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モロッコのベンチャーがTSV利用のウェーハレベルカメラの設計製造サービス

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北アフリカのモロッコに拠点を持つベンチャー企業ニモテック(Nemotek Technologie)社がCMOSセンサーにレンズをウェーハレベルパッケージングで取り付け、カメラに仕上げる実装サービスビジネスを着実に拡大してきている。

図1 Nemotek社が提供するウェーハレベルカメラ(左は表面、右は裏面のBGA)

図1 Nemotek社が提供するウェーハレベルカメラ(左は表面、右は裏面のBGA)


ニモテックは、TSVを使ったウェーハレベルパッケージングで小型カメラを設計製造するサービスメーカー。顧客がどのイメージセンサーを使うかを決めると、米オムニビジョン(OmniVision)や韓国サムスン(Samsung)などのCMOSセンサーメーカーと協力し、センサーウェーハの仕様を決め、それに応じたレンズを設計する。CMOSウェーハの配線電極はTSVを形成して周囲に設けておく。レンズのガラスウェーハとCMOSウェーハをウェーハ同士で重ね合わせ、パッケージングする。その後、スクライブすることで個別のウェーハスケールカメラとして切り出す。
 
チップサイズ並みの超小型カメラとして例えば、640×480画素のVGAでは4.26mm×4.26mmと小型で、全体の厚さも2.6mmというサイズのカメラを実現できる。ニモテックのこのカメラの特長は、リフロープロセスが使えることだという。ガラスや関連の材料を独自に開発することで表面実装のSMTプロセスが使えるとしている。

同社は2008年設立のベンチャー企業。モロッコ国の首都ラバット市のテクノパークに本社を構え、1万平方メートルの工場を設立している。クラス1万とクラス1000のクリーンルームを備え、実装、設計、製造プロセス、パッケージング、オプティクス、テストなどの経験を積んだエンジニアを集めている。

「最初の顧客はパッケージのアセンブリを依頼してきた。2009年は多くのウェーハレベルカメラが売れた。特にパソコンの液晶ディスプレイ画面の上部に搭載するカメラがたくさん売れた」、とそのビジネス状況を同社シニアセールスエンジニアのAli El Yazghi氏は説明する。その最大の理由は、小型であると同時にリフロー可能であることが大きいという。

超小型カメラの主な用途は、スマートフォンやラップトップコンピュータに搭載する小型のカメラだ。スマートフォンの2番目のカメラや、テレビ会議用のVGAカメラなどの実績はある。自動車では白線検出用のカメラやバックモニター用のリアビューカメラ、などの潜在的な市場がある。「今のところ、ウェーハレベルカメラは参入きていないが、クルマは1台につき7個のカメラを使うようになる。今後、クルマメーカーでの認証試験を通して、入り込みたい」、とYazghi氏は語る。

これまでのところ、先ほどのVGAカメラに加え、VGA用のレンズチップも製品化している。またTSVを利用したパッケージングサービスを提供している。一方、センサーカメラからのビデオ信号を、USB2.0を通してパソコンへ送り、設定パラメータを調整するための開発キットのNEMOKITも提供する。パソコンでカメラ画像を見ながらパラメータを設定できる。

今年、VGA(31万画素)から200〜300万画素のカメラを出荷する計画である。さらに顧客の要求次第ではフレキシブル基板に搭載することも可能だとしている。

(2011/04/22)

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