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広島市のアスカネット、CEATECで空間に映像・画像を映し出す

ごく普通の空間に映像・画像を映し出す光学システムをアスカネットが開発した(図1)。格子状のミラーを使って、画像を空間に映し出す。焦点を空間の一平面上に絞り込めるように反射ミラーを工夫することで実現した。空間上に映像や画像を写し込む夢のディスプレイの実現に一歩近づく。同社はCEATEC2012で展示した。

図1 花の写真を空間上に映しだす

図1 花の写真を空間上に映しだす


アスカネットは広島市を本拠とするデジタル写真の会社。同社は、AI(Aerial Imaging)Plateと呼ぶ半透明の反射板を開発、このプレートを介在させて液晶ディスプレイなどの画像を空間に映し出す(図2)。


図2 元の画面が液晶ディスプレイだとすると、AI Plateを介在すると空間に像が見える

図2 元の画面が液晶ディスプレイだとすると、AI Plateを介在すると空間に像が見える


これまでは、霧やフィルム(薄い膜)などの対象物をスクリーンとして用いることで映像・画像を結像させることができたが、空中の何もないところに像を結ぶことは、未来のSFの世界でしかなかった。これをアスカネットのAI Plateは空中に結像させることができる。しかも、実像であるため、図1のように写真を撮ることができる。これまでの3次元映像のような虚像では写真を撮ることができない。

こういった空間に映像や画像を結像させることによって、ジェスチャーコントロールやタッチパネルなどの新しいGUIを作製できるようになる。実物の液晶ディスプレイなどの映像と別のソースからの映像を液晶ディスプレイの前で結像するようにAI Plateを配置すると、3次元画像を実像として映し出すことができるようになる。

AI Plateは、微細な格子状のミラーを敷き詰めたもの。微細な格子ミラーは、約0.5mm間隔で短冊状に100枚程度のミラーを重ねたガラスプレートと、同じく短冊状に100枚程度のミラーを重ねた別のプレートを直交させて張り付けている。

幅1mm、長さ50mm程度で厚さ0.5mm程度の短冊状のミラー(鏡面は厚さ方向に垂直な面)を100枚程度重ねた構造のプレートは、次のようにして作る。まず50mm×50mm程度の大きさで厚さが0.5mm程度のミラーを、透明な接着剤などを介して100枚程度積層していく。それを幅1mm程度で切り出していく。切り出されたプレート(この厚さが短冊の1mm幅に相当する)を直交させて張り付けることでAI Plateが完成する。この構造のAI Plateはアスカネットが特許を取得したという。

同社によると、映し出される映像・画像の解像度は、ミラーの厚さ(0.5mm程度)すなわちピッチの二乗に反比例するという。プレート1枚の厚さに相当する短冊の幅(1mm程度)は、厚い方が反射効率は上がり、薄ければ反射効率が落ちてミラーが透明なガラスのように作用するとしている。

現在、限定ユーザーが自動車やゲーム機への応用を検討しており、またユーザーインターフェースとしての応用はセンサメーカーが興味を示しているという。

(2012/10/10)

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