次世代リソグラフィEUV量産機がTSMCでトラブル
TSMCの試作ロットを流している時に、ASMLのEUVリソグラフィ装置が故障するというトラブルが発生した。この装置は、最初の量産機であるEUVスキャナーNXE:3300B。提携メディアのSemiconductor Engineeringがレポートする。
TSMCは、カリフォルニア州サンノゼで開かれた2014 Advanced Lithography Conferenceにおいてこの問題を公表した(参考資料1)。TSMCで試作ロットを流しているときにEUV光源内部のレーザー機構のアライメントミスが原因で壊れた。このため、EUVスキャナーは使えなくなっている。「レーザーのアライメントミスだった」とTSMC次世代リソグラフィ部門の長であるJack Chen氏は認めている。
同氏は、ASML/Cymerはこの問題を解決する予定だ、とEUVに対して強気の発言をしている。事実、TSMCは、EUV装置に問題があったのにもかかわらず、10nmノードでEUVを導入する計画を崩さない。「これは当社の目標だから」と同氏は述べる。
それでもなお、問題を公表したということは、EUVの悩ましいトラブルがいまだに続いていることを物語っている。TSMCでこの問題が起きたため、EUV装置の優れた特性データを半導体メーカーは当分得られないだろう、とある専門家は指摘する。
EUVにまつわる問題は光源によることが多い。実際には、マスクやレジストなど多数の問題がEUVで噴出し続けている。
光源の見通し
ASMLの最初の量産機NXE:3300Bは、最近、TSMCに出荷された。IntelやSamsungなどの半導体メーカーは今年中に装置を入手したいと考えている。このEUV装置の仕様は、NA(開口数)0.33、4倍投影方式を採用、解像度がハーフピッチで22nm、となっている。
NXE:3300Bには、ASML/Cymerから30Wの光源が搭載されていたはずだ。しかし、今回、1月31日前後の試作工程で、レーザーの機構が壊れ、リソ装置は停止した、とTSMCはいう。米国時間2月24日現在で、この装置はまだ動作していない。Chen氏は「まだ故障中だ」と述べている。
今回のトラブルは、EUV光源内部の部品、特にコレクタにダメージを与えた、とChen氏は言う。光源には、LPP(laser-produced plasma)方式を採用している。この方式では、あるターゲットにパルスレーザーを照射することによりプラズマを発生する。この光源はまた、プレパルスのレーザーも使い、主発振器パワーアンプ(MOPA)でEUVのパワーを増幅する。
この光源はCymer社が開発したもので、同社はASMLに最近買収された。ASMLに光源を納めてきたCymerは2012年末までに100Wの光源を出荷することを約束してきた。それまで、Cymerは40Wと50Wのパワーを発生する能力を示してきた。
55WのEUV光源は43枚/時のスループットに相当する。しかし半導体メーカーは80Wの光源を求めており、チップの生産にEUVの優位性を持たせようとしてきた。80Wの光源なら58枚/時のスループットになる。ASMLは、2015年までに250Wの光源を持つEUVスキャナーを出荷したいという意向である。このパワーだと126枚/時のスループットになる。
参考資料
1. EUV Suffers New Setback