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5G通信、802.11axに対応可能なソフトウエアベースのRF測定器をNIが発売

National Instrumentsは、帯域幅1GHzと広い無線通信の設計・テストを行う第2世代のVST(ベクトル信号トランシーバ)測定器「NI PXIe-5840」を発売する。帯域幅が広いため、第5世代の携帯通信(5G)やIEEE802.11ac/axに準拠するデバイスのテストなどRFトランシーバやチップをテストする。

図1 バンド幅1GHzと広い5G通信/802.11ax向け測定器 出典:National Instruments

図1 バンド幅1GHzと広い5G通信/802.11ax向け測定器 出典:National Instruments


第1世代のVST測定器の帯域が200MHzだった (参考資料1)。今回の製品は5倍の帯域を持つため、5G通信だけではなく自動車用の77GHzミリ波レーダーの測定にもミリ波受信機さえ追加すれば測定できる。基本的な測定周波数範囲は、9kHz〜6.5GHzと広げている。第1世代版では65MHz〜6GHzだった。この測定器は、PXIシャーシに最大8台のNI PXIe-5840を設置できるため、8×8MIMOの実験も可能である。PXIシャーシに8台分収めるためにNI PXIe-5840の幅を2スロット分に小さくした(図2)。2012年に発売した第1世代品は3スロット分あったため、幅を2/3に狭めたことになる。


図2 今回の新製品はモジュールの幅を従来の2/3に小さくした 出典:National Instruments

図2 今回の新製品はモジュールの幅を従来の2/3に小さくした 出典:National Instruments


NIが発売したVST無線回路測定器は、第1世代のVSTの時に導入した、ソフトウエアベースで設計する測定器(Software-designed instrumentation)コンセプトを引き継いだ。このため、LabVIEWを使ってVSTのハードウエアをFPGAでプログラムすることによって、VSTをカスタマイズできる。価格はまだ公開していないが、第1世代のVSTの200MHz版が701万5000万円だった。同レベルだと推測できる。200MHzの市販の専用測定器だと1000万円もする、と述べているからだ。

今回の第2世代品は、XilinxのFPGA「Virtex-7」を内蔵しており、12.5Gbpsの高速シリアルインターフェースを追加している。1台のVSTには、信号発生器、信号アナライザ、FPGA、高速パラレルインターフェースなどを第1世代品と同様、搭載している。

周波数帯域が1GHzもあるというインパクトは大きい。LTEの周波数帯域は最大200MHzだが、その地域向けのテストでさえ、1GHzの帯域があれば5レーン並列にテストできる。その分計測時間を短縮できる。

さらに、新しいWi-Fi規格である、IEEE 802.11axに対応する技術にも備えている。サッカーのワールドカップや東京オリンピックのスタジアムやコンサート会場など大勢の人が集まる場所では、Wi-Fiエリアの中で接続するユーザーの密度は極めて高い。これまでの規格では大勢の人々が一斉に使うとデータレートは格段に落ちた。そのスループットを確保しようという規格が802.11axである。802.11ax のODFMAとして1024QAMへの対応が義務付けられている。

この規格では、802.11に対応する既存のチャンネル(20/40/80/160MHz幅)をもっと小さなサブチャンネルに分割する。サブキャリヤ間隔はわずか78.125kHzしかない。そこで、サブキャリヤ間の干渉EVM(エラーベクトル振幅)を可能な限り下げなければならない。64QAMでは-27dBだったが、256QAMでは-32dB、1024QAMでは-35dB 以下が求められている。

そこで、デジタルプレディストーション(DPD)(図3)と呼ばれる、線形性の補正をリアルタイムで実行する技術を導入した。これは、パワーアンプに信号を入力する前に、リニアリティが劣化して歪が現れてくる現象に対して、予め逆の歪を追加して、リニアリティを改善する方法。この逆の歪を作り出すためのDPDモデルを抽出する。この機能によって、パワーアンプを正確に見積もることができるようになる。


図3 リアルタイムDPDで干渉を減らす 出典:National Instruments

図3 リアルタイムDPDで干渉を減らす 出典:National Instruments


加えて、パワーアンプの消費電力を下げるために、最終段のパワートランジスタに印加する電源電圧を信号の振幅に合わせて変化させるエンベロープ技術にも対応できる。いわば最新の送信機機能を満載している。

参考資料
1. NIがワイヤレス分野に本格参入、ハンドヘルドの802.11ac測定器を開発 (2012/08/09)

(2016/07/13)

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