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日本半導体の復活を望む、立法・行政・民間の想い(2)〜WDのストレージ戦略

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キオクシアと同じ四日市と北上の工場に投資・運用しているWestern Digitalは、次の時代のコンピュータシステムがCPUセントリックからデータセントリックに変わる、との認識を示した。それらはクラウドからネットワークを経てエッジやデバイスに至るまで広がっていくとした。データ生成量は2026年には現在の2倍の2ZB(ゼッタバイト)を超える勢いで増加する(図1)。

Moving from EXABYTE to ZETTABYTE Era / Western Digital

図1 データ量はEB(エクサバイト)からZB(ゼッタバイト)時代へ 出典:Western Digital


1ZBは、Exa Byteの1000倍で、10の21乗バイトとなる。2021年まではデータストレージ量はEB(エクサバイト:10の18乗バイト)だったが、データを貯めるストレージ量がさらに増加するデータ時代にはこれまでのEB(エクサバイト)からZB(ゼッタバイト)へとデータはさらに膨らんでいく。

特にクラウドコンピューティングを支えるデータセンターのストレージはますます増加するが、これをけん引するのがますます広がるエッジデバイスである。Western DigitalのPresidentであるSiva Sivaram氏(図2)は、「IoTやVR(仮想現実)、メタバース、ビッグデータなどがけん引し、特にメタバース応用はデータが爆発する」と表現する。


Flash: Trends That Enable the Digital Revolution / Western Digital

図2 Western DigitalのPresidentであるSiva Sivaram氏 出典:Western Digital


WDは、キオクシアと四日市工場と北上工場で合計9つのメガファブを共同運営しているが、2021年までに15年間以上に渡り累計で400億ドル(約5兆2000億円)を投資してきたという。18カ月ごとに新しいNAND製品技術を産み出し、2001年から15世代の製品を設計・製造してきたとSivaram氏は述べている。

ゼッタバイト時代に備え、データセンターにおいてコンピュータとストレージの関係は今後、変わっていく。従来のようにコンピュータとストレージを一つのパッケージとするのではなく、分散した複数のコンピュータを巨大なストレージと、巨大なメモリで構成する(図3)。


Future Data Center / Western Digital

図3 これからのデータセンターのコンピュータとストレージ 出典:Western Digital


分散化した各コンピュータが巨大なメモリとストレージを共有し、全てのコンピュータの高速化を支援する。コンピュータ(CPUボード)とメモリは近ければ近いほど高速になり、しかもコンピュータごとに共有メモリが使えればコンピュータ間の速度差はなくなる。ストレージ側でも同様に、各コンピュータにデータを共有できれば速度差はなくなる。ただし、データセンターでのストレージデバイスは階層構成されており、SSDやHDD、デジタルテープと、コールドストレージからホットストレージまで揃えている。

HDDも設計製造しているWDのSivaram氏に、SDDとHDDで互いに食い合う「カニバリズム」はないのかどうかを質問すると、「よく聞かれる質問だが、クライアントデバイスではその傾向があったものの、データセンターは階層構成で使い分けされており、共存している。HDDもSSDも共に、高集積化によるコストダウンを図っているため、それらのコスト差は変わらない。フラッシュは依然としてHDDよりも10倍高価だ」と答えている。確かに大量のアーカイブデータを扱うテープは未だにデータセンターだけではなく、スーパーコンピュータのストレージにも使われている。めったにアクセスしないアーカイブ用途に高価なフラッシュを使うことはあり得ない。


Innovative Storage / ウエスタンデジタル

図4 これからの新しいストレージシステム 出典:ウエスタンデジタル


ストレージシステムそのもの(図4)でさえ、これまでとは違う構成の仕方になるだろう、とウエスタンデジタルジャパンプレジデントの小池享義氏(図5)は語る。従来はストレージデバイスにデータをランダムに貯めるだけだったが、これからはデータを整理した形で保存することになるだろうという。データをストレージに積み込んだ後、整理分類して保存する。


ウエスタンデジタルジャパンプレジデントの小池享義氏 / Western Digital

図5 ウエスタンデジタルジャパンプレジデントの小池享義氏


整理分類するためにはAI(機械学習)が必要で、そのためにはAIチップを設計する必要がある。データ駆動型コンピューティング的なニューラルネットワークモデルで演算するAIチップには多数の並列積和演算器とメモリ、制御用CPUが必要となる。これをRISC-Vアーキテクチャで実現する、と小池氏はニヤリと語る。WDはRISC-V Internationalの会員企業である。これまではフラッシュメモリコントローラにRISC-Vを使ってきたが、これからはそのRISC-VをさまざまなコントローラやSoCに活かしていくようだ。

参考資料
1. 「日本半導体の復活を望む、立法・行政・民間の想い(1)」、セミコンポータル (2022/08/12)

(2022/08/17)

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