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半導体需要旺盛で、国内で生産増産加速相次ぐ

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半導体需要は相変わらず旺盛で、先週TSMCの決算発表で第2四半期の好調さを紹介したが(参考資料1)、日本勢も旺盛な需要に応える動きが加速している。東芝がパワー半導体の増産を前倒しする。京セラがICパッケージの生産工場を拡張する。半導体リソグラフィのキヤノンが増収増益で好調。半導体製造装置の中古品が2年で2倍の価格になった。台湾では中国からの人材引き抜き専門会社を捜索、スパイ活動と位置付けた。

4月25日の日経産業新聞は、東芝デバイス&ストレージ社のゼネラルマネジャー 八木隆雄氏とのインタビュー記事を掲載、東芝がパワー半導体の生産に必要な200mmウェーハメーカーの生産能力増強の見込がないため300mmウェーハを使う生産ラインの増産計画を前倒しして22年後半に立ち上げる予定だと述べている。先行するのは300V以下の低耐圧品からだという。注文の多いのはクルマの電動化に加え、パワーステアリングやECU(電子制御ユニット)などで使われるパワー半導体や、工作機械やサーバ向け電源など産業向けの需要も旺盛だとしている。八木氏は「中長期的にみるとパワー半導体の伸びは続くが、各社が進めている増産投資が実れば、需給バランスもだいぶ改善される。23年にはタイト感が若干解消されそうだ」と見ている。


図1 京セラの鹿児島川内工場 第23工場の完成予想図 出典:京セラ

図1 京セラの鹿児島川内工場 第23工場の完成予想図 出典:京セラ


京セラはICパッケージの生産量を増やすため、鹿児島川内工場に国内最大の建屋となる第23工場(図1)を建設すると発表した。モールドの有機パッケージは5Gの基地局やデータセンター向けに加え、ADAS(先進ドライバー支援システム)や自動運転用のセンサカメラや高機能プロセッサなどの需要を見込む。また水晶デバイス用パッケージも家電、自動車、産業向け市場の拡大を見込み増産する。23年10月から新工場棟の稼働を順次開始する。同工場での有機パッケージの生産能力は現状の4.5倍になる見込みだとしている。投資総額は624億円、2022年5月に着工、23年10月操業。延床面積6万5530m2、鉄骨、6階建て。

キヤノンが2022年12月期に増収増益になる見通しを4月21日の日本経済新聞が報じた。2022年第1四半期の決算発表は26日の予定だが、リークした模様。売上額は前期比1割強増えて4兆円近く、連結純利益は同2割増の2500億円前後になりそうだとしている。半導体露光装置や監視カメラが想定よりも伸びそうだという。

半導体製造装置の中古品の価格が2年前の2倍になった、と20日の日経が報じた。「納期が延びている新品の代替需要に加えて、半導体の国産化を進める中国から成熟した技術の製品の引き合いが強まり、特需のような状況になっている」という。特に不足感が強いのが200mmウェーハ用の装置で自動車や家電用の半導体用とみられる。中国へは200mm対応装置は規制の対象となっていないため、中国は200mmラインに投資しているようだ。ニコンは24年度までにi線露光装置の新製品を投入することを決めたとしている。

中国で半導体製造を躍起になって進めているものの、中国内では半導体産業に学生が入ってこないため、台湾、韓国、日本から人材を大量に採用している。すでに台湾から3000人以上のエンジニアを中国に連れて行った。台湾当局法務部調査局が、半導体エンジニアを違法な形で獲得する動きが活発化していることに備えて中国関連企業8社を一斉に家宅捜索したところ、表向きの香港企業の子会社ではなく中国大陸の半導体関連企業だったと、20日の日経が報じた。日経は「行政院(内閣)は、2月に国家安全法の改正案を閣議決定した。台湾の核心的技術などを盗み、持ち出す『経済スパイ罪』を新たに設け、5〜12年の懲役刑を科すとした」と述べている。

参考資料
1. 「TSMCの業績から推定できる今年の非メモリ半導体市場」、セミコンポータル (2022/04/18)

(2022/04/25)

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