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NI、クルマのECUテストをプラットフォーム化、コスト削減の実績相次ぐ

1台のクルマに占めるエレクトロニクス(ECU:電子制御ユニット)の割合は自動運転時代には今以上に増えてくる。レーダーやLIDAR、802.11p、V2X、GPS/GNSS、キーレスエントリ、TPMSなど特に無線システムは急増する。それらのテストコストを減らす一つの解決案がNational InstrumentsのHILsだ。

図1 開発の手順はV字型 最初はモデルをたて(MIL)、シミュレーションし(SIL)めどを付けたらハードウエアをエミュレートする(HIL) 最後は実機試験(VIL)になる 出典:National Instruments

図1 開発の手順はV字型 最初はモデルをたて(MIL)、シミュレーションし(SIL)めどを付けたらハードウエアをエミュレートする(HIL) 最後は実機試験(VIL)になる 出典:National Instruments


クルマのエレクトロニクスをテストする場合の基本的な手順を図1に示すが、HIL(Hardware-in-the-Loop)は、ソフトウエア上でのシミュレーションが終わってからハードウエア上でテスト(エミュレート)する。ただ、HILsと言っても特別なツールではない。NIはハードウエア、ソフトウエアともプラットフォームベースの製品を可能な限りフル活用する企業である。ハードウエアのプラットフォームであるPXIやCompactRIOに無線のテスターボードであるVSTを差し込む。ソフトウエアのプラットフォームはLabVIEWとVeriStandだ。実際にこのツールを使ってADAS機能をテストしたフランスのPSA Peugeot Citroen社は「NIのプラットフォームを使ったことによって、試作するシステムの数を30%削減した。その際テストベンチの使用量は2倍に増えた」と述べている。

HILsは、ソフトウエアでモデルを作り、それをシミュレーションで確認した後に利用するハードウエアをテストするためのツールである。HILsモニターのGUIを見ながら、ECUの入力に刺激信号を入力し、制御操作を検証する。

具体的には、例えば77GHzのミリ波レーダーをテストする時には、帯域幅が1GHzと極めて広いマイクロ波のテスターVSTからの信号を逓倍してミリ波周波数に上げるミリ波のテストベッドを使い、ミリ波の発振・受信を行う。これによって、「これまでは初期段階では全く捉えることのできなかった問題を設計段階で特定することができた」、とドイツAudiのエンジニアは述べている。VSTは最大テスト周波数が6GHzであるから、ミリ波以外のテストには逓倍機を必要とせず、ほぼすべてのRFをテストできる。さらに、ハードのカスタマイズはFPGAをプログラムすることで可能になるが、LabVIEW上でFPGAをグラフィカルにプログラムできるため、さまざまなシナリオをエミュレートできるようになったという。

コネクテッドカーでは、BluetoothやWi-Fi、GPS、セルラー通信も駆使することになるだろうから、これらのテストも欠かせない。これらのテストもNIのワイヤレステストシステム(WTS)とパートナーであるNOFF7のRFテストの専門家もテスト時間の短縮に大きな役割を果たしたとしている。


図2 NIのハードとスフとのプラットフォームを使えば、クルマのエレクトロニクス部分のテストをほとんどできる 出典:National Instruments

図2 NIのハードとスフとのプラットフォームを使えば、クルマのエレクトロニクス部分のテストをほとんどできる 出典:National Instruments


こういったワイヤレス通信は、ADAS、V2XやeCallなどの通信、BluetoothやWi-Fi、GPSを使うインフォテインメントで必須である。さらにエンジン制御やトランスミッション、EV/HEVなどのモータ制御、シャシー系のドアや照明、ハンドルステアリングなどのテストも行うことができる(図2)。

(2016/11/04)

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