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SeleteがLSI上の光導波路配線で5GHzのパルス伝送を確認

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米Hewlett-Packard社が光配線技術を2009年にも同社製品に使うことを明らかにしたが、5月26日につくば市で開かれたSelete Symposium2008において、Selete(半導体先端テクノロジーズ)はLSIチップ上に約4mmほどの光導波路を作製、5GHzのパルスを崩すことなく受信できることを確認した。

これはHPと同様、シリコンフォトニクス技術による光配線技術といえる。光を発するレーザーはもちろん化合物半導体であるが、その導波路と受光素子はシリコン系の材料で構成されており、その構成をシリコンフォトニクスと呼んでいる。シリコンという最も安定した半導体を使い、光配線をシリコンのLSI上に構成する。現実の商品に近い技術だといえよう。

光ファイバなどの光配線技術は、サーバー内の配線やプリント基板上の配線、さらにはLSIチップ上の配線へと次第に使われるようになってきている。従来のような単なる高速伝送だけなら電気配線だけでも中継器(リピータ)を配線経路内に配置することで、Gビット/秒の高速伝送は可能だが、配線で消費する電力、あるいは配線容量を駆動するために消費するトランジスタの電力などがもはや許容できなくなりつつある。すなわち、消費電力を下げるために光配線を使うというシナリオになってきた。

Seleteの方法は、通常のシリコンLSIの回路表面にバンプをつけ、その上に光配線層および電極を形成したウェーハを、電極同士で張り付けたもの。光配線のウェーハにはSiO2上に光を伝送するための導波路としてSiON光配線層を形成している。このSiON層が光ファイバでいうところのコアになり、周りのSiO2がクラッドとなる。屈折率の高いコアをより低いクラッドが囲むことで光は外へ漏れにくくなり伝わっていく。屈折率の違いは数%高いだけだが、伝達の効果はある。コアの屈折率はシリコンを使う方が40%と高いが、導波路の損失は1~3dB/cmと高い。今回用いたSiON導波路は0.2~0.3dB/cmと低い。

伝送する光の波長は800nm程度を選んだ。光ファイバ通信で使われる低損失あるいは低分散の1300~1600nm帯では光の吸収が激しいためである。800nmレーザーは製造が難しいわけではない。


シリコン内へのAgプラズモナンテナ埋め込み


受光素子としては、くし型のAg電極パターン(写真1)を用いた、ショットキーバリヤダイオードである。Ag電極を用いたのにはわけがある。SiONを通る光は屈折率のより高いSiには入り込みにくい。このため受光素子付近で光を閉じ込めて、Si側へ漏れるように誘導したい。光を閉じ込めるため、プラズモンアンテナとしてAgのくし型電極パターンを用いた。

光の電磁波とAgの電極パターンでの振動を共鳴させてプラズモンを発生させ、光を受光素子付近に閉じ込めることに成功した。光がSi内に入り込むと、Ag電極と半導体との間のショットキー接合による空乏層があるため、そこで電荷が集まることになる。その電荷を拾い集めることで受光素子となる。


5GHzの周期パルス光による電子回路動作を確認


実験では、20psのパルス応答を調べたのち、5GHzの周期性のパルスをクロックとして、LSI内の回路を動作させた(写真2)。光配線層とLSIチップ層の間はAuSn合金によって接続するため、上下のウェーハの位置決めは簡単にできる。従来、光配線ウェーハとLSIウェーハを光で結ぶという提案があったが、位置決めが難しく現実的ではなかった。今回の手法だと、上下のウェーハの張り合わせは簡単にできる。

今後、データ伝送するアイパターンがどの程度の高速データレートまで崩れずにいけるかなど、より現実的な実験へと進むことになる。

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