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LSI・パッケージ・ボードの接続情報を標準化

半導体LSIの機能や仕様が決まったらすぐに、ボンディングパッド(L)の配置や形状が決まり、LSIパッケージ(P)のピン数・配置が決まり、実装するプリント基板のパッド(B)の位置まで決まれば、その後の配線設計をパッケージとプリント基板同時に開始できるようになる。このような同時設計ができるLPB情報の標準IEEE P2401が制定された。

図1 IEEE P2401標準フォーマットの概要 出典:JEITA EDA-TC LPB-WG

図1 IEEE P2401標準フォーマットの概要 出典:JEITA EDA-TC LPB-WG


LSI(L)、パッケージ(P)、ボード(B)の接続情報が決まり、配線設計を同時にスタートできるようになると、タイムツーマーケット(Time to Market: T2M)が短縮する。それぞれの設計情報は、LSIチップ、パッケージ、回路基板ボードで異なるEDAツールを使ってきており、これらのツールを統合することは難しい。このため、それぞれの接続情報を共通化しておけば、各設計者が情報交換でき、たとえ修正があるとしても大きく後戻りすることはなくなる。

今回、IEEE P2401の標準フォーマットでは、JEITA LPBワーキンググループのLPB標準フーマットとして、図1の5つのファイルフォーマットと用語集が策定されている。

このように、LSIチップからボードまでの接続情報を標準化しておけば、ボード材料やコネクタ材料や形状、EDAツールによるLSI設計のボンディングパッド情報など5つのフォーマットで表された形式のファイルをお互いに読み、接続情報を共有できる(図2)。


図2 セットを作る上で全接続情報を共通化しT2Mを早める 出典:JEITA EDA-TC LPB-WG

図2 セットを作る上で全接続情報を共通化しT2Mを早める 出典:JEITA EDA-TC LPB-WG


情報共有ができれば、例えば、LSIチップをボード上に実装して、熱解析をすることが素早くできる。この場合にはLSIのパッケージとボードとの接続情報や温度分布解析シミュレータが必要となるが、これまではA社のCADツールとB社のEDAツールの変換のトラブルや入力作業に多大な時間がかかることが多かった。これまで2週間以上かかっていた作業が2日程度で終わる場合もあるという。

具体的にLSIにハンダボールなどの接続端子を設け、ボードに実装する場合にこれら5つのフォーマットが使われるが、その例を図3に示す。EDA側の接続情報ネットリストN-Formatと、全体を管理するM-Formatは物理情報ではないため、図3では具体的に記述していない。しかし、実装するチップを解析したり、修正情報を盛り込んだりする場合には重要になる。


図3 各ファイルを使う具体例 出典:JEITA EDA-TC LPB-WG

図3 各ファイルを使う具体例 出典:JEITA EDA-TC LPB-WG


さらにセット、LSI、部品、後工程ファウンドリなどさまざまな企業間での連携も可能で、設計のエコシステムとでもいうべき仕組みが作れるようになる。今回のIEEE標準規格ができたことで、ワーキンググループは、今後IECでの標準化も進めていきたいとしている。

(2016/01/07)

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