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KYを非難するようじゃ所詮井の中の蛙、グローバル競争に勝てない

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最近、KY(空気を読めない)という隠語がテレビや週刊誌で交わされている。KYと言わなくても昔から日本には、「阿吽(あうん)の呼吸」とか、「眼は口ほどにものをいう」とか、「行間を読む」とか、何も言わずとも分かることがエライというような風潮がある。周りの空気を察して、何が起きているかを理解せよ、というわけだ。

しかし、何も言わなくてもわかるという態度は何と傲慢なのだろうか。「オレのことがわからないようじゃ、おまえはまだまだだ」、という態度と同じである。逆に、何も言わない人の真意や雰囲気を理解できなくても決して恥ずかしいことではない。「どうしたの?何が起きているの?」と聞いて初めて正しい知識が得られる。雰囲気だけで判断して90%理解できたとしても100%理解していることにはならない。「どうしたの?」と聞くことは決して恥ずかしいことではない。

日本人同士だけで勝手に理解して、それを理解できない外国人はだめだ、と言わんばかりのKYという言葉。極めて排他的である。仕事をする場合は、相手の言うことを100%理解しなければ決してうまくいかない。空気を読めて90%理解できたとしても、さらに次の空気となるとその90%、すなわち81%しか読めないことになる。さらに次の空気となると、理解率は72%となり、どんどん低下する。だから、わかったふりをしていると、そのうち必ずボロが出ることになる。となると信用されなくなる。結果、仕事がうまくいかなくなる。

海外とビジネスをする場合には、相手が何を考えているのか100%理解する必要がある。そのためにはトコトン議論し、相手を理解しなければ何も始まらない。グローバルなビジネスでは、言葉だけではなく文化も商習慣も違ううえ、少しでも相手に理解に近づかなくては決して成功しない。KYを非難するようではビジネスはできない。

SoCビジネスが日本人にとってハードルになるのは、顧客の要求スペックを100%理解し、チップに落とし込むという作業が必要だからである。空気が読めることなどはもちろん通用しない。そのスペックの背景にあるものは何か、なぜそのようなスペックを要求するのか、勝手に推察しないで相手に質問し、こちらが完全に理解することが大事だ。相手が求めるものに対して、なぜ、なぜ、なぜと問いかけることが必要になる。

文芸春秋9月号に、元富士通副社長の小野敏彦氏の手記「日の丸半導体 かく敗れたり」が掲載されているが、同氏はその中で次のように述べている。「仕様書のレベルが率直に言って他の国より数段、落ちる。日本人は顧客との議論を通じて課題を明確にするのが苦手で、「阿吽の呼吸」とか「行間を読む」といった濃密な人間関係で仕事を進めているからである。このため設計や契約が曖昧になり、トラブルになることも少なくない。これではグローバル化には対応できない」。

空気が読めないからと言って決して恥ずかしいことではない。世界でビジネスをすることから見ると、むしろ誇るべきグローバル人間である証拠だ。むしろ、相手の望むことをトコトン上手に聞き出せる能力があるかどうかが問われているのである。空気を読める力があってもグローバルビジネスではむしろマイナスになる。相手から情報を引き出す能力こそがグローバル時代に必要な個人の資質だといえよう。

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