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5G移動通信の測定器が充実してきた

世界的には4G(第4世代の移動体通信)と呼ばれるLTEの次の5G(第5世代の移動体通信)の測定実験が始まっている。National Instruments、Tektronix、Keysight Technologiesなどが続々5G向け測定器やその実験を発表している。

図1 Keysight Technologiesの社長兼CEOのRon Nersesian氏(右)とCTOのJay Alexander氏(左)

図1 Keysight Technologiesの社長兼CEOのRon Nersesian氏(右)とCTOのJay Alexander氏(左)


Keysightsは、5G通信ネットワーク向けの測定器を揃えており、同社が主催したイベント、Keysight World 2017において、LTEから5Gへのつなぎとなるプレ5Gや5Gの信号送受信測定器をはじめ、3Hzから110GHzまで一気に掃引できる信号解析測定器、28GHz帯での1チャンネル800MHzの帯域を8チャンネル測定できる信号評価用測定器などを展示した。5Gだけではなく、ミリ波高周波からV2X通信やリチウムイオン電池の評価や、電源評価、材料評価などの測定器も示した。同社社長兼CEOのRon Nersesian氏(図1の右)やCTOのJay Alexander氏(同左)も来日した。

同社はソフトウエアのプロトコルソリューションに強いAnite(アナイト)社を買収しており、信号波形を解析しながらプロトコルも解析できる測定ソリューションがプレ5Gや5G開発に威力を発揮する。例えば、5Gのような準ミリ波からミリ波といったテクノロジーは直進性が強いため、電波を送信すべき携帯端末の方向へビームを向けるビームフォーミングなどの技術を使う。ビームフォーミングは物理層で行うが、それをコントロールするのはアプリケーション層になる。このため、波形測定とプロトコル解析を1台で出来れば便利だ。


図2 28GHzの8チャンネルの信号を送受信した波形と64QAMのコンステレーション

図2 28GHzの8チャンネルの信号を送受信した波形と64QAMのコンステレーション


Keysightは元々Hewlett-Packard社からスピンオフを繰り返してきた測定器メーカーだけに高周波ハードウエアにはめっぽう強い。しかし、標準規格や周波数割り当てなどの進展が早い通信業界では、ハードウエアだけではもはや立ち行かなくなった。このため同社はAniteや、やはりソフトウエアメーカーのIxia(イクシア)社を買収し、ソフトウエアを強化している。ハードウエアはプラットフォーム化して28GHz帯信号評価装置では、National Instrumentsが標準化したPXIe準拠のシャーシを組み込んでいる。デモでは、信号発生器からの入力を受信して波形を時間や周波数軸で表示しているが、このハードウエア装置には、Software Defined eXperienceと記されている。図2では1キャリアあたり800MHzの帯域の波形を8チャンネル分観測し、各チャンネル64QAMのコンスタレーション波形を観測している。

展示会では、準ミリ波以上の高周波波形を有線でDUTに入れてその出力を観測していたが、無線を飛ばしてはいない。そもそも展示会ではさまざまなWi-Fiなどが飛んでいるため、ただでさえ送受信の実験はしにくい。

一方、NIは2017年5月のNIWeekにおいて、5Gシステムの28GHzにおける伝搬実験を行い、電波の飛んでくる方向の可視化を公開した。図3では、実際に28GHzの5Gの電波(デジタル変調済)を空間に飛ばし、受信した時のデモである。


図3 28GHzの空間送受信したデモの実験機 右が送信機、左が360度の受信機

図3 28GHzの空間送受信したデモの実験機 右が送信機、左が360度の受信機


図3の右から28GHzのデジタル変調した電波を飛ばし、左の半球型の受信アンテナで受けた。受信波形を時間軸や周波数軸で捉え、ディスプレイにさまざまなデータを表示している。意外な方向からも電波が飛んできたという。

TektronixはTIF(Tektronix Innovation Forum)2017を7月以開催、セミナーを中心に5G時代のMIMOアンテナ技術について講演を行った。ここでは、平面アレイアンテナを使って各アンテナの移相器を調整することで、ビームを狙った端末に発信することを述べた。Tektronixも任意波形発生器AWG5200と、オシロスコープMSO58を組み合わせたシンプルな構成で、8×8のMIMOで位相コヒーレンスなRF測定が可能であるとしている。

(2017/07/14)

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