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Mentor GraphicsのCEO、懐の深いWalden Rhines氏との朝食は楽しめた

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今日、Globalpress Connection主催のeSummit2009の朝食において適当なテーブルを探していたら、半導体設計ツール企業のMentor GraphicsのCEOであるWalden Rhines氏が食べている席が空いていたので、同じテーブルについた。昨年、ここでインタビューさせていただいた津田建二ですと握手を求めると、覚えていますと答えてくれた。Rhines氏はこの日、朝一番の基調講演を予定しており、サンノゼから朝早くサンフランシスコまで駆けつけてくれた。

Mentor Graphics CEOのWalden Rhines氏


Rhines氏の講演はいつも話が上手で人を引き付ける魅力がある。しかもジョークをうまく織り交ぜながらの話は定評がある。せっかくトップ経営者と同じテーブルについたのであるから、最近の景気動向についてたずねてみた。このひと月程度の間に半導体の出荷が上向いているとし、これまで11月ごろから2月ごろまで必要以上に在庫を圧縮してきたその反動が見られると言っていた。「(電子回路での)アンダーシュートのようなもの」という表現をしていたが、セミコンポータルがこのところ伝えてきたような半導体出荷の反動がきて、少し是正するというようなものであることが確認できた。ただし、強い需要が出てきて半導体の出荷が増えたわけではないことは、Rhines氏もセミコンポータルと同様に感じている。一緒に朝食をとりながら私も取材してみて、そのような感じを抱いていることを伝えた。

「ところで、タイワンメモリーのパートナーはエルピーダなのかマイクロンなのか、どう思う?」と聞かれ、「夕べ、エルピーダからTMCのパートナーに決まったというプレスリリースを受け取りました」と答えると、目を輝かせながら、「そうですか。それはグッドニュースだ」と言った。坂本社長は並みの社長ではない、しっかりした半導体経営者であり、日米を問わず非常に優れた経営者だ、と絶賛した。

「彼がエルピーダの社長に迎えられたとき、赤字でどうにもならない状況なのに役員室ではゴルフの話ばかりやっていた」と言うと、「それで日立とNECの主な役員に帰ってもらった」と相槌を打つ。坂本社長の話は米国でも有名なようだ。

しかも「彼は体育大学を出たスポーツマンだからゴルフは本来上手なはずだ」と彼は言う。実はRhines氏は昔、坂本氏がテキサスインスツルメンツにいたとき訪問したことがあるが、その時にも決断が速く、誠実で約束を守り、非常に仕事のできる人だという印象を持っているとも言っていた。日本の経営者には珍しいタイプですと私は言ったが、坂本社長は日本人以上に評価されているかもしれない。

私はRhines氏とのやり取りの中で、タイワンメモリーの相手がエルピーダに決まったと伝えた時の彼の眼の輝きは、坂本社長に対する尊敬の眼であった。日本人はとかく、米国人はマイクロンを支持すると思いがちだが、同じ米国人のRhines社長がエルピーダを支持するということは、米国人は一枚岩ではないということだ。米国はみんなバラバラで個人によって全く考えが違う。米国の良さは、良いものは良いと冷静に評価する確かさだ。

われわれは、とかく日本よりの評価をしたがちだが、真実を曲げることなく、良いものは良いという態度を身につけるようになりたいと思う。

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