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Keysight、ミリ波向け最大110GHzまでの信号アナライザをリリース

第2世代の5Gシステムや低軌道衛星間通信などこれからのミリ波通信システムを観測するため、最大110GHzまで測定できるミリ波信号アナライザ「N9042B UXA」をKeysight Technologyが開発、発売した。アナライザ本体では最大周波数50GHz、帯域幅4GHzだが、周波数エクステンダ「V3050A」を追加すると110GHzまで測定可能になる。

図1 新製品ミリ波の信号アナライザ 出典:Keysight Technology

図1 新製品ミリ波の信号アナライザ 出典:Keysight Technology


測定器は、測るべき半導体チップやモジュールよりも性能を上げなければ測れない。このため、測定器には最先端のテクノロジーが詰まっている。測定器内で使う半導体チップには独自開発したものが多い。今回の発表でも独自設計のCPUとLNA(ローノイズアンプ)を使っている。

スペクトラムアナライザ機能をはじめとする高周波特性を測定するためには、高い周波数や広い周波数帯域だけではなく、ノイズ特性の評価も重要である。帯域を広くとればとるほどノイズは高まり、ノイズの中から信号を取り出す技術が重要になるという。ノイズレベルの中では、EVM(エラーベクトル振幅)を抑えることが特に重要で、今回の製品はこれまで最高のレベルだとしている(図2)。


Keysight 89600VSA Software

図2 表示される測定値 出典:Keysight Technology


上の図では、デジタル変調した64QAMのコンステレーション図(左上)やスペクトラムアナライザ(左下)、信号を復調したデジタルシンボル図(右上)、測定値全体のまとめ(右下)を示している。信号アナライザという名称は、スペクトラムアナライザだけではなくデジタル変調のコンステレーション分布図も表示できることから来ている。

さらに信号を入れない時のノイズレベルDANL(Displayed Average Noise Level)、いわゆるノイズフロアも低く、48GHzで-160dBm/Hz程度となっている(図3)。この低い雑音指数は自社開発のLNAによってノイズと歪のバランスを調整したものだとしている。


N9042B DANL with LNA and PA(Typ)

図3 従来の製品よりもノイズを削減 赤字のラインはLNAのノイズフロア、オレンジのラインはパワーアンプのノイズフロアを示す DANL: Displayed Average Noise Level 表示平均雑音レベル 出典:Keysight Technology


60GHzや77/79GHzのようなミリ波を測定するためには、最大110GHzまでシームレスにスイープしてくれる周波数エクステンダを取り付けることで、DUTのそばで測定できるようになる。加えて、テスト用の受信変調による位相と振幅の補正のためのキャリブレータ「R9361」も用意している。振幅の精度が1桁以上向上するという。ハンディタイプで測定器のそばに置くことでケーブル長による性能劣化を防ぐ。

同社は、測定器に必要なアプリケーションソフトも10種類近くリリースしている。これも独自開発したCPUに合わせて用意されたものだとしている。

(2021/06/09)

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