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世界MEMS企業売上高ランキングトップ30に日本企業はわずか3社に激減

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More-than-Moore(Mooreの法則による微細化には頼らない)半導体専門の市場動向調査グループである仏Yole Group は、2021年の世界MEMS市場規模が、2020年の115億ドルから17%もの記録的成長を遂げて136億ドルに達し、さらに今後年平均9%で成長し、2027年には223億ドルに達する見込みであると発表した。MEMSの過去の成長率は5〜10%程度であったから、昨年は異例ともいえる急成長の年となった(参考資料1)。

Yole の2021 年のMEMS市場分析によると、センサのコンシューマ アプリケーションと自動車アプリケーションの両方が継続的に収益に貢献し、医療・産業向けおよび関連アプリケーションの新たな進歩が収益を押し上げた。第2に、慣性および圧力MEMSなどの一部のMEMSデバイスの平均販売価格が、チップ不足により2021年にやや値上げしたため、MEMSメーカーの売上高増加に寄与したという。


トップBoschはMEMS製造の300mm化を計画

Yole Groupが調べた2021年世界MEMSサプライヤ売上高ランキングトップ30を図1に示す。トップ企業は、昨年同様に独Robert Boschで、2位米Broadcom、3位米Qorvo、4位スイスSTMicroelectronicsまでの順位に変動はない。どの企業も大きく売り上げを伸ばし、Boschは2014年以来、ずっと首位を守っている。


2021 TOP MEMS COMPANIES - IN US$ MILLION / Yole Intelligence

図1 2021年世界MEMSサプライヤ売上高ランイングトップ30(図2に示すMEMSファウンドリの売り上げも含む) 出典:Yole Intelligence


そのBoschは、Stefan Hartung会長が、2022年7月に、「MEMSテクノロジ市場におけるリーダーの地位を確立するため、300mmウェーハでMEMSセンサを2026年から製造することも計画している」(参考資料2)と述べているから、Boschは、小口径ウェーハ主流のMEMS業界の中にあって、将来、スケールメリット(数の経済)で他を引き離してトップを独走するかもしれない。

5G通信というメガトレンドの波に乗ってRF フロントエンドが急成長しており、そのキーコンポーネントといえるBAW(Bulk Acoustic Wave、バルク弾性波)フィルタサプライヤのBroadcom、Qorvo、米Qualcomm、や米Skyworks Solutionsが大きく売り上げを伸ばしている(参考資料3)。米Skyworksはランク外から一気に17位に躍り出た。同社は、2014年にパナソニックのSAW(Surface Acoustic Wave、表面弾性波)フィルタ事業を買収し、最近はBAWフィルタもかつてパナソニックの本拠地だった大阪で生産している。


日本では半導体に続き「MEMSよ、おまえもか」

日本勢は、6位にTDK、16位にキヤノン、18位に村田製作所が入っている。過去には、パナソニック、旭化成、アルプス、エプソン、デンソー、オムロン、太陽誘電、ソニー、ロームがランクインしていた時期もあった。

Yoleの過去のランキングデータから2016年以降の日本企業を拾い出してその順位を表1に示す。この統計から、明らかなように、2016/2018年には、日本勢がトップ30社中10社を占めていたが、その後、10社→8社→7社→3社と減っていったということである。日の丸半導体(DRAMやロジックIC)の凋落に続いて「MEMSよ、おまえもか」の感がある。ただし、日本では例外的に2021年にTDKが売り上げを6億ドル近くまで大きく伸ばして順位を6位に上げたことは注目される(編集室注)。日本勢の多くが現状維持か売却・撤退のなかで、TDKを含む世界上位6位グループは売り上げを大きく伸ばしている。


MEMS企業売上高ランキングトップ30における日本企業の順の変遷 / Yoleデータより本稿著者が集計・作表

表1 世界MEMS企業売上高ランキングトップ30における日本企業の順の変遷(空欄は、ランク外を示す)(出所:Yoleデータより本稿著者が集計・作表)


ソニーがMEMSファウンドリ世界3位から5位に

MEMSファウンドリ(図2)の存在感が年々増しているとYoleは指摘している。MEMSファウンドリによる売上高は2020年には5億7000万ドル、2021年は6億9000万ドルと拡大。数年前まではトップのMEMSファウンドリの売上高は6000万ドルに届かない規模であったことを考えると、急激に存在感を増していることがうかがえる。Yoleによると現在、多くの企業がMEMSファウンドリへのアウトソーシングを模索しているとのことで、今後、存在感を増していきそうだという。

世界MEMSファウンドリ売上高ランキングでトップは中Silex Microsystems (もともとスェーデンの企業だが中国勢に買収され中国で巨大MEMSファウンドリ稼働)、2位はカナダTeledyne MEMS、3位は台湾TSMC、4位は独X-FABで、いずれ昨年売上額を大きく伸ばした。5位にソニー(MEMS製造ラインは、ソニーの孫会社であるソニーセミコンダクタマニュファクチャリングの鹿児島テクノロジーセンター内)が入っているが、2020年には3位であったものの、上位4社とは異なり売上が伸びずに現状維持で、2021年にはTSMCとX-FABに抜かれてしまった。


2021 TOP MEMS FOUNDRIES - IN US$ MILLION / Yole Intelligence

図2 2021年世界MEMSファウンドリ売上高ランキングトップ15 出典:Yole Intelligence


現状維持は負け戦、出でよ果敢に挑戦し世界で勝負するベンチャ

MEMS業界の雄BoschやMEMSファウンドリ業界の雄であるSilexはじめ上位企業がMEMSの新工場建設やライン増設をする中で、現状維持や事業縮小の日本勢の多くは順位を落とす結果となった。

余談だが、かつてHewlett-Packard(HP)の共同設立者の一人であるDavid Packard氏は、シリコンバレーの経営者団体であるSilicon Valley Leadership Group (SVLG)の初代理事長として、"To remain static is to lose ground(現状維持は負けということだ)"と会員企業の経営陣に助言していたという逸話をシリコンバレー出張時にSVGL事務局長からお聞きした。当地のCEOの座右の銘になっているという。日本半導体・MEMS企業の中から、現状維持ではなく、今後急成長を遂げそうな新分野に果敢に挑戦し、世界で勝負する企業が出てきてほしいものである。

参考資料
1. "Status of the MEMS Industry 2022", Yole Intelligence (2022/08)
2. 服部毅、「Bosch、2026年までに半導体事業に30億ユーロの投資を決定」、マイナビニュースTECH+ (2022/07/20)
3. 服部毅、「RFフロントエンド市場は2026年に43億ドル規模に成長へ」、マイナビニュースTECH+ (2022/02/02)

Hattori Consulting International 代表 服部毅


編集注)
TDKは2017年にMEMS製品メーカーのInvenSenseを買収しており、慣性センサ事業を手に入れている(「TDKがInvenSenseを買収する理由(わけ)」参照)

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