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自動車用半導体売上ランキング、自動車半導体不足は解消されたのか

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2021年の世界自動車向け半導体企業トップ10社ランキングが発表された。それによると、第1位はドイツのInfineon Technologies、2位オランダのNXP Semiconductor、3位にルネサスエレクトロニクス、という順になった。これは、市場調査会社の米Semiconductor Intelligenceが発表したもの。ルネサス以外の日本企業は8位にロームが入っている。

図1 世界自動車用半導体の売上額トップ10社 出典:Semiconductor Intelligence

Automotive Semiconductor Revenues, $M / Semiconductor Intelligence


このトップテンでは、企業によって異なる会計年度をカレンダー年に統一して表しているが、統一しにくい企業は会計年度(FYE)の終了年月を示している、例えば1位のInfineonは9月末が会計年度の最終月となるため、2020年10月から2021年9月までをFYE Sept. 2021と表現している。このため若干のずれが生じるがやむを得ない。

半導体不足に対するメーカー、OEMの見方はまちまち

自動車用半導体不足の解消はほぼ満たされてきたようだが、半導体メーカー、自動車メーカーによっていろいろあるようなまだら模様になっている。自動車用半導体メーカートップ5社の見方は次の通り;

Infineon:2022年いっぱいまで徐々に不足は緩和していく
NXP:2022年3Qの見通しでは需要がいまだに供給を超えている
ルネサス:2022年2Q末では在庫は計画通りのレベルに戻る
TI:在庫は望ましいレベルよりも未だに低い
ST:2023年中には生産能力は売り切れになりそう

主要自動車メーカー(OEM)の半導体不足への見方;

トヨタ:2022年3Qまでは少なくとも不足
Volkswagen:不足は緩和しつつある
現代:不足は緩和しつつある
GM:2023年も不足の衝撃
Stellantis:2022年の後半まで不足
ホンダ:不足により不確実に見える
日産:あと数カ月で回復しそう
Ford:不足は未だに問題
Mercedes-Benz:供給問題は深刻ではない
BMW:不足による生産遅れはなくなった
Volvo:完全供給に戻る
Bosch(部品メーカー):2023年も不足は続く

自動車メーカーは今回の半導体不足を経験して、半導体の在庫を持つようになった。これまでの全く持たないJust-in-time方式から3〜4ヵ月は持つ方式に変えつつある。こういったOEMとサプライヤーのコメントを見る限り、今後半導体メーカーとしても、OEMとの話し合いの中で短期的なニーズと中長期的なニーズに分けて議論していく必要があるだろう。クルマに使われる半導体は、自動運転(A)、ワイヤレス接続(C)、電動車(E)、シェアリング(S)といった全ての領域で今後、半導体需要が増えていくからだ。シェアリングでさえ、スマートフォンによる本人確認を行ったうえで、クルマのキーの機能をスマホに設けることで、ソフトウエアだけではなくチップやIPも必要となってくる。クルマにはますます半導体チップが使われるため、OEMとの一層の話し合いが欠かせなくなる。

(2022/08/31)

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