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5G通信の正しい姿を知る絶好の機会を提供

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SPIフォーラム「第2世代に突入した5Gテクノロジー」をウェビナー形式で7月29日(水)に開催する。開催理由は、5Gに関して、誤った情報が氾濫しているからだ。欧州では、「5G電波が新型コロナを巻き散らかしている」といったデマが飛び、実際に5G基地局が放火された、という事件が起きた。国内では、「日本は5Gで周回遅れ」や「2時間の映画を3秒でダウンロードできる」、「5Gで負けたから6Gで先行しよう」といった誤解に満ちた情報が飛び交っている。

図1 NTTドコモは5Gの目標性能である10Gbpsを2016年にすでに実験で得ている 右側は同社執行役員で5Gイノベーション推進室長の中村武宏氏 筆者撮影

図1 NTTドコモは5Gの目標性能である10Gbpsを2016年にすでに実験で得ている 右側は同社執行役員で5Gイノベーション推進室長の中村武宏氏 筆者撮影


日本は5Gで決して遅れている訳ではない。NTTドコモはスウェーデンのEricssonと共同で、数年前のMWC(Mobile World Congress)で、10Gbpsをはるかに超えるデータレートの送受信実験のデモを公開している(図1)。決して遅れている訳ではない。NTTドコモには2Gのデジタル通信で世界に先行したが、誰もついてこなかったという苦い経験がある。日本だけが勝手に先行して「ガラパゴス化した」と言われた時期だ。NTTドコモは二度とガラパゴス化したくない。だからこそ、世界各国と手を組みながら一緒に歩調を合わせながら5Gの商用化を進めてきたのである。

2020年には日本でも5Gの商用化が始まった。通信オペレータ3社が5G対応のスマートフォンを提供している。5Gの3つの大きな特長は、(1)高速のデータレート(ダウンリンク20Gbps、アップリンク10Gbps)、(2)低遅延(レイテンシー1ms以下)、(3)多接続(携帯電話だけではなくIoTを含めたあらゆるものがセルラーネットワークにつながる)、である。ただし、これら全てが実現されているわけではない。

商用化している5G電話では、4Gのデータレートの最大1Gbpsという目標値でさえ、未だに得られていない。サブ6GHzという2.5GHz、3.7GHz、4.5GHzなど6GHz以下の無線周波数でデジタルデータを飛ばしている状況では200~400Mbpsがせいぜいだ。しかし先行している韓国や米国でさえ、この程度のデータレートでも5Gと称している。だから、2時間の映画を3秒ではダウンロードできない。3GPP(欧州の通信業者の標準化団体)が決めた5Gの周波数を満たし,4Gの実効データレートよりも少し速ければ5Gという言葉が使えるのだ。

さらにデータレートを上げようとするとミリ波(30GHz以上の無線電磁波)を使うしかない。しかし、電磁波の性質上、周波数を上げれば上げるほどデータレートは上がるものの、理論的に電波は届きにくくなる、指向性も出てくる、という問題が出てくる。さて、この難問をどうやって解決するかが、今世界中が躍起になって取り組んでいる課題だ。それも半導体チップの性能がこの問題を解決する。

そこで、セミコンポータルは、5Gの正しい姿を知るために、SPIフォーラムウェビナー「第2世代に突入する5Gテクノロジー」を開催する。エリクソンジャパンのCTOである藤岡雅宜氏が5Gの現状を解説し、東京工業大学の岡田健一教授がミリ波技術を紹介する。

ウェビナーの申し込みは、こちらを参照ください;

(2020/07/09)

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