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2024年の半導体市場、象徴的なL’Orealトップの講演に見る広がりと成長トレンド

2024年の半導体産業はどうなるのだろうか。ここ数年、新型コロナに振り回され、やっと落ち着きを取り戻すようになってきた。2020年はじめに新型コロナパンデミックが日本でも現れ、工場や企業の一時休業やロックダウンなどにより生産計画が狂ってしまった半導体業界。その後すぐに強い需要がやってきて、生産するも半導体不足が長く続いた。流通関係を中心に二重、三重の発注が続いたかと思うと、今度は一転、在庫が溜まりすぎて需要が落ち込む状況が22年後半から23年にかけて続いてきた。

さて、2024年はどうなるか。オムディアやガートナーなど大手市場調査会社はどう見ているか。また、半導体専門の市場調査会社たちはどう見るか。セミコンポータルでは、2月15日13:30からSPIマーケットセミナー「2024年の世界半導体市場、回復へのシナリオ」をオンラインで開催、オムディアのベテラン半導体アナリストである杉山和弘氏を招き、オムディアが今年の半導体市場をどう見ているかを解説していただき、セミコンポータルは市場調査会社の見方を紹介する。

半導体市場は、一部では好況でも別の部門では必ずしも好況とは言えないところもある。しかし、できるだけ細かく観察すると、まだら模様に見える市場に何らかの法則が見えることもある。そうなると、その法則に沿って成長している分野や企業は何か、その特徴は何か、その戦略は何か、というところまで目を凝らしてみると見えてくることがある。

半導体市場、と一言で言ってもさまざまな製品があり、一概に半導体製品すべてが好況、不況といえるものではない。デジタル製品のロジックやメモリ、アナログ製品のセンサ、A-D/D-Aコンバータやオペアンプ、アクチュエータを駆動するパワー半導体などさまざまあると共に、それぞれがさまざまな市場に使われている。


L‘Oreal Nicolas Hieronimus CEO

図1 L‘OrealのCEO、Nicolas Hieronimus氏がCES 2024で初めて講演


さらに厄介なのは、半導体市場が確実に広がっていることだ。今年のCES 2024の基調講演で見られたように、Walmart(ウォールマート)のような小売り流通業や、L’Oreal(ロレアル)という化粧品業界のトップ(CEO)が講演した(図1)。CESというコンピュータをはじめとするテクノロジーの展示会は、小売りや化粧品などの産業にも影響を及ぼすようになってきた。

一例として、L’OrealのCEOが語ったのは、これまで美を追求する化粧品産業では、化粧品使用後の肌荒れなどの副作用がないことを中心にテクノロジーが使われてきたが、最近では生成AIに肌の疲れ対策を聞くとか、IT周りのテクノロジーを使うようになったと語る。熱の全く出ないヘアドライヤー、消費者が簡単にプロのように髪を染められるカラーソニックデバイス、体の不自由な方が自由に口紅を塗ることができるハプティクスデバイスなどを紹介し、ITや半導体と切っても切れないテクノロジーへと変貌したと述べている。

こういった半導体の広がりは成長産業であることを物語っているものの、需要を超えるほど作りすぎては供給過剰になる。そうならないようにするために需給状況や近未来のトレンドを把握することが極めて重要な作業となる。

2月15日のSPIマーケットセミナー「2024年の世界半導体市場、回復へのシナリオ」では、半導体製品市場からその1年、2年後の成長を描くトレンドを探りながら、2024年の半導体市場を見ていく。申し込みはお早めに。

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