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Mobile World Congress 2011参加に対する日本と海外の企業との大きな差

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今回が3年ぶり3回目となるMobile World Congressに参加するため、成田に来た。スペインのバルセロナで開催されるこの展示会は世界最大の携帯機器のショーである。ここには携帯電話メーカーや通信キャリヤだけではなく、携帯向け半導体チップメーカー、ファブレス半導体メーカー、IDM、さらには部品メーカー、コンテンツサービスベンダー、ソフトウエアベンダーなど携帯機器に関連するあらゆる職種が集まる。

図 MWC会場 3年前のバルセロナにて

図 MWC会場 3年前のバルセロナにて


1月下旬に報道すべきプレスとしてメディア登録した途端に、特に欧州・米国の企業やPR会社などから取材案内が数十件来た。反応が悪いのは日本企業である。日本企業から取材の案内をもらったのは富士通1件のみ。海外企業は、どのようなメディアが来るのか、探し当て取材案内を次々に出してくる。メディアをうまく活用して記事を書いてもらおうと考える海外企業は実に多く、宣伝効果としては抜群の展示会であるだけに、熱意が伝わってくる。

今回は英国企業を取材する目的で渡航するため、全ての取材に応える訳にはいかないが、できるだけいろいろな企業を取材したいと思う。海外の展示会ではモノを展示するというよりも、顧客との商談やミーティングすることが最大の目的であるため、来場者の多くは連日アポがぎっしり詰まった予定を持っている。単に展示会場を回るだけでは個人的な感想しか得られないが、アポを取りじっくりと話を聞くことで大きなトレンドや流れをつかむことができる。

取材する側としての心構えもいかに取材相手を捕まえるか、面白いネタを持っているかを聞くことが重要となる。一人の個人が大きな展示会場を回って動向をつかむことはほぼ不可能に近い。しかし、業界人の話を何社からもじっくり時間をいただいて聞くことで流れを知ることができる。ぶらっとブースによって来て話を聞くだけではやはり十分ではない。相手がこちらに割いてくれる時間がない可能性があるからだ。来場者の多くは携帯産業のプロフェッショナルである。入場料が1万円以上もするため素人は来ない。だからこそ、展示物よりも「対話」を優先するのである。

それにしても日本企業から取材の案内をいただかないのはどうしたものか。反応が極めて鈍いと言えよう。外資系企業の日本法人からも取材の案内をいただいている。それも何度も新しい情報を追加して知らせてくれる。それも注目に値する企業であればなおさらだ。

だからこそ、日本企業のアンテナの低さ、感度の鈍さが気にかかる。これでグローバルな競争に勝てるのだろうか。海外の企業は日本のメディアという極めて離れた存在のプレスにもアプローチしてくる。それも、これまで付き合いの全くなかった企業がほとんどである。イスラエル、オーストラリア、フランスなどの企業があり、存在さえ知らない所が多いのに、なじみ深い日本企業からのアプローチがほとんどないことにやはり大きな違和感を感じる。こんな時こそ、PR効果を求めてメディアにアプローチすべきだろうに、と思う。それも日本メディアだけではなく欧州や米国、台湾、韓国、中国などのメディアにアプローチして存在を訴えることをすべきだろう。

海外進出を考え始めていると言うメーカーは多いが、さっぱり行動が伴っていないと思う。日本のメディアだけでもアプローチしないのに、ましてや海外メディアにも自社の製品をアピールしないのであれば、グローバル化はまだまだ遠い。

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