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第三者認証機関がテスト代行サービスにも力を入れる

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デバイスや半導体、モジュール、さらにはエレクトロニクス製品そのものなどの各種試験や信頼性試験を行うため、認証試験業者のULジャパンやテュフラインランドジャパンがテスト施設を相次いで拡張している。ULジャパンは三重県伊勢市の本社地区に信頼性試験装置を設置、テュフラインランドは電波暗室を充実させ、愛知県知立市に新たに設立した。

ULもTUV Rheinlandも元々は第三者の認証機関企業である。さまざまな標準規格に準拠しているかどうかをテストする機関である。テスト装置は豊富に揃っている。今度は、それを逆手にとって、テスト代行サービスを拡張する。試験を要求するユーザー企業は多いが、メーカーが試験装置を揃えるにはコストがかかる。装置を持つ認証機関に依頼すれば、そこで試験ができるようになる。試験装置をメーカーやサプライヤーが揃える必要はなくなる。しかも試験するのは第三者の認証機関であるから、その試験内容は信頼できる。メーカーやサプライヤーは試験に立ち会うだけで済む。

図1 ULジャパンが増強した試験機と新たに拡張した試験機 出典:UL Japan

図1 ULジャパンが増強した試験機と新たに拡張した試験機 出典:UL Japan


ULはこれまでのUL認証で培った信頼とサービスを活かし試験サービスにも力を入れるようになった。三重県伊勢市に本社を構えるULジャパンは、愛知県のトヨタ自動車に近い位置にあり、クルマ向けのテストに力を入れていた(図1)。今回、クルマだけではなく、建機や農機、船舶などにも応用できる試験装置を入れたとしている。例えば、6.5トンの加振機を備える大型複合振動試験機や、耐薬品性を調べる複合腐食試験機、熱衝撃試験機、高電圧・大電流電源装置などを増強したり導入したりした。

中でも大型の複合振動試験機(図2)は、自動車のエンジンやその周辺も含めた重たい部品やモジュールをテストしたり、地震をシミュレーションしたりする。被テストデバイスが重いため、電動ホイスト(押しボタンスイッチを押すことで、重量物をワイヤロープで上下、移動させる装置)を配備した。図2の左上に見えるオレンジ色の物体が電動ホイスト。

図2 6.5トンの加振機を備えた大型振動試験機 出典:UL Japan

図2 6.5トンの加振機を備えた大型振動試験機 出典:UL Japan


高電圧電源は、1000Vまでテストでき、大電流電源は最大2000Aを供給する。大電力のパワー半導体や、電気自動車、プラグインハイブリッドカー、その急速充電器などのテストに使う。

ULジャパンは、これまで電磁波ノイズEMC(Electro-Magnetic Compatibility)や無線技術、各国の認可の取得などを得意としていた。今後は、認証ビジネスだけではなく、試験ビジネスにも力を入れることになる。

テュフラインランドは、古くから信頼性試験装置を備えており、最近はEMCをテストする電波暗室も備えるようになった。特に力を入れたのはクルマ用のテストである。横浜市港北区に本社とテクノロジーセンターを置いているが、このほど愛知県知立市に3m電波暗室や車内機器向け電波暗室を備えたモビリティ技術開発センターMTCをオープンした。

図3 テュフラインランドが設置した電波暗室でEMCをテストする 出典:TUV Rheinland

図3 テュフラインランドが設置した電波暗室でEMCをテストする 出典:TUV Rheinland


れからの自動運転では、新たなECUが多数生まれ、装置のEMCテストは欠かせない。ACES(自動運転、コネクテッドカー、電動化、シェアリング)に向け、ワイヤレス機能を持つECUがこれからも多数増えるため、テュフはEMC測定設備を充実させた。

(2020/09/03)

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