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グローバル化なしで成長なし、セミコンポータルがグローバルセミナー開催

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今、ベルギーに来ている。欧州に来るといつも考えさせられることだが、欧州企業には国という考えはもはやないようだ。グローバルなコラボは当たり前というスタンスをあちらこちらで見かける。日本は最近になって「グローバル化なしで成長なし」、を理解できるようになった。セミコンポータルはこれを加速・支援するため、10月27日に半導体エグゼクティブセミナーを開催する。テーマはやはりグローバル化だ。

ベルギー ルーベン市の街並み

ベルギー ルーベン市の街並み


今のグローバル化と昔の国際化とは何が違うか。かつての国際化は海外へモノを輸出しそのための支店や現地法人を作ってきた。現地生産もしてきたが、実は多くの企業が国際化と称して現地に工場を設立すると、周辺のサプライヤも大手メーカーについて行き、結局「日本村」を作ってきただけに等しかった。日本村には銀行も必要になるから銀行も海外進出した。しかし実態は日本村銀行として域内にお金を流通させるだけだった。

かつて日経BP社唯一の英文雑誌であるNikkei Electronics Asiaを創刊する時にアジア5カ国50カ所を4週間で訪問するといった強行出張をしたことがある。その時に現地のさまざまな企業と接触し、インタビューした結果、知りえたことがこの日本村という実態だった。これではいつまで経っても世界の企業とは付き合えない。もちろん、輸出企業は海外にモノを売るだけで国際化と称していた。

今、叫ばれているグローバル化は、日本で設計して生産したモノを単に売る、あるいは日本で生産したものを海外で生産するということではない。海外でヒット商品を普及させるために、最初から海外仕様の設計を行い、生産はどこで作ろうが関係なく、日本を忘れて地球規模で考えてどの国で設計し、どの国で生産するのがベストなのか、どの国の市場を狙うのか、どの国のサプライヤをどう集めればベストな生産ができるのか、設計から生産に至るすべての工程を地球規模で見直すことが今日本企業で求められているグローバル化である。このことが日本企業を強くする。逆に常に日本しか見なかったために井の中の蛙になってしまい、気がつけば世界から取り残されてしまった状態になり、ガラパゴスなどと揶揄されるようになった。

ベルギーの中のフランダース地方が設立した研究開発機関、IMECの新しいCEOリュック・ヴァンデンホッフさんにインタビューしたとき、IMECは設立当初からグローバル化を考えてきた、と話している。STマイクロエレクトロニクスも同じことを言っていた。STマイクロが日本法人を設立した年と、STが欧州に本社を設立した年は同じだ。最初からグローバル化することで、サプライヤの選択、コラボ企業の選択、顧客の広がりなど、ドメスティック指向でなければ当然のことながら市場は広がり、売り上げは上がる。何よりもこれまでにない考え方や文化を知りうることができるため、世界中の企業文化を手に入れることができる。当たり前だが、売りやすくなる。

セミコンポータルが10月27日に東京四ツ谷駅前の主婦会館プラザエフで開催する「SPIフォーラム 半導体エグゼクティブセミナー グローバルな協力・戦略で新市場を切り拓く」では、グローバル化で成長したアドバンテストの次の手は何か、について同社丸山会長が語りかける。NECエレクトロニクスは規格会議の始めから世界企業と話し合いながら、USB3.0の規格仕様を作り、その半導体チップを世界に先駆けて開発したストーリーを講演してもらう。新しい市場に関しては東京大学の阿部特任教授からスマートグリッドに関して話を聞ける。設計王国インドからはウィプロがどうやって他社より先んじた製品を設計できるか、これまでの実例を交えながら話をしてもらう。ルネサステクノロジはグローバルな設計体制を作り、世界のデザインチームとのコラボについてお話してもらう。その他にもタタエレクシーの実例を紹介し津田からも世界のグローバル化の動きをお話しさせていただく。

こういった講演をアレンジするのは、日本企業が少しでも強くなってほしいと願うからだ。日本半導体の復活を願うのは日本だけでは決してない。むしろ、海外の半導体メーカーでさえももっと日本が強くなってほしいといわれることがある。お互いが切磋琢磨して、いい意味での競争がある方が自分の企業も成長していくからだ。一人でも多くの方がこのセミナーを聞いて自社を強くしてほしいと願ってやまない。

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