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半導体製造装置の新しいビジネスモデルを考えよう

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かつて、メインフレームコンピュータは買い取りではなく、リース販売であった。1台の価格が高額すぎて1社ではとても購入できない機械だったからだ。今、半導体製造装置があまりにも高額すぎて半導体メーカー1社が購入できない商品になってしまった。もはや装置を売り切る時代ではなくなってきたのではないだろうか。製造装置はリースで借りて使うもの、という商習慣を普及する時期に来ているように思う。このような前提に立てば、業界再編やコラボレーション、キャッシュフロー経営などさまざまなビジネスモデルが変わる。

SEMICON Japan 2008


セミコンジャパンに来て、今回の不況で即直接の影響を受けた製造装置業界を肌身に感じて、上のようなことを考えついた。従来の不況は、景気後退→電子製品の不振→半導体不況→製造装置不況という順番でやってきたのだが、今回は金融不況→即製造装置不況という順番で来た。もしかすると半導体不況→電子機器不況という、逆のコースをたどるかもしれない。だから、製造装置の販売が来年も20%以上の減少になるとSEMIは予測した。

だったら、思い切ってビジネスモデルを変えてしまい、製造装置は高額すぎるためリース販売しかしない、ということに商習慣を変えてはどうだろうか。半導体メーカーは1社でアセットとして装置を持たなくてもすむため、キャッシュを残し設備投資ができる。半導体メーカーは減価償却を考えることなく自分のコアコンピタンスに集中する戦略を採れる。アセットではないから償却期間を考える必要はない。キャッシュフロー経営重視ができる。製造装置メーカーには毎月安定したローン収入が入る。装置に知財を加えると、海外メーカーが稼げば稼ぐほど装置メーカーの収入が増える仕組みを作ればよい。ロイヤルティ方式のようなビジネスができる。台湾、韓国が稼げば稼ぐほど日本の製造装置にお金が落ちるという仕組みに持っていくことが可能になる

製造装置はローエンドからハイエンドまで幅広いポートフォリオを構成し、それぞれのビジネスモデルを変えるという戦略もあり。半導体メーカーにとっても製造装置メーカーにとっても財務のフレキシビリティが増すため、さまざまなオプションを用意し、自社にとって最も都合の良い方法を採用すればよい。

2008年から2009年の製造装置の落ち込みと半導体メーカーの活性化のためにはこういった思い切った手を打つ必要があろう。これまでのような小手先の変更ではなく、一大変革をもたらさなければ国内半導体産業の明日は来ない。

リース方式は半導体メーカーにとってあまり重要ではないと思うのなら、どのような手でこの不況から脱出するのだろうか。じっと我慢とか、じっと耐えるだけでは次の未来は切り開けない。かえって次の好況期のビジネスチャンスを逃しかねない。今新しいビジネスモデルを切り拓き、日本の技術をお金に結び付けられるような新しい仕掛けを創造しなければますます沈没しかねない。世界の半導体産業は今後も平均5~8%で成長していく産業であるのだから、その波に乗り遅れない仕掛けやビジネスモデルの構築を急ぐべきだ。さもなければ、せっかくの日本の優秀な技術が腐ってしまう。

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