う。

商品開発をNEC側の米沢工場と、レノボ側の神奈川県大和研究所でそれぞれ行い、それぞれの技術をお互いに利用しシナジー効果を生む、と新会社は期待している。例えば、「NECのスクラッチリペア技術(ノートパソコンのボディ表面を傷つけても自動的に回復できる技術。ゴムのような柔らかく弾性力のあるシリコーン系樹脂などをコーティング)は、レノボのグローバルなパソコンにも使える可能性がある」(Lappin氏)。生産体制では、従来と同様、米沢工場は最短3日間のBTO(build to order)生産や日本品質を特長とする。米沢工場に加え、中国・台湾のODMベンダーも活用していく。

また、調達では、パソコンの共通部品はレノボのグローバルな部材調達能力を活用する。一方、日本市場向けの先端部材、例えば高輝度LCDや3D LCD、TVボードなどはNECパーソナルプロダクツから調達する。

サービス・サポート体制では、NEC側は「121コンタクトセンター」の「使い方相談」を2012年1月に無償化する予定だ。レノボ側は電話対応業務を2011年10月にNECパーソナルコンピュータへ委託する予定である。

今回の新会社設立により、NECとレノボのパソコンシェアを単純に合計すると国内シェアは25%になり大2位を大きく引き離す。NECだけのシェアは市場調査会社のIDCによれば2010年に18.4%、2位の富士通は18.1%だからぎりぎり1位ということになる。ちなみに第3位は東芝の11.8%。2011年における世界市場では、1位のHPが18.9%、続いてデルが12.5%、3位エイサーの12.0%に続き、第4位の11.0%になる。レノボはパソコン市場の成長率を8期(8年)連続上回ってきたとしている。新会社の高須英世代表取締役社長は、中期計画程度の将来展望(約3年後)として、日本市場でのシェアを30%程度まで上げたいとしている。

レノボとの提携は、グローバルな協力体制を築くことで、需要の急激な変化への対応力を付けることができる。グローバルな合弁企業の新しいあり方として、持ち株会社組織で両社のブランド力を維持したまま相互に協力できるこのような体制を、半導体企業も考えてみる価値はありそうだ。

(2011/07/04)

月別アーカイブ