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アナログファウンドリから未来の成長分野が見えるTGS Japan 2019

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ファウンドリビジネスで世界6位のTower Jazz(タワージャズ)は毎年、技術シンポジウムTGS(Technical Global Symposium) Japanを開催しているが、今年は9月19日の午後1時からホテル インターコンチネンタル 東京ベイで開催される。今年は、招待講演という形でお話させていただくことになった。

Tower Jazzは、アナログやミクストシグナルをベースとする製造請負専門のシリコンファウンドリである。元々、Tower Semiconductorがイスラエルにあった旧National Semiconductorの工場を買い取り、ファウンドリビジネスを始めた。その後、米国のカリフォルニア州ニューポートビーチにあるJazz Semiconductor (旧Conexant、その前は旧Rockwell Semiconductor)の工場を買い取り、名前をTower Jazzと変えた。ファブレスとなったConexantはその後Synapticsに買収され、企業は消滅した。Tower Jazzはさらに日本でMicron Technologyの西脇工場を手に入れたが、DRAM専用工場だったため、ファウンドリへの転換がうまくいかず、結局パナソニックの工場を買収、手に入れた。パナソニックの工場は、TPSCoと名を変え、富山県の魚津と砺波の工場、そして新潟県の新井工場を束ねている。

招待講演では、「デジタルトランスフォーメーションを実現するのはアナログ半導体」と題してお話させてもらう。これまで、「デジタル化」、「デジタライゼーション」、「社会問題をデジタル技術で解決する」とか、デジタル技術を前面に押し付けた標語が多いことに、違和感を抱いてきた。同じようなエレクトロニクスエンジニアで、メディア業界に入ってきた若い記者にも聞いてみるとやはり違和感を覚える、と言っていた。なぜデジタルなのだろうか。ずっと疑問に感じてきた。アナログICが成長し続けていくからだ。

IoTが出てきて、最近ではデジタルトランスフォーメーションということまで出てきた。長い間の疑問がIoTの登場で2年ほど前にようやく解けた。エレクトロニクス、電子技術、半導体技術のことをデジタル化と言っているだけにすぎなかったのだ。経済産業省のホームページに「デジタルトランスフォーメーションとは?」の説明を読むと、合点がいく。デジタルトランスフォーメーションでは、IoTセンサを使って、人間の生活や社会の仕組み、オフィスの配置、オフィスの生産性などを改善することが実現できるようになるが、このことをデジタルトランスフォーメーションと呼ぶ。これは、まさにエレクトロニクス技術そのものである。

ただし、大学の先生たちは、この10年以上電子工学(エレクトロニクス)や半導体に学生が来なくなった、と嘆き続けてきた。電子あるいは半導体という言葉がもはや古臭い響きを持つのかもしれない。IoTはセンサやアナログ回路、デジタル変換、マイコン、トランシーバなどの回路、これらを動かす電源回路からなる。ここではマイコン以外は全てアナログ回路である。これらは電子回路であり、そのコアは半導体チップである。IoTが出てきたことで、電子技術が民生や産業向けを超えて、社会という新分野に踏み出したのである。

デジタルトランスフォーメーションは、社会の問題をエレクトロニクスと半導体を使って解決しようということである。ここではコア技術となる半導体を捨てた企業にはもはや勝ち目はない。

9月11日、日清紡ホールディングス株式会社のプライベートショーに参加した。日清紡はエレクトロニクスが事業売上の40%を占めており、未来の社会はエレクトロニクスを駆使して構成されるという夢を描いた。エレクトロニクス事業には、無線や通信の日本無線、半導体の新日本無線、パワーマネジメントのリコー電子デバイスの3社が担当する。全てアナログ半導体メーカーである。しかも狙う市場は、モバイル(自動車や移動体)、インフラストラクチャと安心・安全(防災・気象サービスや公共物維持管理サービス)、ライフ&ヘルスケア(超音波診断装置やIoTデバイス)などの成長市場である。まとめると、モバイルとインフラ、ヘルスケアなどの成長分野をさらに伸ばすアナログ技術の開発に取り組んでいる訳だ。これらのシステムを支えるアナログ半導体は新日本無線とリコー電子デバイスが受け持つ。これらは全てデジタルトランスフォーメーション技術と言って差し支えないだろう。

今でも電子メールはe-mail(イーメール)と呼んでいるし、インターネットなどで買った航空券などのチケットはe-チケット、電子商取引はECあるいはe-コマースと呼ぶ。最近はe-何とか、ではなくデジタル何とかという言い方をする。だからこそ、半導体チップはデジタル化のコア、デジタルトランスフォーメーションのコアというべきなのかもしれない。

TGS Japan 2019では、アナログファウンドリの実態が明らかにされる。ここで狙われるシリコン半導体の市場は、5Gであり、IoTであり、自動車である。コネクティビティ、ワイヤレス、さらにそれらを支えるパワーマネジメントなどの技術である。ファウンドリといえども、デザインツールやIPを揃え、プロセスキットを持つことは欠かせない。だからこそ、特殊なプロセスでは必ずデザイン能力が欠かせない。このような実態がTGS Japan 2019から見えてくるだろう。

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