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セミコンジャパンに来て改めて感じる半導体産業の成長力と装置業界の対応力

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セミコンジャパンが開催中だ。今年は、昨年と比べ小間数、出展者数とも減少し、幕張メッセのメインホール1〜8ホールのうち、2〜8ホールのみと、全館を使っていたこれまでよりも規模が小さくなった。ちなみに初日ののべ参加者は21,500名、昨年の31,500名よりも3割以上減少した。ニコン、キヤノン、東京精密といった大手メーカーが出ていない。にもかかわらず、半導体産業のすごさを改めて感じた。

セミコンジャパン2009会場

セミコンジャパン2009会場


今年の2月における世界の半導体製造装置売り上げは、なんと前年の1/4しかないレベルまでにひどく沈んだ。底からの回復にも時間がかかり、この9月になって初めて今年最高額の18.7億ドルに達した。これに比べると自動車産業の落ち込みは40〜50%だった。今年のモーターショーの展示館は実はセミコンと同じ2〜8ホールであった。つまり、半導体製造装置産業はこの世界的な不況で、市場が一時的に1/4まで縮んでしまったのにもかかわらず回復を遂げつつあり、ここまでダメージを受けなかった自動車産業の展示会並みの出展があった。しかもモーターショーは歩行スペースがセミコンよりもずっと広く、より閑散とした感じを受けた。

半導体関係者の中ではセミコンジャパンは昨年と比べ良くないという声が多いが、自動車のモーターショーと比べるとまだマシなのである。なぜか。半導体産業が成長産業であることをみんなが認識しているからだ。自動車産業が先進諸国内では2000年以降、ほぼゼロ成長になってしまっている。

製造装置メーカーを見ると、先端的な装置ばかりを作っているわけにはいかなくなり、実装分野へシフトしたり、微細化しなくてもすむような分野への拡張も図るようになっている。例えば、アルバックはCSPやウェーハレベルパッケージング(WLP)などの電極パッド工程などでのアッシングに使うプラズマアッシャーを発表し、微細化分野以外へも手を伸ばした。

最近講演で使っているダーウィンの言葉「生き残るものは、強いものではない。賢いものでもない。変化に対応できるものである」をまさに地で行っている。半導体の微細化はメモリーやある種のロジックには必要だが、これまでのように微細化が全ての技術を牽引するわけではなくなっている。コストのかかる微細化にまい進するのではなく、そうではない分野へと変身していく。

半導体産業はこれからも成長するが、微細化だけではない。微細化の必要な大量生産チップ以外は微細化ではない、チップに焼き込むソフトウエアであったりハードウエアであったり、アナログであったり、ライバルメーカーから差別化できる手法を探っていく時代になっている。この時代認識と、それに向けた変化に自身を変身できるかによって生き残りが決まる。いつまで経っても過去のDRAM成功体験を引きずっていては、変化の激しいこの現代では生き残れない。

半導体製造装置産業はデバイスメーカーと比べてグローバルなプレゼンスが大きい。グローバルなコラボレーションも活発だ。それは時代認識とその変化への対応が出来ているからではないか。これからは微細化だけの時代ではないとなると、微細化しない分野への変身こそ、生き残る道である。

半導体メーカーのお手本は実は装置産業かもしれない。装置メーカーへの支払い遅延という「上から目線」意識を半導体メーカーが持つ限り、いつまで経っても変身できない。パートナーとしての装置メーカーを見習うことから始めることが、生き残る方法かもしれない。

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