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2022年3Q売上額でキオクシア、SK Hynixを抜き返す

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2022年第3四半期(3Q)におけるNANDフラッシュ市場は、需要が軟化してきており、NAND市場全体で前期比24.5%減の137億ドルとなっている。ただし、キオクシアが善戦している。0.1%減にとどまっている。その結果、前期はSK Hynixの後塵を拝していたが、抜き返して2位に浮上した。今年最後の4Qはどうなるか。

Table: Global Ranking of Branded NAND Flash Manufacturers by Revenue /TrendForce

図1 フラッシュ市場NANDの売上額ランキング 出典:TrendForce


図1は台湾系の市場調査会社TrendForceがまとめたもので、売上額の単位は百万ドル。現在急激に進んできた在庫調整と需要減退の現在、NANDフラッシュの単価が急激に減少していることに加え、ビット需要も全四半期比で6.7%減となっているという。つまり、ビット需要を促進してきたデータセンター需要も落ちてきたのである。

3Qに28.3億ドルを売り上げたキオクシアは、数カ月前のパーティクルのコンタミネーション問題で2QにSK Hynixに抜かれ、3位に転落したが、3Qになって生産が回復し2位に戻ってきたため善戦したようになった、とTrendForceはみている。3Qは新型iPhoneの発売とも重なり、ビット需要が23.5%増加した。ただし平均単価は、大きく落ちたため、0.1%減にとどまった。

2Qまで生産ラインで問題があまりなかったSK Hynixは、景気後退の影響をもろに受け、全四半期比29.8%減の25.4億ドルとなった。パソコンとスマートフォンでの需要減退の影響を受けた。また、サーバ需要がこれまで堅調に伸びていたが、3QになってSKグループ(Hynixと最近買収したSolidigm)のビット需要は同11.1%減で、平均単価も20%下落した。Solidigmは買収したIntelのNANDフラッシュ部門の米国工場の新会社。

上記2社以外のフラッシュメーカーであるSamsung、Western Digital、Micron Technologyも3社は、ビット需要、平均単価とも落ちている。例えばSamsungは企業向けSSDの出荷が落ちており、前四半期比28.1%減の43億ドルに低下した。

WDのNANDビジネスも同様にビット需要、平均単価とも低下しており、同28.3%減の17.2億ドルに低下した。Micronもデータセンターや産業用IoT向けのNANDフラッシュは軒並み悪いが、唯一、自動車用のみ増加したという。その結果、同26.2%減の16.9億ドルになった。

4Qの見通しも3Q同様悪く、フラッシュメーカーのウェーハ投入量は減る見込みである。年末には例年のクリスマス商戦が今年は期待されないとして、4Qも平均価格が20~25%下落するとTrendForceは見ている。その結果4Qの売り上げも20%程度は下がるだろうと予想している。

参考資料
1. "Global NAND Flash Revenue Fell by 24.3% QoQ for 3Q23 as Suppliers Made Large Price Concessions That in Turn Impacted Their Results, Says TrendForce", TrendForce (2022/11/23)

(2022/11/24)

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