セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

欧州から学ぶべきことはまだまだ多い

|

2年ぶりにスペインのバルセロナを訪問、日曜日に、ガウディ作のザグラダファミリア大聖堂を見学した。工事が100年単位に及び、いまだに工事中である。教会を支える支柱の1本1本に細かい彫刻を施し、最新の彫刻にはまだラフスケッチの状態に切り出し出したままのものもあった。100年単位の工事に圧倒されると同時に日本が学ぶべきものがまだ多いことを考えさせられた。

この大聖堂では、全体の工事を進めると同時に、これから基礎を作るという個所もある。支柱には鉄筋コンクリートを流し入れて作っている最中のものもある。ガウディが設計したときには鉄筋コンクリートという考えはおそらくなかったに違いない。もしガウディが生きていたら、自分の設計とは違うと怒りだすかもしれない。しかし、初期の大聖堂の概念を創造したのはガウディであることは間違いない。

この大聖堂を見てどこからのお金を使って工事を続けているのだろうか、と疑問に思った。現地の方によると、行政からの資金だけで賄っているのではないという。今では、入場料を設けて内部を見学できるようになっているため、その収入もかなり多い。バルセロナには年間300万人の観光客が訪れるといわれている。このうち100万人でも入場してくれたら、その収入は数10億円にも上る。

何が言いたいのかというと、年間予算をすべて税金から賄うのではなく、民間的な発想の自助努力で賄えばそれ相応のことができるのではないか、ということだ。国家財政が国民一人当たりでは夕張市並みに破たんしている現在、固定している予算の考えではなくもっと運営しながら収入を得るという考えも導入できるのではないかということである。

大事なことは、ものの考え方である。この方法から学べることは、一つは自助努力で稼ぐ方法を検討すること、二つ目は収入源を運営しながら回していくということ、の二つである。すべて、固定して考えるのではなく、フレキシブルにその時々に変えて考えていくことで、新しい道は開ける。いや、もう一つあった。こういったお手本を見習うことも重要であろう。

欧州には日本がまだ見習わなければならないことが多い。バルセロナやその後に行ったパリの道路は石畳でできており100年単位で長持ちするように設計されている。10年ほど前にロンドンの観光バスに乗った時に、イギリス人のガイドさんが「この建物はまだ若いわ。250年しかたっていないのよ」と言っていたことを思い出した。

欧州の建物は、外見は数100年維持しながら、内部のインテリアはしょっちゅう取り換える。借り手が変わるごとにインテリアを作り直すことが多い。古い建物でも内部は新しいインテリアで満ち溢れていることが多い。パリの建物は中心街では高さ制限があり、立て直すことを禁じている。パリ市内では高層ビルは建てられない。オランダの住宅街では外装は茶色で窓枠は白という制約がある。だから、街並みが美しい。

何でも間でも規制は緩和せよではなく、街を美しく保つ、あるいはみんなが暮らしやすい街にするという視点に立った規制であればむしろ積極的に保ち、日本らしさ、日本の美しさを残し維持することも大切ではないだろうか。最近東京で、ある漫画家が家の外壁と形状を奇抜なものに変えて、近隣住民から非難されているというニュースがあったが、これも何でも自由に勝手に建物を立ててよいと自由をはき違えていることからくる問題である。

規制緩和で国民が注意しなければならないことは、その規制によって多くの国民が利益を享受しているだろうかどうか、という視点であろう。一部の官僚、政治家、企業だけが恩恵を被る規制は撤廃すべきであろうが、この視点をどう作り出すかという議論を願う。

月別アーカイブ