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ビジネスモデルを構築できる半導体エンジニアの育成を急げ

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テレビ東京に「技あり!にっぽんの底力」という番組がある。日本にはまだまだ一流の技術が数多く残されていることを強調する番組だ。日本の半導体メーカーを見ていても技術はあることを強く感じる。それは確かだ。しかし、その技術がちっとも売り上げ・利益に結びついていない。これも事実である。さあ、どうする!

技術力は間違いなくある。45nmプロセスにせよ、32nmプロセスにせよ、製造技術はどの半導体メーカーも持っている。チップの設計力もある。設計ツールの使い方は十分すぎるほど熟知している。RTLフォーマットでもGDS IIフォーマットでも設計力は高い。しかし、これが会社の業績に結びついていない。

業績に結び付けるためにどうすべきかという命題に半導体メーカーは考えて議論し尽くしてきただろうか。技術力をどのように効率良く生かし売れる製品に結びつけたらよいのだろうか、考えたことはあるだろうか。良いものを作ったのだから、それが売れないのは営業員が悪い、と思っているエンジニアはいないだろうか。技術者が上で営業員が下、とみるエンジニアはいないだろうか。エンジニア自ら、良い製品とは何をもって定義するのか、考えてみたことがあるだろうか。

このようなテーマをもし本気で議論し尽くし、ソリューションを見出しているのなら、とっくに売り上げあるいは利益が伸びているはずだ。

もはや、「良いものを作れば売れる」時代では決してない。たとえエンジニアが作った商品を良いものだと思っていても顧客がよい商品だと思っていなかったとしたら。。。それはエンジニアの自己満足に過ぎない。

良い商品かどうかは顧客が決めるのであって、エンジニアが決めるのではない。顧客と話し合っているうちに顧客の欲しいものはもっと性能は落としても価格の安いものかもしれない。話をしているうちに顧客の本当に求めるものが理解できるようになる。それが本当のマーケティングである。

1980年代後半以降、米国のエンジニア、研究者だった人たちと次に会うとマーケティングマネジャーになって技術部からマーケティング部に異動しているケースによくぶつかった。B2Bの世界では、顧客の求めるものを知ることができるのはエンジニアである。消費者向けの商品なら顧客は個人だろうが、B2Bの顧客はエンジニアであるなら、エンジニアが売り込みに行かなければ顧客の要求は理解できない。

エンジニアの作る製品は往々にして過剰品質、高価格、余分な機能、過剰性能などに陥ることがある。顧客の望む製品は顧客のもとへ行き、何度か足を運ぶうちにようやく理解にたどりつくことが多い。顧客の欲しいものを製品にしていなければ決して売れることはない。過剰品質、過剰性能、過剰機能は余計なお節介である。顧客はお節介を望まない。単純に、顧客が欲しいと思う仕様の製品こそが時代にマッチした売れる商品になる。顧客の要望を無視すると時代遅れになることは言うまでもないが、時代を先取りしすぎて空回りすることだってある。時代にマッチした製品の開発に必要なものこそ、マーケティング力である。

これからは、マーケティング力だけではなく、さらにもう一歩踏み込まなければ、利益率を上げることはできない。ではどうするか。ここに新たにお金が入るビジネスモデルを構築できるかどうかで、企業の成否がかかってくる。IPR(知的財産権)をいかに活用するかといえば、すぐ特許のことにしか知恵がないことも問題である。

企業の持っている技術力をIPRとして、どう生かすか。IPRからお金を取れる仕組みを作れば、もっと新しい技術を作り出すことができるくらい資金力が生まれる。ここにも知恵を絞るべきであろう。ただ単に製品を作って売ればよいというだけではない。開発に知力を尽くし切ったとなれば、その知力の代償をいただくことにも知力を使うべきだろう。

たとえば、ファブレス半導体メーカーの米クワルコム社がなぜ成功を続けているか。同社はIPRにこだわり続けている。技術を開発すれば、その技術が将来に渡って拡張性を持たせることにも知恵を注ぐ。だからこそ、ファブレス半導体のナンバー1になった。最近では垂直統合のNECエレクトロニクスさえも抜きさったファブレスになった。

お金を馬鹿にするエンジニアはもういらない。お金儲けは決して悪いことではない。事業を続ける上で必要不可欠なものだ。事業が突然断ち切れれば、従業員が路頭に迷うだけではない。顧客にも迷惑がかかる。周りの金融機関だけではなく直接的・間接的に関係するすべての人たちに迷惑をかけることになる。

エンジニアがビジネスモデルにもっと気を使い、利益向上にもっと積極的に考えるようになれば企業の業績は上がると思うのだが。技術を開発してきた知恵を新しいビジネスモデルの開発にも注ぐべきではないか。

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