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マイクロンから西脇工場を買ったタワージャズが初めてその姿を明らかに

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Russel Ellwanger氏、イスラエルTowerJazz社CEO

イスラエルに本社を置くタワージャズは、米国、日本と3極体制でアナログおよびミクストシグナル半導体を専門に製造するファウンドリ企業である。このほど初めて日本でその全容を明らかにした。同社CEOのRussel Ellwanger氏は経営哲学を語った。

図1 TowerJazz社CEOのRussel Ellwanger氏

図1 TowerJazz社CEOのRussel Ellwanger氏


Ellwanger氏は、フィリップスセミコンダクター、ノベラスシステムズ、アプライドマテリアルズなどを経験し、2005年にタワージャズのCEOに就任した。タワージャズは、アナログに特化したファウンドリであり、デジタル半導体は基本的に手がけない。同社の顧客はファブレス半導体企業とIDM(垂直統合の半導体メーカー)であり、顧客のためにデザインセンターを世界中に持つ。設計ツール、PDK(プロセス開発キット)、シミュレーション、モデリングなど、チップ製造に向いた設計データを得るために顧客をサポートする。設計ツールやIPを持つからと言って決してIDMと競合するようなことはしない、と断言する。

ファブレス企業に対しては、設計作業をサポートする。IDMに対しては、IDMのプロセスを移管して生産能力を上げるサポートをする。これをTOPS(Transfer Optimization Process Services)と呼び、顧客の機密をしっかり守り、ウィン-ウィンの関係を築くことに注力する。もちろん、ファブレス企業に対してもプロセス重視の企業に対してもTOPS事業を提供する。

アナログとミクストシグナル製品として同社がカバーするのは、HPA(高性能アナログ)、RF、CMOSイメージセンサ、パワーマネジメント、MEMS、TOPSなどの分野だ。高周波性能なら最大動作周波数fMAX = 280GHzおよび最大発振周波数fT = 240GHzのSiGeバイポーラトランジスタプロセスから、パワーだと耐圧700VのLDMOSトランジスタのプロセスまである。さまざまなプロセスプラットフォームを用意し、それに合わせたPDKも取りそろえている。EDAパートナーやデザインハウスとも組んで、失敗のない設計とプロセスを提供できる体制を整えている。

ファウンドリ工場として、イスラエルに6インチのFab1と8インチのFab2、米国ロサンゼルス郊外ニューポートビーチに8インチのFab3、そして日本の兵庫県西脇市に8インチのFab4がある。

同社は元々イスラエルのタワーセミコンダクターから出発した。ここは1993年に米ナショナルセミコンダクターの工場を買い取ったもの。2002年にコネクサントシステムズ社(ロックウエルから半導体工場をスピンオフした)は、ジャズセミコンダクターをファウンドリ企業としてスピンオフさせ、自らはファブレスとなった。2008年にタワーセミコンとジャズが合併してタワージャズになった。2011年6月にタワージャズが西脇にあったマイクロンテクノロジーの工場を買収し、タワージャズジャパンとなった。いわば買収に次ぐ買収によって会社を大きくしてきた(図2)。タワージャズはグループのファウンドリビジネスのブランド名でもある。


図2 タワージャズはプラス成長を継続

図2 タワージャズはプラス成長を継続


会社を買収して大きくすると、いろいろ企業文化の違いが表れてくる。そのような違いを持ちながら会社を成功に導く要素は二つある、とEllwanger氏は言う。一つはビジョンを明確にすることである。タワージャズはアナログに特化したファウンドリ企業として世界のトップになることを目指す。このことで顧客はどこにもないユニークな製品を手に入れられる。もう一つはスタッフとの情報共有である。このビジョンをスタッフに明確に与えることで、企業の成長に必要なスキルとは何かを理解できる、とする。スタッフがビジョンを理解して進化させていくことも重要だという。

Ellwanger氏は企業に重要なのはフィロソフィ(哲学)だとする。会社の進むべき方向をフィロソフィとして決め、語り、顧客とも共有する。このことで顧客と同じ方向に進むことができるという。顧客もパートナーもスタッフの一員であると同氏は考えている。

そして、3カ所の工場に共通する特長は、三つあるという。一つは卓越した個人の能力、二つ目は働きやすい環境、そして三つ目は情熱のある社員が揃っていることである。この三つのいずれが欠けても成功しない。

時代の変化に対して、会社をどのような方向にするのか、を明確にすることだと述べる。今がどういう状態なのか(is)、将来何をしたいのか(want)、そしてそのために何をすべきなのか(should)という3つのエレメントをぴたりと合せて情報を共有することが変化に対応する手法となる。そのためには常に顧客にヒアリングし、時代の状況を把握していることである。加えて、現在の顧客のニーズをくみ取るだけではなく、将来に渡って第1世代、第2世代、第3世代の製品イメージを顧客と共有することが重要になると語る。

2012年9月にはパワーマネジメントのVisay社の製品をTOPS手法で量産することで両社が合意した。タワージャズはさらに将来を見据え、インドのパワーインフラ関係の企業とIBMとの3社の共同チームでインドに半導体工場を設立するというプロジェクトを進めている。300mmウェーハを使い、90nmアナログプロセスのロードマップを描き、インド政府に45億ドルプロジェクトとして提案しているという。

(2012/12/06)

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