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特集:半導体産業のグローバル化を進める(1)

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「いまさらグローバル化といわれてもわが社は何十年も前に海外各地に販売拠点や生産拠点を作っている。何をいまさら」という声は実は産業界にある。SonyやPanasonic、Fujitsu、NEC、Toshiba、Hitachi、Mitsubishiというブランド力は海外でも結構強い。

特集:半導体産業のグローバル化を進める


しかし、最先端の民生機器すなわちパソコンや携帯電話機は海外でちっとも売れていない。白物家電は欧州では全然売れていないという声も聞く。かつて米国で一世を風靡した東芝のノートパソコン「ダイナブック」は今や世界的には影が薄い。携帯電話機はさっぱりダメ。いくつかの携帯電話メーカーは中国市場から撤退した。これからは発展途上国を中心に急速に伸びる製品であるのにもかかわらず、日本企業は世界市場をつかめていない。

販売だけではない。海外生産でさえ、人件費の安さを求めて進出したアジア諸国では、大手企業が進出すれば下請企業も一緒についていき、果ては銀行までもが近くに行き、結果いわゆる「日本村」を作っていただけにすぎなかった。とどのつまり、海外の企業や人々に積極的に日本の技術や製品でコラボレーションしたという経験はほとんどなかった。

電子機器だけではない。半導体チップ、特にSoCを得意とする日本の半導体製品の海外比率は極めて低い。日本の顧客に向けて売っている。日本の半導体企業が世界のトップグループを走っていた当時、DRAMは日本よりもIBMやバロース、DEC、HP、NCRなど海外のコンピュータメーカーに大量に販売されていた。DRAMの規格を決めるJEDEC標準化委員会にも必ず出席し、顧客の望むDRAMの仕様をいち早く採り入れ海外メーカーに売っていた。そういった姿は今の日本企業には見られない。

今、海外メーカーは日本を抜き去り、その差を引き離そうとしている。いかにしてその動きに対処するか。そのキーワードこそ、グローバルなコラボレーションなのである。販売だけではない。世界の企業は、設計、製造、サプライチェーン、マーケティングなどについても外国企業とのコラボレーションにより共同設計開発を行い、技術力を養い、生産能力を高め、世界中へ販売する、といったグローバルなコラボレーションに取り組んでいる。ものづくりに強い日本がその力を発揮するためには、設計・製造だけではなく、マーケティングや販売力なども強くするためのコラボレーションが欠かせなくなってきているのである。

このセミコンポータルの特集「半導体産業のグローバル化を進める」は、2008年9月4日に開催した「SPIフォーラム 半導体エグゼクティブセミナー〜グローバル化をどう進めるか」というセミナーをベースに構成している。このセミナーでは、設計から製造、販売、マーケティング、サプライチェーンに至るものづくりのすべてをグローバルでのコラボレーションを図りながらどう実現していくか、を採り上げた。

アイサプライ・ジャパンの南川明副社長は、日本企業が今世界のなかでどのように位置づけられているかをさまざまな指標を元に解説した。半導体メーカーの中でもっともグローバル化を進めようと試みているルネサステクノロジの伊藤達会長兼CEOは、まずは設計のグローバル化を製品の種類、市場の特性などを考慮しながら進めている様子を述べた。半導体メーカーに製造装置を納める東京エレクトロンはすでに海外比率が高い製品を作っている。その東哲郎会長はいかにしてグローバル化を進めてきたか、そのために円通貨ベースの取引、企業の透明性などに努力してきたという話をした。海外の事情についても、グローバルな協力なしで国は発展しないというポリシーを持つ英国の半導体産業、産官学一体で進める半導体ビジネスへの認識などを津田建二編集長が紹介した。その一例として、RFIDのベンチャー企業であるInnovision Research & TechnologyからはCEOのDavid Wollen氏が各国の強みを理解し各国ごとのビジネスを行うという考えを披露した。今後の膨大な市場が期待される発展途上国のひとつインドからは、India IT ClubのディレクタであるHarsh Obrai氏がインドの半導体産業事情について米国からの帰国組が大きな役割を果たすという話をした。

この特集は、これらの講演者が伝えたいグローバル化の真実をセミコンポータル会員が共有するという目的で企画した。このなかから各社がグローバル化を図る上でヒントを見つけ、各社が発展していくことを願ってやまない。


(セミコンポータル編集室)

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