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政治的摩擦の色合いの深まり、様々なM&A関連の激しさを増す動き

同時株安、原油価格低下と世界経済の懸念が高まって、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が上海で開かれて討議が終わったばかりであるが、M&Aの嵐が吹き荒れていまだに引き続いている半導体業界において、なかなか一筋縄の決着とはいかず激しさを増す動きの展開が方々で見られている。それぞれの国・地域間の政情が働いて、摩擦の色合いが深まって、先行きの読みを非常に難しくしているケースが増えていきそうな予感をもたざるを得ず、M&Aそれぞれの推移に当面注目である。

≪いろいろ働く力≫

ストレージ半導体のSanDisk買収を進めているWestern Digitalにおいて、その価格が高すぎると反対する株主があらわれている。

◇Western Digital investor Alken pushes to cancel SanDisk deal-Western Digital investor says SanDisk price is too high (2月22日付け Reuters)
→Western Digital社の株主、Alken Asset Managementが、高いコストからSanDisk社を買収する取引を止めるようWestern Digitalに求めている旨。
10月にWestern Digitalは、$19 billionでのSanDisk買収に合意している旨。Alkenは、弱含みなストレージ半導体市場がSanDiskの株価に影響を与えており、買収すればWestern Digitalが傷つく可能性がある、としている旨。

◇Western Digital Investor Alken Opposes SanDisk Acquisition-Alken says $19 billion price tag of SanDisk purchase is too high (2月22日付け The Wall Street Journal)

そんな中こんどは、Western Digitalへの資本参加を決めていた中国のTsinghua Unigroup(紫光集団)が出資を断念すると発表、SanDisk買収の先行きに大きな影を落とす動きとなっている。

◇Western Digital's SanDisk deal re-priced after China deal collapses-Western Digital sets new price for SanDisk (2月24日付け Reuters)
→中国のUnisplendour社が、Western Digital社に計画していた$3.78 billionの投資を取りやめ、Western DigitalのSanDisk社に向けた取引に変更が強いられている旨。Western Digitalは今やSanDiskに$15.78 billionの取引提示となり、当初の10月の$19 billion合意から落ちている旨。

この出資断念の背景には米国政府の調査が働いている模様である。

◇中国・紫光集団、米ITへの出資断念、米当局の認可が壁 (2月25日付け 日経)
→中国の半導体大手、紫光集団が24日、2015年に決めていた米ハードディスク駆動装置(HDD)大手、ウエスタン・デジタル(WD)への資本参加を断念すると発表、この件に関し「米当局が調査に入ることを決めたため」の旨。
米国では当局の認可の問題で中国企業のM&A(合併・買収)が実現しない例が増えている旨。紫光は2015年9月、38億ドル(約4250億円)を投じてWDに15%出資することで合意したが、紫光によると23日、米国企業のM&Aを審査する対米外国投資委員会(CFIUS)から、今回の案件について調査に入るとの通知があった旨。

中国のTsinghua Unigroup(紫光集団)は台湾の半導体メーカー3社への買収提示も行っているが、台湾は1月の総統選挙で民進党が勝利を収めたばかり、中国との距離感が今後の成り行きを微妙なものとしているようである。

◇Tsinghua's $2.6 billion Taiwan deals to face unprecedented government scrutiny-Tsinghua's Taiwan deals worth $2.6B raise government eyebrows (2月22日付け Reuters)
→台湾の半導体メーカー3社におけるstakesに向けた中国・Tsinghua Unigroupの$2.6 billion入札提示は、Tsinghua近辺に好意的でない新政府による今までにない精査を受けることになり、成功の機会を複雑にしている旨。この中国国家が支援するconglomerateは、中国自らの半導体業界構築に向けた1ステップとして台湾の技術分野への買収入り込みを狙っているが、両岸経済連携推進が熱いテーマとなった台湾の選挙の間の入札タイミングであり、政治的攻撃の標的として残されている旨。

台湾では、実装&テストの大手同士、ASEによるSPIL買収の1件について台湾公正取引委員会の審査が期間延長されている。

◇Taiwan FTC extends review period on ASE-SPIL takeover bid (2月25日付け DIGITIMES)
→台湾・Fair Trade Commission(FTC)が24日出したステートメント。FTCは、Advanced Semiconductor Engineering(ASE)がSiliconware Precision Industries(SPIL)のmajority stake買収に向けて提出した提案についてのreview期間を延長する旨。ASEは2月4日に提案を出しており、FTCには30日の該取引のreview期間があった旨。

一方、米国国内でのエレクトロニクス大手、DellのEMC買収は、米国公正取引認可の壁を越えている。

◇Dell-EMC Merger Clears U.S. Antitrust Hurdle (2月23日付け CRN.com (U.S.))

◇EMC, Dell $67bn merger remains on track with FTC approval granted-FTC approves Dell's $67B buyout of EMC (2月24日付け Computer Business Review online (U.K.))
→米Federal Trade Commission(FTC)が、DellによるEMCの$67 billion買収を承認、該取引は10月に最終決着の見込み、最大のprivately owned統合技術会社が作り出される旨。EMCの株主、並びにEuropean Union(EU)がまた、該取引を承認する必要がある旨。

韓国では、中国への半導体関係頭脳流出の対策を進める動きが見られている。これも1つの摩擦のあらわれとなっている。

◇Brain Drain to China -China Recruiting Skilled Workers from Korean Semiconductor Manufacturers -China recruiting Korean semiconductor engineering talent (2月24日付け BusinessKorea magazine online)
→業界筋発。韓国の産業通商資源部(Ministry of Trade, Industry and Energy)が、半導体エンジニアの中国メーカーへの頭脳流出への対処でSamsung ElectronicsおよびSK Hynixと現在話し合いを行っている旨。このような状況において該ministryは、中国メーカーに移ろうとするexpertsを引きつけるために半導体リサーチ&訓練機関の設立を考えている旨。

政府が支える中国の半導体およびモバイル市場の現況が表わされている1つである。

◇Chip makers and related companies set to benefit from internet connectivity boom, analysts say-Government-led technology development is expected to boost opportunities alongside growing consumer demand-China semiconductor market is set to surge (2月23日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→中国の半導体およびモバイル市場が、消費者需要および政府支援initiativesを受けて増大する見込み、スマートフォンの出荷が、昨年の38 million台から今年は40 million〜45 million台に増える見通しの旨。
2G/3Gから4G (LTE)への切り換えが本格加速し始めた、とNomuraのアナリストがステートメントにて。

そうこうしていると、我が国でも台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業によるシャープ買収の慌ただしい動きである。初めての外資企業による日本の電機大手の買収ということも然りであるが、ここでも一筋縄ではいかず交渉期限が延長されている。

◇シャープ、鴻海が買収、臨時取締役会で決定 (2月25日付け 日経 電子版)
→シャープが25日の臨時取締役会で台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業からの買収提案を受け入れる方針を決めた旨。シャープは鴻海傘下に入り、不振の液晶事業などの立て直しを急ぐ旨。外資企業による日本の電機大手の買収は初めて、鴻海はシャープを傘下に収めて世界で事業を拡大する旨。
鴻海は米アップルのスマートフォンの受託生産が売上高の大半を占めているが、世界的に需要の伸びが鈍化しており、収益の多角化が急務だった旨。液晶や白物家電など幅広い製品と技術を抱えるシャープを買収して韓国サムスン電子などに対抗したい考えの旨。

◇鴻海、狙いはシャープの技術力、液晶・有機EL (2月26日付け 日経 電子版)
→電子機器の受託製造サービス(EMS)で急成長した台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は、シャープ買収をテコに液晶や有機ELパネルといった分野でも世界的な競争を勝ち抜く体制づくりを急ぐ旨。シャープの技術力を使って高品質のパネルを量産し、先行するサムスン電子など韓国勢を追撃する旨。

◇シャープと鴻海、3月7日の契約めざす、交渉期限を延長 (2月26日付け 日経 電子版)
→シャープと鴻海(ホンハイ)精密工業が26日、買収交渉の期限を当初の今月29日から延長し、3月7日の契約を目指すことで合意、関係者が明らかにした旨。鴻海は27日に弁護士や公認会計士らをシャープに派遣し、債務内容を精査する旨。


≪市場実態PickUp≫

【Mobile World Congress(MWC) …流れ、標準化】

Mobile World Congress(MWC) 2016(2月22日〜2月25日:Barcelona)が開催され、第5世代(5G)モバイルネットワークス、モバイル機器におけるセンサの役割の増大、など今回の場での流れ、特徴が以下のように表わされている。

◇Consumer Key to 5G: 'Cost, Cost, Cost' (2月22日付け EE Times)
→第5世代(5G)モバイルネットワークスでの"consumersに向けた価値創造"についての基調パネル討議にて、consumersの出費を維持するよう最新、高速化5Gサービス費用を如何に減らすか、議論されていた旨。“Its' all about cost, cost, cost.”(Qualcomm社のCTO、Matt Grob氏)

◇MWC: Sensor Hubs Redefine Mobile-Bosch, ST with new sensors-Sensors play an increasing role in mobile (2月22日付け EE Times)
→何年もの間Mobile World Congressでは、スマートフォンの戦いはappsプロセッサ、ベースバンド、画面サイズおよびカメラの品質についてであったが、スマートフォンおよびwearable機器の新世代では、センサおよびセンサhubsが押し分けて目立ってきている旨。MEMSセンサの精度がデータの品質を決め、センサhubsは異なる用途で用いられるデータ抽出に重要となる旨。Bosch Sensortecは今回、同社最初の世代のセンサhub製品を投入している旨。

◇スマホ、新機能競う、スペインでモバイル機器見本市、ソニー、声だけで操作、LG、ドローン連携 (2月23日付け 日経)
→世界最大のモバイル機器見本市「モバイル・ワールド・コングレス」が22日、スペインのバルセロナで開幕、スマートフォン市場は成熟へ向かっているが、世界の電機大手は新たな機能を盛り込み、これまでにない使い方ができる製品を出展。次なる成長へ向けた模索を始めている旨。
各社の新製品のキーワードの一つが他の機器との「連携」。今回、ソニーのスマホ子会社、ソニーモバイルコミュニケーションズが発表したのが、「エクスペリア」の最上位モデルであるZシリーズを刷新したXシリーズ。
独自開発した耳栓型のマイク付きイヤホンと無線で連携させ、画面を見ないでも、人の声だけで大半の操作が可能になる旨。
ドローン(小型無人機)と連携させたスマホの使い方を提案したのが、韓国LG電子。ドローンを操縦するためのコントローラにスマホをセットすると、ドローンが上空から撮影した映像をスマホで見たり、それを取り込んだりできる旨。工事現場などの監視や災害現場での捜索など、用途は広がりそうな旨。ドローンメーカーと組んで商品化する予定もある旨。

◇スマホ連動、個性派そろう、モバイル見本市、LG電子、転がる見守りロボ、サムスン、360度パノラマ撮影 (2月24日付け 日経)
→スペインのバルセロナで開催中の世界最大のモバイル見本市「モバイル・ワールド・コングレス」で、スマートフォンと連動して使う周辺機器が注目を集めている旨。360度カメラ、見守りロボットなど個性派ぞろい、スマホはこれまでアプリ(ソフトウエア)を中心に新たなサービスや事業を広げてきたが、周辺機器でも新市場を生み出す可能性が高まってきた旨。

Internet of Things(IoT)ネットワークスに向けた標準化を図る各陣営の連携が、今回拡がりを見せている。

◇IoT Networks Expand at MWC-Ingenu licenses 25 national networks (2月23日付け EE Times)
→Ingenu, LoRa AllianceおよびSigfoxが今回の場で、それぞれ競合する低電力wide area networks(WANs)(LPWA nets)に向けた連携拡大を発表、該LPWA netsは、cellular支援者が競合するIoT標準を仕上げる活動を加速しているときにIoTをつなぐ競争にある旨。Ingenuは、2.4 GHz技術ベースのネットワーク運用に向けて25ヶ国でメーカーにライセンス供与、LoRA Allianceは、900 MHzネットワークについてARMおよびドイツのサービスプロバイダーとの別々の連携をつかんでおり、Sigfoxは、900 MHz net上の動作が確証された総計1.2 million以上の機器運用に向けて2つの契約を発表の旨。

【Mobile World Congress(MWC) …各社の動きから】

同じくMWCにおける各社の動きからいくつか。まずは、Samsungの次世代スマホにおけるQualcommのプロセッサの使用である。

◇Samsung Taps Q'Comm in S7-New Galaxy boasts bigger screens, batteries (2月21日付け EE Times)
→Samsungが今回の場で、同社flagship、Galaxyスマートフォンの次世代版を発表、該Galaxy S7およびS7 Edgeは、S6ラインの小規模更新であり、画面および電池の大型化などの旨。標準S7は、北米出荷モデルではQualcomm Snapdragon 820プロセッサを搭載、SamsungのExynos半導体は世界の他地域のS7sに入る旨。

ARMからは、cloud computingのhandsetプロセッサ設計へのインパクト、64-ビットプロセッサの浸透ぶりがプレゼンされている。

◇MWC: 64-bit processors make phones faster and safer, says ARM-Cloud computing shifts processor design (2月22日付け Electronics Weekly (U.K.))
→ARMのCPU Group、マーケティングvice president、Nandan Nayampally氏。cloud computingが人々のmobile phonesの使い方を変える見込み、handsetのプロセッサの設計をも移している旨。handsetsにおけるcompute connectivity activityは増えているが、handsetは依然データ処理量を上げている旨。2015年においてスマートフォン全部の50%に少なくとも64-ビットプロセッサが入っていた旨。

注目の中国勢、Lenovo、HuaweiそしてXiaomi、それぞれの打ち上げとポイントである。

◇Lenovo Unveils New Smartphones, Tablets And Notebooks (2月22日付け EE Times)
→Lenovoが今回、4つのnotebooks、3つのタブレットおよび2つのスマートフォンを投入、明らかに新興市場、特にインドでのApple打倒の意図が見える旨。インドは今や世界第2のスマートフォン市場であり、Lenovoのスマートフォンの50%以上が今年インドで作られるとThe Times of Indiaが報じて数日後、Appleがインドでretail storesを建設し始める計画のニュースが出てきている旨。

◇Huawei introduces its first PC powered by Intel chips (2月22日付け DIGITIMES)
→Huaweiが今回、同社初のPC、Huawei Matebookを披露、第6世代Intel Core m-シリーズプロセッサ搭載の2-in-1機器の旨。Intelは、該Huawei Matebookシリーズが第6世代Intel Core m3, m5あるいはm7プロセッサを利用、薄く軽くfanlessの2-in-1設計でPC-級性能が得られる、としている旨。

◇Xiaomi Mi 5 Smartphone Targets iPhone 6s, Galaxy S7 (2月24日付け EE Times)
→Xiaomiが水曜24日今回の場で、Mi 5スマートフォンを発表、同社が市場リーダー、AppleおよびSamsungと如何に本気に競合しているかを示すhandsetの旨。該Mi 5は、大きな数字で売れる低コストスマートフォンを如何に魅力的にするか、輝く例である旨。

【SPIE Advanced Lithography Symposium】

先端lithographyの最新状況がプレゼンされる本シンポジウムであるが、量産製造には依然距離感のあるextreme-ultraviolet lithography(EUVL)という表わされ方となっている。

◇Optimism Reigns at SPIE Lithography Conference, Despite Challenges-Industry experts express cautious optimism about EUV at SPIE (2月23日付け ELECTROIQ)
→SPIE Advanced Lithography Symposium(2016年2月21-25日:San Jose, CA)にて。extreme-ultraviolet lithography(EUVL)は進歩しているが、依然high-volume半導体製造には備わっていない旨。

◇EUV, Big Molecules and Moore (2月24日付け EE Times/Slideshow)
→SPIE Advanced Lithography Symposium(2016年2月21-25日:San Jose, CA)より、各社プレゼン注目内容、以下の項目:
 -Moon rocks on a tiny frontier
 -Avoiding octal patterning, if possible
 -The latest update on EUV
 -Too many defects on blank masks
 -A dust cover for the negatives
 -Better optics need beyond 5nm
 -A short history on EUV, Part 1
 -A short history on EUV, Part 2

【台湾、中国の設計メーカー関係】

virtual reality(VR)活況に備えて機器用半導体の開発に取り組む台湾の設計メーカーの動きが見られている。

◇Several Taiwan IC design houses ready for virtual reality boom (2月23日付け DIGITIMES)
→Etron Technology, Elan MicroelectronicsおよびC-Media Electronicsが、市場活況に備えてvirtual reality(VR)機器用半導体の開発にすでに従事、しかしながら、MediaTekなどいくつかの半導体開発メーカーは、該市場はまだ成熟していないとしてVR応用半導体開発に依然慎重である旨。
Oculus, Samsung, Sony, HTC, AsustekおよびAcerなどの機器ベンダーが、2016年第二四半期の量産に向けた次期VR機器をもつ見込みで、該市場は2016年に急速に伸びる可能性の旨。

MediaTekはじめ台湾および中国の設計メーカーのTSMCへの製造発注が、次の通り高まっている。TSMCの顧客の内訳の変わりようがうかがえるところがある。

◇MediaTek increases orders to TSMC (2月24日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾のICメーカー数社の買収で事業範囲が拡大、MediaTekが、2016年のTSMCへの発注を大きく高めている旨。一方、TSMCでは他の主要clientsによる受注が2016年で減少するか、あるいは予想より鈍い伸びになる見込みの旨。弱いPC市場がNvidiaおよびAMDなどの顧客からの受注にマイナスに影響している一方、QualcommはTSMCのトップclientリストから外れている様相の旨。

◇China, Taiwan IC firms ramp 16nm chip orders at TSMC (2月25日付け DIGITIMES)
→業界筋発。MediaTek, HiSilicon TechnologiesおよびSpreadtrum Communicationsなど中国および台湾のIC design housesが、TSMCでの16-nm半導体に発注を行っており、そのペースを踏み上げ始めている旨。
Appleが2016年に向けたTSMCの16-nm技術のもう1つの重要顧客であり、中国および台湾の主要モバイルSoC clientsとで2016年のTSMCの16-nmプロセスcapacityを満たす旨。

【Embedded World】

Embedded World(2016年2月23日〜2月25日:Nuremberg, Germany)が開催され、Freescaleを買収したNXPに絡む2点である。NXPに対抗するSilicon Labsの取り組み、そしてNXPのNFC(near field communications)対応である。

◇Silicon Labs' Geckos Aim at IoT, Take on NXP (2月23日付け EE Times)
→Silicon Labs(Austin, Texas)がInternet of Things(IoT)市場に熱心に重点化、multi-protocol SoCデバイスファミリー, Wireless Geckoを展開の旨。該Wireless Gecko SoCsは、ARM Cortex-M4コアベース、最大19.5 dBm出力の2.4 GHz radioおよび先端ハードウェア暗号法を統合の旨。

◇Near Field Communications Addressing IoT Adoption Barrier (2月23日付け EE Times)
→"NFC(near field communications)の新時代"と宣言、半導体ベンダー、NXPが、従来の金融取引を超えた応用を目指す2つの新しいデバイスを発表の旨。NTAG I2C Plus smart tagは、高速データ転送およびpasswordおよびcloning保護が得られるよう、NFC tagをI2Cインタフェースと合わせている旨。


≪グローバル雑学王−399≫

ひたすら高度成長の波に乗って邁進していった時代から、バブルが弾け失われた数10年を経て今に至るまで、それこそ時代の"大変化"と言えると思うが、2020年に向けた日本と世界の変わりように迫る書、

『大変化 経済学が教える2020年の日本と世界』
 (竹中 平蔵 著:PHP新書 1023) …2016年1月5日 第一版第一刷

より、「働き方」について2回に分けて考えていく。まず、「終身雇用・年功序列」の強要は時代不適合と現代に即した意識改革を求め、次いで、2020年に向けて「解雇のルール」制定が必要と説いている。著者自ら政治の舞台で実践した施策、そして反応はどうであったか、大きな壁が実態的に表わされている。


第3章 「正社員」より「自由な働き方」を目指す時代 =前半=

≪「働き方」の未来予想図≫
・2020年には、「正社員」と胸を張る人はますます少なくなるだろう
 →「嘆かわしいこと」ではまったくなく、むしろ、老若男女問わず自由な働き方ができる社会が到来するということ
・同じ成果を上げているのであれば給料その他の条件は変わらない、というフェアな労働形態
・「外国人メイド」のお蔭で労働力は維持
 →日本経済に少子高齢化の影響はあまり感じられない
・ビジネスパーソンなら、目指すべきは「プロフェッショナル」
 →専門性があれば高く評価される

1 「終身雇用・年功序列」の強要は時代不適合

■労働は人と社会をつなぐ接点
・「労働が生み出す付加価値こそが富の源泉」
 →資本主義の礎、アダム・スミスと社会主義の祖、カール・マルクスが、根底では同じ考え
・個人と社会の接点はどこにあるか?
 →それは労働に
・柔軟な働き方と柔軟な雇い方を認めることが、人間という資源を最大限に活かす方法
 →2020年に向けて、労働市場はこの方向に前進することが望ましいはず

■終身雇用・年功序列は、「守るべき伝統」ではない
・終身雇用・年功序列の形はいつできたのか
 →戦後に始まったという説が有力
 →会社が考えたのは、「可能性の高い人材、つまり若者を自社で雇って教育しよう」ということ
 →一度教育に投資した以上は、それを回収する必要
 →日本が得意とする製造業とも相性のいい制度
・働く場の中心がサービス産業に移り、かつてのような高成長も期待できない現代の日本では、それに適した働き方があるはず
 →重要なのは、終身雇用・年功序列以外の制度も柔軟に選択できるようにすること

■経済を失速させた民主党の「ばらまき」政策
・民主党と社民党との連立政権
 →あらためて終身雇用・年功序列を強く押し出し
 →象徴するのが、「雇用調整助成金」という補助金の拡充
・政府が取り組むべきは、人を積極的に移動させるための補助金の拡充
・活躍する場のない会社でくすぶっているのと、新しい活躍の場を得られるのとで、どちらが幸せか?

■「働く者どうしが対立する」時代へ
・終身雇用・年功序列の働き方を前提とした1979年の判例
 →ほとんど「会社が潰れるまで解雇できない」と言っているに等しい
・日本の労働市場は、守られすぎた正社員とその範疇に入らない非正規社員という二重構造になっている

2 2020年に向けて「解雇のルール」制定が必要だ

■「雇用労働相談センター」で新しい働き方がつくられる
・終身雇用制である日本の労働市場は正社員にとって天国か?
 →新卒で入った会社でその後のルートがほぼ決まり、そこを間違えると人生を棒に振ることに
・解雇のルールを明確にする実験として、「国家戦略特区」における「雇用労働相談センター」の設置
 →例として、アメリカのシリコンバレーによくある「at will employment(意志に基づく雇用)」と呼ばれる雇用形態
 →日本でもそれができるように
・就職先によって極めて大きな格差がある日本の現状
 →きちんとしたルールを整理しようという試み
・OECD各国の中で金銭解雇のルールを持っていないのは、韓国と日本だけ

■「同一労働・同一条件」の実現に向けて
・会社を辞めない人が多いから、再就職の場もできない。だから、ますます辞めにくくなる
 →打ち破るには、「同一労働・同一条件」を明記した基本法をつくる必要
・いざ法制化しようとすると、経済界(経団連)・労働側(労働組合)それぞれからの猛烈な抵抗
 →それぞれの反対
・労働政策審議会(労政審)という存在
 …労働政策について雇用側・労働側・政府側の三者が協議して決定
 →既得権者が集まって既得権益の是非を議論
 →だから、いつまでも何も変えられない

■日本人は「改革嫌い」か?
・このパターンが少なくない日本の政府
 →日本でなかなか改革が進まない大きな原因は、ここに
・メンバーに利害関係者を入れないようもっていったら
 →これが各方面から叩かれた

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