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SEMIのウェーハ出荷面積の推移から見える半導体産業の新しいトレンド

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2013年第3四半期におけるシリコンウェーハの出荷面積は、前期比で2%減の23億4100平方インチになったと、SEMIは発表した。これは前年同期比でも2%減である。長期的に見て、このところシリコンの面積は、やや足踏み状態にある。

図1 シリコンウェーハ出荷面積の推移 出典:SEMI

図1 シリコンウェーハ出荷面積の推移 出典:SEMI


リーマンショック後に急速な回復を果たしたものの、半導体シリコン材料は大きく伸びておらず、ほぼ横ばいともいえるような状態になっている。これをどう解釈するか。SEMIが発表しているシリコンウェーハの出荷面積には太陽電池は含まれていない。あくまでも半導体向けのウェーハである。

シリコンウェーハの伸びが足踏みしているという状態は、半導体全体が低調なのだろうか。WSTSによる半導体の出荷額そのものも足踏み状態なのであろうか。WSTSは、毎月の半導体製品出荷額を公表している。WSTSの数字を四半期ベースでとったグラフが図2である。この図で赤い線が半導体売上額を表している。


図2 Si面積と世界半導体売上額との関係 縦軸左はSi面積(単位百万平方インチ)、同右は半導体売上額(単位は百万ドル) 出典:WSTSとSEMIのデータを元に筆者が加工

図2 Si面積と世界半導体売上額との関係 縦軸左はSi面積(単位百万平方インチ)、同右は半導体売上額(単位は百万ドル) 出典:WSTSとSEMIのデータを元に筆者が加工


Si面積と半導体売上額を重ねてみると、Si面積は浮き沈みが激しく、半導体の売上額は少しならされた曲線を描く。また、ウェーハ面積は平らないしやや下降気味に見えるのに対して、半導体の売上額は平らないしやや上昇傾向に見える。現に、直近の2013年第3四半期のシリコン面積は前年同期比、前期比とも2%下がったのに対して、半導体売上額はいずれもプラスの成長を遂げ、過去最高の800億ドル台に乗せた。

シリコン面積と半導体販売額がかい離し始めたと考えるのなら、その原因は半導体製品に焼き込まれるソフトウエアの割合がこれまで以上に増えていることにあると言えるかもしれない。つまり、ハードウエアの数をそのまま増やさずに、ソフトウエアを変えるだけで新製品や売り上げ増につなげている可能性が高いのではないだろうか。組み込みシステムがあらゆる分野に入り込み、コテコテのASICハードウエアからプロセッサ主体の組み込みシステムへと半導体ビジネスが変わってきていることを表しているのではないだろうか。

このことはシリコンの面積が今後大きく伸びることは期待できないが、半導体ビジネスはさらに成長するということに他ならない。もちろんシリコンが減少し続けることももちろんない。最適値に落ち着くことには間違いない。世界的な大きな流れとシステムの作り方、このシステムに組み込む半導体ビジネスのあり方が今、問われている。

(2013/11/21)

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