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半導体製造装置・材料企業におけるIP問題

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半導体のみならず、ナノテク、MEMSへ波及

半導体製造装置・材料産業界にとって、知的財産(IP)保護問題は益々重要な課題となっている。熾烈な国際競争の中で、半導体製造装置・材料メーカーが先端技術開発を継続するには、IP保護が必須である。

半導体製造装置・材料メーカーは年間、研究開発に売上の15〜20%を投じており、研究開発費は今後も増大していく傾向にある。このため、IP侵害による損害は無視できない。半導体製造関連産業のIPは多様である。装置、材料、設計、スペアパーツ、部材、サブシステム、ソフトウエア、技術、プロセスレシピ、ベストのウンメソッドなど、これらの分野でのIP準拠・施行が必須となる。

東京工業大学精密工学研究所 客員教授の大嶋洋一氏は、第3回東京工業大学精密工学研究所知財シンポジウム〜 半導体における知財戦略 〜(2006年11月10日ハマギンホールにて開催)での、講演「半導体産業における技術動向の視点から見た知財評価への取組」のまとめで、下記のように語っている。


  • 新しく産み出される情報の質を見極め、価値ある情報を企業の資産とするための努力が必要。そのためには、チップの性能特性、製造歩留まり、製造レシピ、検証用データ、それらのデータベースといった、いわゆる付加価値の高いIPを、特許を含めた知的財産制度で的確に保護する姿勢及び実行体制の確立が重要。

  • 知的財産に対する的確な評価、整理のできる人材の育成、確保が不可欠。特に、技術動向を加味した特許評価は、自らの活用の仕方で評価が変わる可能性がある。適切な活用のために、技術動向の把握が重要で、そのために特許情報活用するのも一手法。


  • 半導体産業における技術動向の視点から見た知財評価への取組

    SPIビジネスフォーラム― 勝者となる半導体戦略 ―(2004年7月8日開催)より
    大嶋氏の講演資料一部抜粋


    SEMIは、この度、半導体製造装置・材料のIP問題における、見解をまとめて発表した。

    SEMI のポジション

    1.グローバルIP保護
    SEMIは、自由で、公正、且つオープンな貿易を支持している。また、WTOの政策を支持し、すべての国の政府や企業がこの政策の準拠を要請する。

    2.政府
    最大の関心を集めているIP保護において、強固なIP政策は外国投資増大や自国産業のイノベーション促進に大きく寄与し、国の利益をもたらす。SEMIは各国政府がそれぞれ、効果的なIP保護政策をとることを奨める。

    3.企業
    すべての企業は他企業のIPに侵害しないよう心がけるべきである。新規もしくは中古装置、スペアパーツ購入もその対象となる。また情報の機密性は遵守されるべきであり、他のパーティと共有されてはならない。こうした倫理は、企業の経営層のみでなく、すべての階層において徹底されるものでなければならない。

    4.半導体製造装置・材料産業界のIP問題

    4−1 半導体製造装置
    半導体製造装置は先端技術の集結でもある。装置のIP問題は、容易に複製可能なIPやスペアパーツ・部材もあるが、一方で装置全体の複製問題にも及んでいる。装置メーカーは限られたリソースを限られた製品に投入していることを考慮すると、これらの問題により損害を蒙った場合の吸収は非常に困難であることがいえる。

    4−2 材料
    材料メーカーは、新規材料開発に多額のリソースを投じなければならない。しかし、一端、新規材料が開発された後は、容易に複製が可能となる。もしIP侵害による被害が深刻化すると、新規材料開発のインセンティブがなくなってしまう。こうしたことから、材料メーカーの半導体業界離れも生じ、他産業にリソースを投じる傾向も出ている。

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