WiMAX、内蔵方式がUSB方式より感度が高いと、ThinkPad T400sでレノボが実証
WiMAXトランシーバ内蔵パソコンの方がUSBドングルのトランシーバを接続したパソコンよりも3.5dBも感度が高くなることをレノボのThinkpad T400sが実証した。7月1日からUQ CommunicationsがWiMAX通信サービスを国内で始めたが、このパソコンはWi-Fiの通信距離を2〜3kmまで伸ばすWiMAXの受信感度をほぼ2倍に上げることになる。
レノボ・ジャパンがこのほど発売したノートパソコンThinkpad T400sにはWiMAXトランシーバを内蔵した。サービスが始まったばかりのWiMAXでは、USBドングルにトランシーバ回路を搭載した、いわゆる外付けタイプのWiMAXトランシーバを使うことが多い。WiFiが始まったときも最初はUSBドングル、次第に内蔵タイプに切り替わっていった。しかし、WiFiでは通信距離が20〜30mしかないため、受送信感度はそれほど問題にならなかった。
WiMAXは2〜3kmの範囲に渡ってサービスするため、カバーされていることに加え、通信速度もMbps以上を当てにする。理想的には最大40Mbpsというデータレートを売り物にしているからである。このため、受信感度が高いことは不可欠になる。
ThinkPadを開発したレノボ・ジャパン ノートブック開発研究所無線通信技術担当部長の藤井一男氏によると、USBドングル方式よりも内蔵方式が有利な点が二つあるという。一つは、WiMAXの受信に二つのアンテナを使ってビームフォーミング技術が使えること、二つ目は、ノートパソコンはLCDモニターを常に立てた状態で使うため最も上にアンテナを設置できること、である。今回、受信感度を上げるためLCDモニターの右上と左上にアンテナを設置した。
実際に、内蔵方式とUSBドングル方式とを比較した。ThinkPad開発の拠点である大和研究所はたまたま、WiMAX受信カバー範囲ぎりぎりでサービス圏外にあった。そこで、内蔵パソコンとUSB差し込みパソコンを5階の窓際に置いた場合、内蔵パソコンは実効スピードが1.5〜2.1Mbpsと本来のWiMAXよりもかなり遅くなったが、YouTubeの動画を見ることができた。USB方式は途中で中断したり接続に1〜3分もかかったりした。さらにこの2台のパソコンを窓から2m離して実験した場合、内蔵方式の感度はほとんど変わらなかったが、USB方式は接続できなかった。
LCD画面の枠の上にはWiFi/WiMAXに加え、UWB、GPS、WWANのアンテナ、ボディ本体にBluetoothのアンテナを設けた。藤井部長は詳細を語らないが、LCD部分の外枠やLCDのカバーなどに、導電性のカーボンファイバ強化プラスティック(CFRP)と非導電性のガラスファイバ強化プラスティック(GFRP)を用いている。2.6GHzでの電界強度を測定した例では、3次元のゲインパターンは左右別々の放射パターンが球状のミクスした放射パターンを示し、USBアンテナの放射パターンよりも強い強度を示した。
さらに接続するためのソフトウエアAccess Connections Ver5.0ではGUIを刷新、Ver5.3でWiMAXもサポートした。誰でも接続状態を見ることができ、しかも強度の強い基地局を見つけることができる。