High-NAのEUVリソグラフィ装置の次となるか、Hyper-NAのEUV開発計画
リソグラフィ最大手ASMLはIntelのオレゴン工場にHigh-NA(Numerical Aperture:開口数)のEUV装置を初出荷したが、海外複数のメディアによると、早くも次のHyper-NAのEUV装置開発が始まりそうだ。従来のEUV装置のNAは0.33でHigh-NA装置は0.55、そしてこれから開発するHyper-NAは0.75となり、これまで以上に微細加工が可能になる。
図1 imecのイベント、ITF World2024がベルギーのアントワープから始まった
ベルギーの世界的な半導体研究機関Imecの年次イベントであるITF World 2024において、ASMLの社長兼CTOで現在もアドバイアリを務めるMartin Van den Brink氏がHyper-NAの開発計画を明らかにした。ITF Worldはimecが本場ベルギーでのイベントを皮切りに世界各地で開催される。日本でも毎年11月に開催が予定されている。
現在最先端のHigh-NA EUVリソグラフィ装置は1台約4億ドルと高価だが、新しいHyper-NAの装置はさらに高くなると見ている。反射ミラーのサイズや枚数が増えるからだという。
そこで、装置のスループット(1時間当たりのウェーハ処理枚数)を上げることでチップコストを下げることができると見ている。そのために、現在、200wph(wafers per hour)というウェーハ処理速度を2倍以上の400〜500wphに上げる、としている。
現在のNA0.55というHigh-NA装置では、波長13.5nmに対して、最小線幅10nmの密な配線を描くことにこの4月に成功したとASMLはSNSのX(旧ツイッター)で述べている(参考資料1, 2)。IntelはHigh-NAの装置「EXE:5200」をオレゴンの製品開発工場で導入し、Intel 14Aプロセスノードで使うと見られている。
現在の普及期であるNA0.33の装置は波長13.5nmを最小寸法としているが、High-NA装置では最小線幅8nmが可能になるようにASMLは設計しているようだ。さらにその先のプロセスノードでは、実寸法は明らかにされていない。
参考資料
1. ASMLのXのポスト、(2024/04/17)
2. "ASML Sets Density Record with Latest Chipmaking Tools - High-NA EUV Equipment Prints First Patterns", tom’s HARDWARE, (2024/04/18)