Semiconductor Portal

» ブログ » 津田建二の取材手帳

セミコンポータルはメディアです

楽天がTBSの株を増やそうとしている。インターネットと放送との融合などという表現で新聞紙上をにぎわすことが多い。しかし、楽天はインターネットを通して、ショッピングモールを展開している企業であり、銀行経営や証券ビジネスなどの金融業も手がけている。コンテンツを主体的に提供するメディアではない。メディアである放送とショッピングモールや金融の経営とは本来全く違う業種である。決して融合はしない。

メディアは情報提供によって業界内をつなぐ媒体であり、報道機関という言論の自由が守られるべき立場にある。言論の自由に対する他からの圧力は嫌う。もちろん、メディアは他へ圧力をかけてはならない。インターネットバンキングやインターネットによる株の取引など、とは全く違う業種である。放送界は言論の自由をうたった報道機関の一業種である。ただし、報道機関は言論の自由とプライベートとの区別に注意しなければならない。取材と称してプライバシーに踏み込むことは許されない。

メディアは、コンテンツを通して読者と読者、あるいは読者と広告主などが出会う場となる。広告主と読者との出会いの場が紙であれば雑誌になり、インターネットであれば情報発信のサイトとなる。セミナーならリアルの出会いの場となる。半導体業界においていろいろな企業を結び付ける場がセミコンポータルである。ここはメディアであると同時に、取引の種類によってはコミッションビジネスも行う。メディア的な色彩が強いのは、コンテンツ提供という業務が主体だからである。半導体業界の株主十数社が出資した一種のコンソシアムでもある。株主には競争企業同士も含まれるため、かえって中立性が保たれることになる。

メディアとしての業務を遂行すると、この中立性が強く求められる。時には株主である半導体産業の欠点を指摘することもある。しかし、株主に対して遠慮して問題を指摘せず放置していると、そのような産業はこの先どうなるか。欠点を指摘されないままだと業務改善もされない。結局、事業としての成長力が低下していくことになりかねない。だから、合理性のある批判は行う。理由は半導体産業のポジティブな発展を願うからだ。

もちろん、メディアであり、言論の自由を尊重するからこそ、ポジティブな反論がくればそれを掲載したい。6月まで在籍した以前の会社でもブログを書いていたが、寄せられるコメントのうち、掲載しないでほしいという要望や、ポルノサイトへのURLを記したコメント、プライバシーに関する意見などを除き、すべて掲載した。反論が来たら反論を掲載し、サイト上で読者同士の議論を戦わせたかったからである。

このブログはまだそのような仕組みにはなっていない。しかし、反論や異論を載せられる仕組みを近いうちに作っていきたいと思う。半導体産業の人たちの熱い議論をこの場で交わしていただきたいからだ。このセミコンポータル上で熱くてクールな議論が続くようになれば、議論する当事者たちの産業は発展し続けると信じている。セミコンポータルもメディアとしての役割を全うできる。


津田建二

ご意見・ご感想