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デンソーが自社製SiCウェーハに1200V/30AのMOSFETを試作

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トヨタ自動車のティア1サプライヤであるデンソーは、自社で成長させたSiCインゴットのウェーハを使って、パワーMOSFETとパワーショットキーダイオード(SBD)を自社開発していることを「人とくるまのテクノロジー展2008」で明らかにした。開発した半導体デバイスと、それを使った3相モーター駆動用のパワーモジュールを展示した。

開発した直径3インチのSiCインゴットは、種結晶から2000℃を超える高温で気相成長させたもので、結晶成長は自社で行った。先日、同様なSiCパワーチップを発表したローム社は、SiCウェーハそのものは海外のCree社から購入している。SiCは常圧で高温にしても液体にはならず固体から直接気体に昇華するという性質を持つため、Siで使ってきたチョクラルスキー引き上げ法が使えない。高圧にすれば液化できるが、装置が複雑になってしまう。このため、気相成長でインゴットを作り上げた。それを厚さ300μm程度のウェーハに切り出しスムーズな表面に研磨する。シリコンとは違い、SiCは半透明であるため鏡面にはならない。


デンソーが展示したSiCデバイス

デンソーが展示したSiCデバイス。
右から3インチSiCウェーハ、MOSFET、SBD、モジュール(キャップ有り無し)


試作したパワーMOSFETは、耐圧1200V、電流30~40A程度、SBDは耐圧1200Vで電流200Aと大きい。SiではなくSiCを用いたのは、高温動作できるだけではなく、高耐圧・高電流密度・高速スイッチング動作、といった特長が高耐圧の自動車に向くためだ。ダイオードにショットキー接合を用いたのは、pn接合よりも順電圧が低いため。ダイオードはパワーMOSFETの逆電流を逃がすために使う(以下の図)。


パワーMOSFETの逆電流を逃がすために使う


これを一つのデバイスとして、3個使うことで3相交流モーターをスイッチングさせることができる。今回試作したデバイスの最大電流は200Aであるが、電気自動車では電源電圧600Vで電流400Aを流すことをターゲットとしている。このため、このMOSFET/ダイオードのデバイスを6組使い、3相モーター駆動モジュールに入れたシステムをデモンストレーションした。次の開発目標は定格400Aのデバイスを作ることだとしている。

一方、ロームも200℃での耐圧が1000Vを超すようなMOSFETを試作しており、50Aクラスのショットキーバリヤーダイオードと一緒に展示した。次のターゲットである4インチSiCウェーハも展示していたが、これはCreeから購入したもの。

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