Intel、Samsungが各々Lunar Lake、メモリで期待するAIパソコン市場
先週、IntelおよびSamsungの2024年度第2四半期(4〜6月期)の決算がそれぞれ発表された。Intelは、売上額が前四半期、前年四半期とほぼ同じ128億ドルだったが、営業利益はほぼゼロという結果であった。Samsungの半導体部門の売上額は、前年同期比ほぼ2倍、前期比でも23%増の28兆5600億ウォン(1ウォン=0.00073ドル)で、営業利益は6.45兆ウォンだった。
Intelの純損益は、一般的な米国企業の会計基準であるGAAP方式では16.1億ドルの赤字、多くの半導体企業が用いるNon-GAAP方式ではわずか1億ドルの黒字となっている。本業を表す営業損益は、前期が7億ドルの黒字だったが、今期はゼロとなった。Intelは2024年末までに社員の15%をカットすると発表しており、立て直しを図ることになる。
GAAPベースの赤字の原因を探ると、それは部門別の数字から見えてくる。クライアントコンピュータ部門、いわゆるパソコン部門は前年同期比8.8%増の売上額74億ドル、営業利益は25億ドル、データセンターAI部門の売上額は同6.2%減の30億ドル、営業利益は前年同期より2億ドル下がって3億ドル、ネットワーク部門の売上額は13億ドル、営業利益は前年同期と同じ1億ドルとなっており、これらの製品別部門では黒字である。しかし、サービス部門であるファウンドリ部門の売上額が前年同期比2.4%増の43億ドルだが、営業損益は28億ドルの赤字となった。その他部門は、Altera部門が前年同期より売上額が半分にも満たない3.61億ドルで営業赤字額2500万ドル、Mobileye部門が前年同期比3.1%減の4.4億ドル、営業利益は7200万ドルとなっている。
これらを見ると設備投資額が大きなファウンドリ部門の大赤字が原因となっている。この1年の経緯を見ると、2023年第2四半期(2Q)からファウンドリの売り上げが徐々に増え、営業赤字額が徐々に減ってきたが、今年に入り再び広がってきた。確かに高NA(0.55)のEUV装置を導入し(参考資料1)、設備投資額が膨らんでいるため工場の赤字幅が広がったのだと思われるが、未来への投資だけにやむを得ない面がある。とはいえ、このままでは投資家が黙っていないため、人員削減に踏み切った。
未来に対して、特にパソコン部門はMicrosoftのCopilot+仕様によるAIパソコン向けの、IntelのCPUであるLunar Lakeが2024年末までに4000万個出荷されると見込まれている。出遅れ気味のデータセンター・AI向けチップSierra ForestがIntel 3プロセスでの量産に入り、2024年後半にはチップレット主体のCPUであるGranite Rapidsと、NvidiaのGPUに肩を並べるGaudi 3が立ち上がる予定となっている。ただ、短期的な3Q見通しでは売上額は前年同期より12億ドル低い125〜135億ドル、粗利益はNon-GAAP で1年前の45.8%より低い38%を見込んでいる。
図1 AIパソコン向けCPUのLunar Lakeが前倒しで出荷へ 出典:Intel
一方メモリの回復が明確になったSamsung半導体は、メモリ売上額が前年同期比2.4倍、前期比23%増の21.74兆ウォンとなった。営業利益は1年前の4.36兆ウォンの赤字から、6.45兆ウォンの黒字になった。前期が1.91兆ウォンの黒字に転換したばかりで順調な回復を見せている。
非メモリ部門は1年前の5.76兆ウォンから18.4%増の今期6.82兆ウォンになった。前四半期は5.65兆ウォンであり、順調な回復と言えそうだ。非メモリ部門には、SoCとイメージセンサ、ディスプレイドライバICなどを製品として持つシステムLSI部門と、社内外の製造を受け持つファウンドリ部門がある。それぞれの売り上げは公開していないが、ファウンドリ部門は前期よりも成長したと述べている。特にサブ5nmプロセスを使った新規受注の結果AIおよびHPC(高性能コンピューティング)部門の顧客を倍増させたという。
またプロセス技術として2nmのGAA(ゲートオールアラウンド)トランジスタプロセスの開発キット(PDK)を開発したことで2nmプロセスの準備が終わり、2025年に量産を開始すると見込んでいる。
参考資料
1. 「高NA EUVリソグラフィ装置第1号をIntelオレゴン工場に導入、組み立てた」、セミコンポータル、(2024/04/19)