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最初の商品SiC JFETを使ったEasy1Bパワーモジュール−前編

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SiCトランジスタの初めての商品を紹介する。ドイツのインフィニオンが開発したこのJFET(接合型電界効果トランジスタ)はMOSFETに先駆け、世に出ることになる。この記事はドイツの英文雑誌Bodo’s Power Systemsに掲載されたものである。セミコンポータルはBodo Arlt編集発行人とインフィニオン社から翻訳掲載の許可を得た。長文のため2回に分けて連載する。今回は第1回目である。(セミコンポータル)

著者:ドイツ インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies)社 Marc Buschkuhle、Daniel Domes

パワーエレクトロニクスでは、損失を減らすことが最大の課題の一つである。SiCのようなワイドバンドギャップ半導体スイッチは、抵抗が低く、スイッチング損失が少ないという点で最高の性能を提供できることが知られている。10年前、インフィニオン社はSiCショットキバリヤダイオードを製品化した。今、SiCのJFETを低ロスのパワーデバイスとして満を持して準備している。

インフィニオンのEasy1B PressFIT実装コンセプトのメリットを組み合わせ、高効率で高信頼、堅牢で使いやすいソリューションを提供する。

SiCパワーデバイス
SiCパワーデバイスを一つのパワーモジュールに組み込むこと自体は新しい技術ではない。数年前、SiCショットキバリヤダイオードの持つ、損失の少ない可能性を利用し、IGBTのターンオンエネルギーを減らし、ダイオードのリカバリ損失を減らせることを示してきた。SiC JFETが製品として間もなく入手可能になるため、フルSiCのデバイスで損失をさらに減らせる可能性が出てきた。IGBTのテール電流による損失をなくせるようになるからだ。新しいSiC JFETモジュールが狙う応用分野は、再生可能エネルギーやUPS(無停電電源)など効率重視の分野である。

直接駆動JFETの簡単な回路
新製品の1200V/30AのSiC JFETモジュールでは、顧客ニーズに最もよく合うとしてハーフブリッジ構成を選択した。これによって、市場投入までの開発期間を短縮し、全く新しいレベルの効率に引き上げられるようになる。

図1に、モジュール構成、Easy1Bモジュール、チップ搭載写真を示す。1個のスイッチは3つのSiC JFETからなる。25℃の接合温度での最大オン抵抗はいずれも100mΩである。


図1 直接駆動のJFET

図1 直接駆動のJFET
(a) モジュール回路、(b) 1200V/30AのEasy1BモジュールFF30R12W1J1_B11、(c) チップ搭載例


2個の低電圧pチャンネルMOSFETをJFETに直列に接続している。この基本的なアプローチがいわゆる、「直接駆動JFET」である。

この背景にあるアイデアは、低電圧のMOSFETを通常の動作のままオンさせ続けることである。そうすると、JFETはゲートドライブ段によって制御できる。ゲート回路はロジックレベルの信号で好きなようにスイッチングさせることで制御する。従来のカスコード接続回路と比べ、直接駆動JFET技術を使えば、JFETのスイッチング動作を制御しながらダイナミック損失も減らすことができる。

pチャンネルMOSFETを選んだのは、JFETのゲート駆動パスの中で寄生インダクタンスが最も低く下げられるからである。これにより、駆動回路全体を1個のゲート駆動ICとして集積し簡略化できる。

このことに関していえば、インフィニオンは現在ゲート駆動ICソリューションを開発中である。これを使えば、ユーザーはこの直接駆動JFETをまるで普通のノーマリオフ型のスイッチングデバイスとして動作させることができるようになる。さらに、安全性の見地からいえば、ユーザー側はなにも気にせずIC内で全ての安全性技術が制御されているようにみえる。


モジュール設計を最適化する
SiCダイオードファミリはEasyモジュール(図2)に量産されて使われている。その結果として、インフィニオンのSiC JFETは実績のあるEasy1Bパッケージに入れて市場に投入されることになる。


図2 最大165ピンまで備えたフレキシブルなEasyモジュールファミリ

図2 最大165ピンまで備えたフレキシブルなEasyモジュールファミリ


インフィニオンEasyモジュールのコンセプトは、数年前に製品化された。実績のあるフレキシビリティや品質、信頼性を持ち、いろいろな工業用途で大量に使われてきた。さらに、EasyBモジュールは自動車用途でも使われ成功してきた(www.infineon.com/autoeasy)。取り扱いを簡単にして接続の品質を上げるため、モジュールにはPressFITコンタクト方式を用いた。従来のハンダ接続と比べ、実装の作業が大幅に削減され、生産コストを下げることができる。

89ピン配列のフレキシブルモジュールピングリッドによって、寄生インダクタンスの低い最適なレイアウトがSiC JFETのEasy1Bモジュールに施されている。

この基本的な実装技術が、SiC JFETのような高速スイッチングデバイスを取り扱うのに向いている。研究所で行ったシミュレーションとテストでは、レイアウトを最適化すれば寄生インダクタンスを10~15nHに減らすことができた。(続く)

(2011/08/18)

編集室注)
The article is permitted to translate from "1st SiC JFET Easy1B Module" in Bodo's Power Systems published by A Media, along with a permission of Infineon.

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