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買収劇は続く−Siバレーから

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ここシリコンバレーに来ると、やはり新しい動きを感じる。半導体業界の大きな再編の動きだ。もう一つはやはり、IoT(Internet of Things)を軸にして、あらゆるものが動いていることである。半導体企業による半導体企業の買収は提案を含み、今年に入り1100億ドル(13兆円強)と、大きく動いている。

今日15日(米国時間)は、アナログ半導体メーカー2社の合併の動きがあった。Maxim IntegratedとAnalog Devicesが合併に向けて話し合いに入ったという噂が流れた。その少し前に、Dellがデータセンター市場に向かいストレージのEMCを670億ドル(7兆円)で買収するというニュースがあったばかり。日本では、中国の政府系ファンド、紫光集団がMicronを230億ドルで買収提案したが、米国政府を気にして台湾を囲い込んで買収へ持ち込もうという意図ミエミエの動きをしている。この中で、戦々恐々としているのがSanDiskだ。MicronがWestern Digitalと組んで、SanDiskを買収しようとしているというニュースも流れているからだ。また、Intelの第3四半期決算発表があったが、売り上げと利益が前年同期比で減収減益になったのにもかかわらず、好意的に受け止められている。なぜかについても解説していく。

まず、MaximとAnalogの合併話だが、両社共にコメントを出してはいないため、今のところ噂話にとどまっているが、両社とも株価を上げた。14日の終わりにはAnalogは8.8%増の1株60.99ドルに、Maximは10%増の38.33ドルにそれぞれ上がった。この結果、両社の時価総額(平均株価×発行株式数)はAnalogが190億ドル、Maximは110億ドルとなった。もともと、AnalogはA-Dコンバータ/D-Aコンバータなどのデータコンバータやアンプが強い。これに対してMaximは最近スマートフォンやタブレットのようなモバイルデバイスの電源IC(DC-DCコンバータ)などで業績を伸ばしている。Analogは今年の6月にRFデバイス専門メーカーのHittite Microwave(ヒッタイトマイクロウェーブ)を買収すると表明した。

紫光集団がMicronに対して買収提案を仕掛けた後、Micronが一部出資している南亜科技の社長である高啓全氏を紫光集団が引き抜いたと噂されている。その目的は、高氏を紫光集団の役員に迎え、南亜科技の買収そしてMicronの買収へと持っていきたいためであろう。紫光集団がMicronに直接買収すると米国政府が反対を表明するだろうと見られているため、南亜科技をバッファとして、しかも社長を引き抜くことで、Micron買収で米国説得を担うためではないだろうか。

紫光集団がMicronを支配したいのは、DRAMだけではない。NANDフラッシュも欲しいのである。これに対してMicronは、Western Digitalと組み、SanDiskと買収の可能性を話し合い始めたという噂も出てきた。Micron、Western Digital共、コメントを避けており、まだ噂のレベルにとどまっている。しかし、先月Western Digitalは紫光集団から38億ドルの出資を受けており、どうやら紫光集団はMicronだけを買ってもNANDフラッシュのトップに立てないと考え、SanDiskも含めて買おうとしたのではないだろうか。さもなければ、Samsungと東芝には勝てないからだ。紫光集団がMicronとSanDiskの両方を手に入れると、東芝、Samsungにとっては脅威になる。

最後にIntelの評価はアナリストの期待とリンクした話である。Q3の業績は売り上げが前年同期の146億ドルに対して145億ドル、利益は同33億ドルに対して31億ドルと減収減益だったのにもかかわらず、好意的に受け止められている。当初のアナリストの期待が売り上げ142.2億ドルとしていたからだ。ちなみに1株当たりの利益は今回0.64ドルで、予想は0.59であった。期待よりも良かったのは、PCがQ3に7.7%減になったのにもかかわらずIntelの業績がほぼ横ばいだったらだ。Intelはサーバ市場で伸ばし、IoT市場でも金額は小さいが10%伸ばした。PCは特にWindows 10はこれまでと違って、PCの購入を促さなかった。だからPC用のプロセッサの売り上げはかなり落ちたはずだが、IntelはPC以外の市場を積極的に広げた戦略が奏功した。元々IoTではコンピューティング能力が求められるゲートウェイ以上の上位レベルにフォーカスしていたが、スマートウォッチ企業Basisを買収するなどIoT端末市場にも広げている。PC時代の落ち込みを成長しそうな分野へのシフトで補おうとしているIntelの戦略は日本企業にも参考になるはずだ。

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